《【窟王】からはじめる楽園ライフ~萬能の採掘スキルで最強に!?~》二百三十九話 本気になりました!?
突如落ちた雷撃は、先程のルダの突撃をはるかに凌ぐ衝撃だった。
その雷撃によって俺たちは魔法の壁ごと上から圧された。
みるみるに地下深くへと押し込まれていく。
やがて空へ舞い散った巖石が雨となって降り注ぐと、俺たちは礫の下敷きとなってしまった。
もちろん、生きてはいる……魔法壁のおかげで地中の空間も維持することができた。
「皆、ケガはないか?」
俺の聲に首を縦に振るリエナたち。
一方のレムリクは安心したのかふうと息を吐いた。
「まさか兄上の雷撃をもらって、皆も僕も無事でいられるとは」
フーレがげんなりとした顔で言う。
「あんな強い雷撃を使えるなんて思わなかったよ」
「また撃たれたら、まずそうですね……」
リエナの聲に、レムリクは首を橫に振った。
「いや、とりあえずはもう心配ない。兄上はと鎧に魔力を溜めるを使って、魔力を事前に蓄えておくんだ。あれだけの魔法を放ったら、數日は間違いなく同じ魔法は使えない。僕たちの魔力を追うのももう無理だろう」
「奧の手を使ったってことか。使わせて生きているならまあ俺たちの勝ちってことだな!」
エレヴァンが自慢げな顔で言うと、レムリクは小さく笑う。
「そうだね。あの兄上とその手勢を赤子のようにあしらうとは、僕も思っていなかった。 ……ただ、これで君たちは兄上に」
「顔は覚えられてしまったな」
俺が答えるとレムリクは真剣な顔で頷く。
「僕含め、周辺を徹底的に捜査するだろう。兄上は負けず嫌いだ。なんとしても見つけようとするはずだ。次は薬やらも使って、全力で挑んでくるだろう」
ふむとアシュトンは腕を組む。
「永遠に我らを探してもらって、シルフィウムへの侵攻は諦めてほしいところだが」
「いや……むしろ僕を炙り出すためなら、シルフィウムへ侵攻したほうがいい。亜人へ何かをして、僕をつり出す可能もある……だから君たちは」
顔を曇らせるレムリク。
兄のもとへ帰り、俺らを諦めさせる代わりに許しを請おうとしているのかもしれない。
しかしレムリクは勘違いしている。
「……レムリク。亜人を助けたい、シルフィウムへの侵攻をやめさせたいと言ったのは俺たちだ。お前を救い出したのも俺たちがんだからだ。今更逃げ帰ったりはしない」
「だが、兄上はしつこいぞ。そして冷酷だ」
「ああ、わかっている。あの雷撃……味方も確実に巻き添えにしているだろう。そんなやつがシルフィウムに來たら森を燃やし盡くそうとしたり、亜人を捨て駒のように使うかもしれない……俺たちも本気で止めなければならない」
軍事資を奪うとか、拠點を破壊するとか、それだけではルダは止められないだろう。
俺はレムリクにこう続ける。
「レムリク。お前が諦めようと、俺たちは俺たちのやりたいことをやる。だから俺たちのことは重要じゃない。だが……お前はそれでいいのか?」
レムリクは悔しそうに言葉を詰まらせる。
「お前は南方州の副王なんだろう。本來なら、お前がラング州のことを決めるべきはずだ」
「それは……建前だ。僕には総督たちを従わせる力はない」
「なら、俺たちが力を貸す。侵攻を止めさせるだけじゃない。お前がむ南方州を実現しよう」
「大きく出たね……兄上と総督と真っ向から対立することになるぞ?」
「お前には、亜人たちの支持がある。彼らをげる総督たちには出ていってもらえばいい。お前だって、本當はそうしたいんだろう?」
俺の問いかけにレムリクは目を瞑る。
「ずっと、構想はあった……しかし、功するかも分からないものに亜人を付き合わせたくなかった」
だが、とレムリクは続ける。
「君たちが力を貸してくれるなら……南方州に秩序を取り戻せる。亜人がベーダー人に怯えないでいい生活をさせられる」
レムリクは俺に頭を下げる。
「どうか……協力してほしい。僕は副王として、シルフィウムへの侵攻と亜人への圧政を止めたい」
「よく言ってくれた、レムリク。もちろん全力でお前を助けるつもりだ」
レムリクは俺の手を取って言う。
「ありがとう、ヒール。皆も、どうか僕を、ラング州を、ベーダーを助けてくれ」
その言葉に俺たちは皆首を縦に振るのだった。
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