《【書籍化】左遷された無能王子は実力を隠したい~二度転生した最強賢者、今世では楽したいので手を抜いてたら、王家を追放された。今更帰ってこいと言われても遅い、領民に実力がバレて、実家に帰してくれないから…》113.悪魔は王子を心配する

《ナベリウスSide》

第七王子ノアは、神にとらわれたリスタを助けるべく、天界へとやってきた。

そこでノアは神の七つの試練に挑むことになった。

ノアを含めた七人が、それぞれ、七つの試練に挑むなか……。

ナベリウスは彼らの帰りを待つ。

「扉の番人よ。試練とはどういう容なのだ?」

一人殘されたナベリウスは、この神の間の番人に尋ねる。

【七つの試練はそれぞれ、七つの大罪に呼応したものになっている】

頭の中に直接、番人の聲が屆く。

ふむ、とナベリウスがうなる。

「七つの大罪……。憤怒、傲慢、、怠惰、暴食、嫉妬、強……か」

【然り。七つの扉のなかにはおのおの、七つの罪に呼応した特殊空間が広がっているのだ。たとえば、の部屋には、試練に挑むものが最も好む姿の異が現れ、してくる】

「なるほど……そのを振り切れば試練突破と」

【然り。くくく、この試練を突破した人間は未だにゼロ。絶対に試練を突破できるわけが……】

そのときだ。

「「「「「ただいま帰りましたー!」」」」」

【なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?】

ノアを除いた、六人が、帰ってきたのである。

彼らの手にはそれぞれ、寶玉が握られていた。おそらくはこれが、神の間を開ける鍵なのだろうと思った。

「いや、速すぎだろおまえたち……」

ナベリウスが呆れたようにつぶやきつつうも、どこか、納得していた。

この人外化《りょうみんたち》は、全員がイカレタ化であると、ナベリウスは理解してるからである。

【あ、あり得ない! たかが人間ごときが、試練を突破できるわけがない!】

「だ、そうだが……おまえたち、どうやって試練を突破したんだ……?」

ナベリウスの問いかけに、まずは騎士団長テータが答える。

「うむ! 私の試練は【暴食の試練】だった!」

暴食の試練とは、中にると、この世のとは思えないほどの食が、無限に出てくるというものだったらしい。

「それをどう突破したんだ?」

「ノア様のおかげだ!」

「ノア様の……?」

うむ! とテータが自信満々に答える。

食なんて、ノア様から褒められることに比べたらカスだ!」

どうやら目先の食よりも、この試練を突破し、ノアから褒められることのほうが、テータにとって重要だったらしい。

結果、食にわされることなく、暴食の試練突破。

「くく……我は【強の試練】だった」

魔道士団長ライザが言う。

の試練とは、己がするものが、無限に與えられるという試練だったらしい。

「それをどうやって突破したんだ……?」

ナベリウスは、なんとなく次の展開がわかっていたものの、いちおうテータに尋ねる。

「くく……我が眷屬、ノア様のおかげだ」

「へえ……どうやって?」

「我がは混沌《カオス》! この世の破滅! しかし我がむ混沌はあの部屋の中には出てこなかったんだ……」

「ああまあ、廚二病だからな、あんたのそれは……んで、何が出てきたんだ?」

「ノア様が出てき寄った。くくく……馬鹿め! ノア様はこの世にただ一人だけ! 偽なんぞに心わされる、闇の魔法使いではないわ!」

そんなじでライザは、強の試練を突破したらしい。

「ユリアン、ヒルデ、ダーヴァ、ガルシアも、それぞれ同じじで突破したんだな……」

「「「「Yes! 全てはノア様のおかげ!」」」」

ちなみに、それぞれどんなじだったかというと……。

ユリアン→嫉妬の試練→ノア様に嫉妬なんてしない

ヒルデ→憤怒の試練→ノア様に怒りなど抱かない

ダーヴァ→傲慢の試練→ノアのほうがすごいのでおごりなど抱かない

ガルシア→の試練→ノア様以上の素敵な異はいない!(?)

「なるほど……ノア以外興味ないから、試練が試練として機能してなかったのか……」

【なんということだ……こいつら化なのか……?】

番人がドン引きしていた……。

「まあ、人間じゃあないな」

ナベリウスは試練を出した番人に同した。

たしかにどれもすごい試練だったろうが、相手が悪かった。

まさか神も、人外が試練に挑むとは想定外だったろう……。

しかし、だ。

「あれ? そういや、ノア様がいないな?」

ナベリウスは、ノアが來ていないことに気づいた。

ノア以外の六人はすぐに出てきたというのに。

「殘っているのは……怠惰の試練か」

ノアが怠惰の試練に挑んでいる。

……ナベリウスは、猛烈にいやな予を抱いた。

あの怠けもの世界代表みたいなノアが、怠惰の試練を、突破できるわけがない……。

「うむ! ノア様がいないぞ!」

テータをはじめ、部下達も異変に気づいたようだ。

しかし……。

「くくく、さすがノア様」

「やっぱりうちの弟は最高だぜ!」

と、なんか勝手に誤解していた。

「きっとノア殿には、深いお考えがあるのだろう」

「で、ありますな! こんなクソ簡単な試練、ノア様なら1秒でクリアするはずでござる!」

ああ、また勝手に持ち上げて……とナベリウスが頭を抱える。

「ノアは単純に、もたついてるだけだと思うんだけどな……」

なにせ怠惰の権化みたいな男である。

怠惰の試練を、突破できるとは到底思えなかった。

しかしこの場に集まってる異常者《はいかたち》は、ノアが試練を突破できて當然だと信じて疑わない。

それどころか、またいつもの深読みが発していた。

ナベリウスはため息をついたあと、目を閉じる。

「む? どうしたのだ! ナベリウス!」

「テータ。し、オレ様は寢る」

「そうか! ぐっない!」

……ナベリウスは本當に寢たわけではない。

ノアの影にこっそりと、紛れ込ませていた、自分の分に意識を移す。

悪魔は試練の扉をくぐれない。

しかし、ナベリウスはノアの影に同化すれば、試練の扉をくぐれると踏んでいたのだ。

結果、ノアの元に分を忍ばせることに功していた。

……ナベリウスは、なんだかんだいって、ノアが心配なのであった。

ゆえに、ノアの様子を探ってみることにした。

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