《「もう・・・・働きたくないんです」冒険者なんか辭めてやる。今更、待遇を変えるからとお願いされてもお斷りです。僕はぜーったい働きません。【漫畫1巻+書籍2巻】》205 眠れる神
酒。神の與えしそのは、薬であり救いであり毒である。
ドワーフは高い抗を持つが人間は。
「なんだか、ふわふわしてきた」
「楽しい」
その夜、ドワーフの街を訪れた年たちはお酒をたったひと口含んだだけなのに酔ってしまった。
「暑〜、クールウインド。この部屋はちょっと暗すぎるかも、ライト…」
「どうしたの?エクス」
ピーンと閃く。
「フライ、ウォーターボール、クールエンチャントゼロワン。3つの初級魔法をミックスして新たな魔法とする。ウォーターサーバー」
ふわふわと浮かぶ冷たい水球を見て、パチパチと拍手が飛び気分は上々。
「エクス凄い!」
「相棒やるじゃねえか」
「まぁね」
空中に浮かぶ水球からざぶっと空のグラスに水をすくってルカにプレゼント。
「ふふっどうぞ」
「ありがとうエクス」
自分もごくごく。
んー味しい!
「お、お客さま?」
「ひゃうっ」
見られた! いきなり個室にってきた店員さんに僕らは固まり、店員さんも驚いた表で固まってる。
「強いがれてると思ったら、これは、いったい?」
「す、すみません!後で消しますので」
「いえ、構いません。消さなくて構いませんが」
「が?」
眩しい燈りに照らされた店員さんの目は、好奇心にぱちぱちと見開かれていて。
「それは、逆にどれくらいで消えるんですか?」
「たぶん、一年ぐらいかと」
「いちねん? もしそれが本當なら、お客さまは神職人になれるかもしれませんよ!」
くま吉と顔を見合わせた。
「見せてやんねえ、相棒」
「うん」
ちらりとお酒無料メダルを見せると、あわあわと恥ずかしそう。
「はわっ!? 気づかなくて、失禮しました。好きです。直ぐに店主を連れてきます!」
「えっ、あの…」
やってしまったか。
嬉しそうに走り去る店員さんを見て、ルカが不機嫌そうにじっと見てくる。
「エクス、まさかモテようとしてる?」
「へ? いや、違うよ。ね!くま吉」
助けて。
「そいつは違うぜ、主」
「なによ?」
ありがとう、くま吉。
「主、思い出してみねえ、ここはドワーフの國でい」
「そう、だった。迂闊」
ルカがなぜか絶し沈黙しちゃったけど、本當にそうかなあ。
ほら、その証拠に聞こえてきたのは野太い男の聲だよ。
「本當に神職人が來店されたなのか?幻魔法じゃねーだろな?」
「見れば分かりますって」
「だいたい水玉が浮くって、もうしまともな説明をだな」
「ほら!浮いてますよね」
コック帽を被った背の低い筋達磨の目が飛びだす。
「うっ、馬鹿げた説明が合ってやがる。どこにも浮き袋が見えねえしなんだか頭がおかしくなりそうだ」
「合ってますよね?」
「悪かったって」
どうせ皆すぐ慣れるんだけど。
「おお、アンタが神職人か?」
「はい」
「俺は店主のジルだ。その訶不思議な水を一杯分けては貰えねえか」
「どうぞ、何杯でも。えっと、こう使うんです」
特に使い方なんてないのに、一挙手一投足に全集中されてちょっと恥ずかしい。
「有難く頂戴しよう。んおっ!冷たくて味い。こいつは、良いツマミになる」
「水ですよ?」
「ふふ青いな。今夜は、一杯もてなすから覚悟してくれ。神職人どの」
「えっと、僕らは食なんですけど」
「がっはは!遠慮はいらん。食わんと強くなれんぞ」
あっ駄目だ。
定食屋の店長と同じ臭いをじる。
「うあ、凄い量」
頼んでもないのに、どんどん料理が運ばれてきた。
窟サラダ、神の水、ドラゴンステーキ、寶石スープ、ルビーソーセージ、幻キノコ、ヒカリゴケのケーキ。
「相棒、漢気だな」
「ニトラも貓耳店員さんもいないから無理だよ」
「モテようとするから」
ガツンとしたじでどれも味しい。
「相棒、そいつは飲まねえのか?」
「だってお酒のような気がするし」
「なら、私が飲んでみる。味しい!エクスも飲んで」
興気味のルカに手渡され、くんくんと嗅いでみたらフルーツの香り。
もしかしてジュースなのか。
「うん。本當だ、凄い」
試しにちょっとだけ飲んでみたら、幸せが流れ込んできた。
を満たす熱に、後から追いかけてくる全を包み込むような華やかさ。
お腹はいっぱいかも。
「ガハハ、楽しんでるか?」
「はい。どの料理も味しいです。そうだ!」
「ん?」
「お禮です。ゴーレムパーツ」
回転するだけのゴミ。
つまり神の水は高級酒で、めっちゃくちゃに酔っていた。
「これは永久機関か?ヤバすぎる、まるでだ。貴方が神か?」
「はい、実は神職人なんです!」
飲みやすいだけで酒なのだ。
やたらとテンション上がった後は、酔っ払い第二フェーズに移行。
つまりは襲い來る眠気に、エクスは會話の途中なのに、うとうと船を漕ぎはじめた。
「相棒?相棒?」
「ふにゅ」
だが、ドワーフはそんな些細な問題は気にしない。
「神よ、これをもっと作ってくれぬか?」
真剣な面持ちで、居眠りエクス神に願う。
「くーくー」
「頼む!」
どう見ても寢てる人に頼むとか常軌を逸しているが、奇跡は常識の外側にあるもの。
つまり、ドワーフの祈りは屆いた。
エクスはこくこくと頷き、ドワーフの目が輝く。
「むにゃむにゃ」
「おおっ!」
なんと、小さき手からぼろぼろとゴーレムパーツが溢れ出すではないか。
そう。彼は元睡眠時間3時間のブラック冒険者。
このくらい寢てても朝飯前である。
「うおおお、謝する。禮に最高の土産を用意するから持って帰ってくれ」
「あ、相棒、大丈夫か?」
またもや、無言で頷くエクスにくま吉が困った顔でルカを見るも。
「エクスは私が守る!」
なんて寢言を言いながら壁にもたれてすやすや。
駄目だこれ。
「主、俺っちはいってえどうしたらいいんでい?」
「ここか?あの魔道を作った神職人がいるのは?」
「うわっまたなんかぞろぞろ來やがった」
「おおっ素晴らしい!」
「ゾンビみたいに湧いてきやがったぜ。せめて報酬だけでも取ってやるか」
後は繰り返しである。
「報酬を払うのは當然だ。神職人よ、儂も頼む。支払いはミスリルでどうだろうか。おおっ無言で快諾頂けるとはなんと心の広さ!」
注文しまくりのドワーフに、何も考えず頷きまくるエクスという構図が完し、歓聲が絶え間なく窟を揺らす。
「恵みじゃー!!」
眠れる神の降臨である。
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