《チート能力を持った高校生の生き殘りをかけた長く短い七日間》第十二話 現狀の確認(4)
神殿での生活は、ミトナルとナナに説明を任せることにした。
ローザスは何か言っていたが、話が進まないという事で、ハーコムレイが話をミトナルとナナに聞くことになった。
ハーコムレイが部屋から出て行った。
ローザスも一緒に行くのかと思ったが殘っている。
「それでリン君?」
「ん?」
ローザスが何を期待しているのか解らない。
「神殿で、採掘や採取ができるのだよね?」
「あぁ」
「その場所は、僕たちでも・・・。違うな。神殿を利用する者なら、誰でも使えるの?」
「そういうことか・・・。ルールを作る必要があるとは思うけど、俺は使ってもらって良いと思っている。実際には、ギルドに任せることになると思う」
「そう?襲ってくるが居るのだよね?」
「いる。無理をしたら死ぬこともある」
「そう・・・。だよね」
「ん?」
「気にしないで、敵生が確認されると、僕はることが出來ないから・・・。絶対に・・・。ハーコムレイだけではなく、護衛が反対するよね?」
今は、ローザスの近くに控えている護衛は居ないが、絶対に反対するだろう。
そもそも、ダンジョンにろうとしないでしい。
ルアリーナやアデレードだけでもかなり危険な狀態なのに、ローザスやハーコムレイまでり込めば、問題になってしまう。
貴族たちが問題視して、自分たちにも管理に絡ませろとか言い出すに決まっている。
「まぁそうだろうな」
「でも、でも、リン君。安全に出來るのだよね?できるよね?」
そんな表をして訴えても、俺に許可を出す権限はないだろう?
ローザスが神殿のダンジョンに潛りたいのなら、護衛やハーコムレイを説得すればいい。
「どうだろう?安全な場所はあるとは思うけど、”絶対”とは言えない。口付近は安全だとは思うから、雰囲気をじるのはできると思うぞ?」
「そうか・・・。でも、アデレードも採取や討伐には出るよね?」
まだ諦めないのか?
「どうだろう?本人が行きたいと言えば、止める者は居ないからな。安全面だけど・・・。アデレードには、護衛になる眷屬がついている。ローザスが向かうよりは安全だと思うぞ?」
アデレードには、護衛になる眷屬がいる。
それに、チート能力を持った子が一緒に行くだろう。その子にも、護衛がついているから、ローザスよりは安全だろう。
ドアが開けられて、ハーコムレイがアッシュを連れて帰ってきた。
「リン=フリークス!」
「ん?どうだった?」
「ミトナル嬢とアスタから話を聞いた。神殿は、居住區と採取・採掘・討伐ができる場所で分かれているのだな?」
「あぁ」
「討伐が可能な場所も、口近くは弱いだけで、奧にると魔が出て來るらしいが、間違いはないか?」
「そうだ。でも、魔やを倒しても、は殘らないぞ?」
「聞いた。不思議なことだが、そんな事例も存在している。アッシュ」
「はい。リン様。侵不可能なヴァル・デ・ハラ島はご存じですか?」
「湖の真ん中にあると言われている島だろう?」
「はい。侵不可能なヴァル・デ・ハラ島には、リン様の神殿と同じように、魔やが生息している場所があり、討伐しても、角だけが殘ったり、魔石だけが殘ったりするようです。口をると草原が広がっていて、草原を進むと、一つの建があり、建の中に階段があり、階段を降りると窟になっていて、火山帯が出現する場合もあるようです」
まるで、神殿と同じだな。
ダンジョンが存在しているのか?
それとも、侵不可能なヴァル・デ・ハラ島が神殿と同じ機構なのか?
「アッシュ。そもそも、侵不可能なヴァル・デ・ハラ島は、島するのが不可能だと言われているよな?そんな場所の報を何故知っている?」
「噂話です」
「それで納得しろと?」
「やはり、ダメですか?」
「あぁ的な描寫が多すぎる」
「はい。私の3代前の當主が、侵不可能なヴァル・デ・ハラ島に島しています。當時の國王からの命令で、侵不可能なヴァル・デ・ハラ島に向かいました。帰って來るまでに10年の時間が必要だったらしいです。出航した時には、1,000名以上の兵士を連れていたのですが戻ってきたのは、曾祖父と供回りが4人。あとは、兵士が50名だという話です」
「は?損耗率が9割以上?それに10年?意味が解らない。その報はどこから?」
「日記が殘されていて、島までは大きな問題は無かったようです。レイクサーペントと戦闘にはなったようですが、撃退は無理でも逃げる事は出來たようです。詳細は不明ですが、2か月程度で侵不可能なヴァル・デ・ハラ島に到著したようです。ここから、日記は飛び飛びになってしまって解読が難しい狀況になっています。神殿らしき建を発見したのですが、口をると、リン様の神殿にあるような場所に繋がったようです」
「それ・・・。今でも、侵不可能なヴァル・デ・ハラ島に行けるのか?」
アッシュとローザスが首を橫に振る。
「なぜだ?」
「簡単にいうと、アッシュの祖先が使った船を作る事が出來ない」
「え?」
アッシュを見ると肯定するように頭を縦に振っている。
「當時の記録は殘っていますが、読めないのです」
「読めない?風化してしまっているのか?」
「違います。文字通り、読めないのです。當時も今も沿岸を航行する船はあります。それ以上になると・・・。王國だけではなく、大陸を探しても存在しません」
アッシュが簡単に説明をしてくれているが、納得が出來ない。
100年程度前に出來ていた事が出來なくなっている。素材が無くなったわけではない。
「技の継承は出來ているのだよな?」
「技の継承?」
ローザスが知らないのはいいとしても、ハーコムレイやアッシュも知らないようだ。
「沿岸部から先に向かう船を作るときに、一人では無理だよな?」
皆が頷いてくれる。
常識のすり合わせになっているが、俺がおかしいのか?
「仮に、船を作る人たちを、船大工と呼ぶけど、その船大工は現在も存在するよな?」
ハーコムレイが首を橫に振る。
え?殘っていないのか?
ローザスを見れば、殘念な子を見るような視線で俺を見ている。
アッシュは、目を見開いて俺を見てから首を橫に振る。
「え?なら・・・。どうやって船を建造した?」
「リン様。先ほどお話した。”読めない”資料を作した者が、指示を出して、木造の建を作っていた者や樵や食職人が集められて作られたようです。口頭での指示で作られて資料は殘されていません。100名ほどが乗れる大きな船らしいのですが、十五隻の船が完した時に、集められた者たちは元の仕事に戻ってしまったようです」
「・・・。アッシュ。その”読めない”資料を書いた者は?その人の子孫は?」
「いません。その者は、船に同乗して・・・。帰ってきませんでした」
「え?」
「曾祖父の日記では、侵不可能なヴァル・デ・ハラ島の探索中に消えたようです」
「消えた?」
「はい。護衛として、著いて行った100名と一緒に帰って來なかったようです」
「・・・」
ローザスが手を叩いた。
皆の視線がローザスに集中する。
「いけない侵不可能なヴァル・デ・ハラ島を考えてもしょうがない。リン君。リン君が掌握した神殿と同じが、侵不可能なヴァル・デ・ハラ島にあったとしても、僕たちが考えることは変わらない。そうだろう?ハーレイ?」
「そうだな。リン=フリークス。例えば、ミヤナック家の騎士団を神殿に送り込んで、討伐や訓練を行うことは可能か?」
「”できる”とは思うけど、ギルドとナッセやルアリーナ嬢と協議をお願いします」
「當然だな。それで、採取したは?」
「それも、話し合ってください。俺は決められません。基本は、採取や採掘を行ったでいいとは思っています。その代わりに、場料を取ることにするとか・・・。俺が考える事ではないので、ギルドと調整をしてください」
「わかった」
面倒・・・。
ギルドに丸投げ。ナッセとルアリーナとタシアナが調整してくれるだろう。
アデレードにも期待していいのかな?
アデレードは表には出てこないけど、だからこそ、ミヤナック家や王家からの依頼にはアデレードを窓口に・・・。
ただ、住民の相談をしようと思っただけなのに・・・。面倒なことになってきた。
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