《【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~》2
「お父様、ウィルフレッドお兄様。私、決闘をおけします。ただし、ルールは二人共『剣と杖』で。その試合で私が勝ったのなら、一人前になったと認めてください」
気持ちが楽になった私は、「いかにリリアーヌに傷を付けずに勝つか」を勝手に話していた二人に自分からそう提案した。
剣と杖、要は「武使用・魔法あり」で急所への攻撃は止、降參するか、一本れるか、「実戦だったら決著がついてる」と審判が判斷する狀況になったら勝敗が決まる、クロンヘイムでは一般的なものだ。
私がクロンヘイムにいた時に出場した武大會でも、このルールが適用されていた。
私は、このルールにしたからといって勝てるとは思っていなかった。ただ、「お前は騙されているんだ」と同時に「リリアーヌが一人で生きていけるわけがない」と言うお父様達の言葉を真っ向から否定したかったのだ。
勝てなくても、クロンヘイムで一番の魔師であるお父様と、クロンヘイムで一番の武人であるお兄様とまともに戦える……と実際に見せられたら、私が新天地で問題なく生きていけるという証明になると思って。
一度も褒めてもらえなかったけど、私はちゃんと強いんだよ、って家族にしっかり分かってもらえるだろう。そう思って提案したのだが……。
「……『剣と魔法』で……⁈」
「私は、自分が未者ではなく、一人で生きていく力があると皆さまに証明するために決闘を申し込みます。なので、『剣と杖』で実戦に近い狀況での能力を……どうしました?」
「……いや、」
「お、俺は『騎士の剣』による決闘のつもりで……」
お父様との手合わせは「魔師の杖」、つまり魔法攻撃のみというルールで行ってきた。ウィルフレッドお兄様との手合わせは、「騎士の剣」で……武か素手による理攻撃のみ。
その自分が絶対に有利になれるレギュレーションから外れた途端、あれほど私を負かして家に連れ戻す気で聲高に話をしていたのに、二人共急に勢いを引っ込めてしまって。
「ふふっ」
何だ……「本當に至らないと思ってた。だから厳しい評価をしていた」なんて、やっぱり噓だったんだな、って改めて思ったら、笑ってしまった。
私の事、「ルールによっては戦ったら負ける」って、心の中ではそう評価してたんだ。……悔しいなぁ。
お父様とウィルフレッドお兄様以外の家族は、そんな二人の反応を見て理解が追い付かないようで、オロオロしていた。私と目を合わせようとしないお父様の肩を摑んで、お母様が「リリを連れ戻すんでしょう⁈」と大聲を上げている。
「ねぇ、お父様。決闘、必要ないですよね? ……それに私、何を言われても家に戻って元通り暮らすつもりはありませんから」
「リリアーヌ、そんな……!」
「どんなに謝罪されても、私がじた悲しみは……なかった事にはならないんです」
お母様は、私にばしかけた手を止めた。
「でも、私……お父様も、お母様も。お姉様、お兄様達も……嫌いになってないんです。ただ、私はずっと悲しかった」
「リリ……」
「お母様、聞いてください。私、ずっと……みんなに認められたいって一心で頑張ってきたんです。褒めてもらえないのは私に至らない所があるんだろうって……なのにそれが、『褒めたら調子に乗ると思ったから』って理由だったって知った時の喪失が分かりますか? どんなに結果を出しても、絶対認めるつもりはなかったんだなって分かって……」
お母様も、他の家族も、気まずそうに私から目を逸らした。
謝罪されたい訳ではない。家族が謝るとしたら、それは自分の心を守るためだ。私はそんな謝罪をけれたくない。
「私、アジェット家に居た時……ずっと、苦しかったです。自分の事が嫌いだった。一回も褒めてもらえない自分は、なんてダメな子なんだろうって思ってて……」
「そんな事ないわ! わたくし達は皆、リリアーヌの事を一番にしていて……貴が知らなかっただけで、たくさん自慢してたのよ」
「そ、そうだ! 周りにも聞くと言い。使用人でも、私の部下でも……リリアーヌの事をどんなに褒めていたか」
私の言葉を否定するお母様とお父様。でも、私はそれを拒絶するように首を橫に振った。
「本當は褒めてくれてたならしょうがない……なんて、私は思えない。私がずっとじてた苦しさを、なかった事にしないで」
「私達はそんなつもりじゃ……」
「そんなつもりじゃなかったとしても、実際私に求めているのは『本當はちゃんと褒めてたんだから、全部許して戻って來なさい』って事でしょう?」
そんな事ない、とすら言えなくなった家族達の顔を順番に見て、私は言葉を続けた。
こうなってしまっては、無理矢理私が家に連れ戻されても元通りにはなれない。それは家族も分かっているだろう。
「私、今はすごく幸せなんです。今私の周りにいる人達は……褒めてもらえるような事をしてなくても、きっと見捨てられたらり、失されたりしないって安心出來るから」
言葉を返せば、私はずっとアジェット家の中で「そう」思っていたという事だ。認めてもらわなければ、失される。どうして褒めてもらえないんだろう、そうやって常に自分を追い詰めていた。
一歩、二歩、私はお母様とお父様に近付く。
二人共私を連れ戻すつもりで、話し合いをする気はあまりなかったみたいだ。でもそれは私も一緒だ。家族に自分の口で本音を伝えて、宣言だけしてミドガラントに帰るつもりだった。
「私、アジェット家に戻りたくありません。それを認めてください」
認める、と言っても既に人している私の行は、制限される事はない。あくまでも、私の気持ちの問題だ。
私の意思が頑なで、絶対に曲げる事は出來ないと理解したらしいお父様は、説得しようと何か言いそうになっていたが、それを呑み込んで諦めを口にした。
「……家族の縁を切る訳では、ないのだな?」
「あなた⁈」
私はその言葉を聞いて、ほっと息をついた。私なりに、過去と向かい合って……けじめを付けられたと思う。
「……ええ、そうですね」
そう、さっきも言ったが、家族達の事は嫌いではない。憎いとも思っていない。し恨んではいるかな。でも、それより寂しさの方が強い。
もう起きた事も、私がじてきた事もなかった事にはならない。あのまま家に居たとしても、これから家に戻ったとしても、私は幸せでいられないから。
「最後に……アンジェリカお姉様、ジェルマンお兄様……いいえ、お父様やお母様達も」
「な、なんだ?」
「ステファノ達には私と同じ事をしないで、ちゃんと褒めてあげてくださいね」
純粋に甥姪を心配して出た言葉だったのだが、何故か他の家族も含めて全員傷付いたような顔をしていた。
どうやら、思いかけず反撃になってしまったようだった。
【コミカライズ&書籍化(2巻7月発売)】【WEB版】婚約破棄され家を追われた少女の手を取り、天才魔術師は優雅に跪く(コミカライズ版:義妹に婚約者を奪われた落ちこぼれ令嬢は、天才魔術師に溺愛される)
***マンガがうがうコミカライズ原作大賞で銀賞&特別賞を受賞し、コミカライズと書籍化が決定しました! オザイ先生によるコミカライズが、マンガがうがうアプリにて2022年1月20日より配信中、2022年5月10日よりコミック第1巻発売中です。また、雙葉社Mノベルスf様から、1巻目書籍が2022年1月14日より、2巻目書籍が2022年7月8日より発売中です。いずれもイラストはみつなり都先生です!詳細は活動報告にて*** イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの魔法の屬性が、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。 王國の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、その仕打ちは次第にエスカレートして、まるで侍女同然に扱われていた。 そんなイリスに、騎士のケンドールとの婚約話が持ち上がる。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、美しい妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって冷たく婚約破棄を言い放ち、ヘレナとの婚約を告げるのだった。 家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。 王道のハッピーエンドのラブストーリーです。本編完結済です。後日談を追加しております。 また、恐縮ですが、感想受付を一旦停止させていただいています。 ***2021年6月30日と7月1日の日間総合ランキング/日間異世界戀愛ジャンルランキングで1位に、7月6日の週間総合ランキングで1位に、7月22日–28日の月間異世界戀愛ランキングで3位、7月29日に2位になりました。読んでくださっている皆様、本當にありがとうございます!***
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