《俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。》最終章-34【俠気勝負】
俺は鼻から大きく息を吸い込んで肺を膨らませた。深呼吸で息を整える。
それにしても不味いな……。アマデウス、こいつ、マジで強いぞ。素手の魔法使いだからって舐めてたら、こっちがボコボコにされちまう。しかも、この野郎は余裕をぶっこいてやがるぞ。それが腹正しい。イラッと來るぜ。
でも、守ってばかりではダメだ。リーチ差では武有りの俺のほうが圧倒的に有利なのだ、ここは攻めに転じて押しきらねば……。
休まず、途切れず、隙間なく攻める。それで隙を塞ぐ。攻撃こそが最大の防だ。考えていてもダメだ。あいつのほうが頭が良いからな。ここは考えずに、とにかくいて攻めるのみだ。
「今度はこっちから行くぞ、アマデウス!」
「ああ、今度は私がけてやる。だから楽しませてくれよ、アスラン」
アマデウスが左肩を前に出してステップを刻む。握っていたる拳は開いていた。全の力を抜いた緩やかな構えだ。
リラックスしてやがる……。
アマデウスは、刃で武裝している敵を前にしても張すら見せていない。敵の攻撃が當たらないって自信だろうか。それじゃあ、その自信ごと切り捨てるだけだ。
「行くぞっ!!」
「來いっ!」
俺はを低く斜めにしてダッシュした。右肩を前にして雙剣を橫に並べて振りかぶる。
「斷つ!」
そこからの二の字連斬。アマデウスのと板を狙った連続切り。
だが、アマデウスはギリギリのバックステップで二連を回避した。俺の振るった炎剣と氷剣の先がアマデウスの眼前を過ぎる。
紙一重だ。この野郎、スレスレの紙一重で回避しやがった。
更にアマデウスは前に出てきた。回避後の反撃を狙ってやがる。
だが、俺は更にを捻る。その勢いを利用しての上段後ろ廻し蹴りを放った。
蹴り技を含めた三連続攻撃だ。
「そりゃあ!!」
ブルンっと風を鳴らして俺の上段後ろ廻し蹴りが空ぶった。アマデウスが頭を低くしてしゃがんでやがる。
躱された。
「くそっ!!」
「それ」
しゃがんだ狀態からアマデウスがストレートパンチを放った。腰がっていないパンチだったが、それが俺の間を毆る。
「がっ!!!」
金的だ……。
後ろ廻し蹴り中に間を毆られた俺は足をらせ餅を付いた。
痛いっ!
マジで痛いっ!!
キャンタマが砕けそうだ。
しかし、直ぐに跳ね起きる。
「ぐじょう……」
悔しさを口に出す俺は、ままならない言葉と共に涎を吐いていた。そして、獣のように唸りながら攻撃を再開する。
「がるるるっ!!」
左の逆袈裟斬りからの左の袈裟斬り。炎剣と氷剣が唸って往復するが攻撃は當たらない。それどころか紙一重の間合いで回避されている。アマデウスは最小限の距離で回避を行っているのだ。
そして、回避したら打つ。俺が打たれた……。
「ふっ」
中段の下突き。
アマデウスのボディーブローが俺の下半を叩いた。また間だ。再び金的を狙われる。
「ぐにゅ~……っ!!」
三度目の激痛に俺は背を丸めながらでフラフラと後退した。
更にアマデウスが追って來る。今は追撃されたくない。
「ぐじょっ!!」
俺はグラディウスの突きで顔面を狙い距離を保とうと試みる。
「ふっ」
しかし、その牽制打に怯まないアマデウスは突きを躱しながら前に出た。燃える剣の突きがアマデウスの耳の橫を過ぎると前蹴りで俺の間を蹴りつけて來る。アマデウスの爪先が俺の金玉を突き刺すように蹴り飛ばした。
「にゃんっっ!!!!」
四度目の激痛が俺の脳を支配した。無意識に振るえ上がる俺は鳥を立てながら転倒する。両手にあった雙剣が手から離れていたが、それすら気付いていない。苦痛に表を歪めながら間を押さえてを丸めると橫たわっていた。
何も考えられなかった。頭にあるのは電撃を越えた激痛。それだけが脊髄を何度も駆け巡る。
構えを解いたアマデウスが俺を見下ろしながら言う。
「聞いてるぞ」
「にゃ、にゃにぉおぉ……」
「お前さん、ガルマルの町の喧嘩祭りで対戦者の間を蹴りまくったらしいな」
「しょ、しょんなきょとも、あり、ましゅたぁ……かね……」
「どうだい。今度は自分が間を狙われるばんなのは?」
「か、快……でしゅ……」
俺はヨロヨロと立ち上がった。間を押さえた両手に武が無いことに立ってから気付く。
それよりも──。
この野郎は、わざと狙ってやがる。俺の間ばかりをわざと狙ってやがるぞ。
なんて鬼畜野郎だ。間への集中攻撃なんて卑怯にもほどがあるぞ!!
「ぐにゅにゅにゅ……」
「なあ、アスラン」
俺は脂汗を大量に流しながら返答する。
「な、なんだよ……」
「試したことはあるか」
「何を……?」
「人間って、金玉を攻撃され続けたら死ぬかどうかを、試したことがあるか?」
「な、ない……」
おいおいおい、まさか……それは止めてくれよ……。
「こんな機會は滅多に無いから、試して見たいんだ。人は間を攻められ続けると、死ぬかどうかを」
「テメー、俺をモルモットにするつもりか……?」
「私は魔法使いだからね、実験が大好きなのだよ」
「魔法使いって言うよりも、ただのドSだろ!!」
「──違いない」
「ふんっ!!!」
俺は正面をむいたまま大を開いて腰をズッシリと落とした。両拳を握り腰に並べる。空手道で言うならば、騎馬立ちの構えだ。
堂々たる構えで俺は腹から聲を出して怒鳴った。
「上等だ、こん畜生が!!」
凜と引き締まった眼でアマデウスを睨む。
「こいやっ!!」
「っ……」
アマデウスは呆然と俺を見る。
「けて、立つと言うのかね……?」
「金的だろうと何でも來いや。ここからは漢と漢の勝負だっ!!!」
速度で劣る。技で屆かない。ならば、漢で勝るしかない。それならば、正面からけ止めるしかない。
俺の金玉は無敵だ。俺の間は宇宙だ。必ず勝てる。負けるわけがない。
「漢だな……」
一言だけ述べてからアマデウスが構えを気付く。
サイドワインダーの構えでステップを刻む。
「私が考えていたより漢なのだな。舐めていたことを謝罪しよう……」
構えたままアマデウスが前に半歩出た。
「その漢、試させてもらうぞ、アスランっ!!」
來る。
アマデウスが疾風の速さで前に出た。俺の眼前でアマデウスが強い震腳を踏み込む。力強い踏み込みにダンっと音が響いた。
「りいゃ!!!」
アマデウスの全力の掬い前蹴りが放たれた。アマデウスの足が真っ直ぐ昇って俺の間に迫る。
速い。やはり躱せない。だが、躱す気もない。
「甘いぞ、アマデウスっ!!」
俺がんだ直後にアマデウスの掬い前蹴りが俺の間にヒットした。俺の金玉を蹴り上げる。
「ぬぽっ!!!!!!!」
分かる……。
分かるぞ……。
潰れた……。
潰れるを初めて知った……。
完全に潰れてしまったぞ……。
俺は1メートルほど垂直にジャンプした後に、空中で間を押さえると顔から地面に落ちた。顔面を地面に激突させたが、その痛みすらじられない。痛すぎるからだ。
「ふにゅにゅにゅにゅ……!!!」
気絶し、そう……。
でも、痛くて、気絶できません……。
いや、気絶しそうだわ。ああっ、もう何が何だか分からない。考えが纏まらないぞ。
「大丈夫かね、潰れたよね?」
「あ、有り難うございます……」
こ、この野郎……。自分で潰しといて、何を言いやがる……。
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