《【10萬PV!】磁界の王はキョンシーへ撲滅を告げる》④ 壊れ行く仲間達 1

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ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

タルタロスを包む歓喜の聲をシロガネは聞いていた。

タルタロス12。その中央の管制塔の屋上からシロガネは眼下の海遊都市を見下ろす。

「カアサマ、見てください。ボク達の偉業を皆が喜んでいます」

今回のA級キョンシー破壊計畫は終わってしまえば大功だった。

ゴルデッドシティのフォーシーへアネモイをぶつけ、ミサイル対応へのオーバーロードの果てに破壊するという大計畫は見事に嵌り、あの金のキョンシーは弾け壊れた。

もの仲間が犠牲になったが、それらを補って余りある素晴らしい戦果だ。

「今頃、一彥達は住民達からもみくちゃにされているんでしょうね。當然です。ボク達は偉業を為した英傑達なんですから」

タルタロスへの凱旋。住民達へ告げる作戦功の言葉。涙を流す仕草をするキョンシーさえ出たほどだ。

「あ、居た居た。シロガネにクロガネ、ここに居たんだ」

背後から聲が聞こえ、そこにはアリアドネとペルセポネが立っていた。

「どうしました?」

「どうしたもこうしたも、主役の二が何でみんなから離れてんの? 探してきてって言われちゃったの」

「ええ、アリアドネの言う通りです。シロガネ、わたしは今回の作戦には參加しませんでしたが、皆さんのことを本當に祝いたいと思っているんですよ? 仲間の気持ちも汲んでください」

糸を巻き付けたアリアドネと花冠を被ったペルセポネ、二はモーバでも特に相が良いキョンシーであるとシロガネは記録していた。モーバに加した時期が近かったのもあるし、今は無きコウセン町の運営も二に任されていたからだろう。

「それに、私としては皆で壊れちゃった仲間のことも悼みたいしね」

糸を指で弄びながら、アリアドネがサラリと言う。その言葉と表にシロガネは悟った。

「……フェイスレスはダメでしたか」

「うん。ついさっき完全に稼働停止したよ。やっぱあれだね、あんなに大規模に応系のPSIを使うもんじゃないね」

フェイスレス、今回の作戦功一番の立役者。A級キョンシー破壊計畫のためだけに作られた顔なしのキョンシー。幾重にもドーピングを重ねた上で発したあの大規模なPSIはその脳へ不可逆的なダメージを與え、遂に今日永遠の稼働停止となったのだ。

応系PSIはどれもこれも発に脳の壽命を大きく削る。マイクロ蘇生符というドーピングをしたのなら猶更だ。

「アリアドネ、あなたは? 何人もの軍人を洗脳したって聞きましたが」

「んー? 大分壽命減ったよ? 騙し騙し使っても一年も持たないんじゃない?」

「そうですか。お疲れ様です」

「良いよ良いよ。私の役割だからね」

あっけらかんとアリアドネは言う。自の稼働が停止する。それ自を恐れる機能はキョンシーに無い。勿論、自己保存の概念から稼働時間を長引かせようとするが、生者達が持つという終わりへの恐怖はどうしても持てなかった。

「ああ、でも、そうだね。じゃあ、もう先が長くない仲間の頼みをしようか。ね、シロガネにクロガネ、下に行ってみんなでパーティーしようよ。主役の話をみんな聞きたがってるからさ」

「……ええ、そうですね。カアサマ、行きましょうか」

肩を竦めてシロガネはアリアドネの言葉に頷いた。確かに論理的にも共同としてもこのキョンシーの言うことには理がある。それに管制塔の屋上にずっと居るというのも生産が無いという話だった。

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