《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》25話 一難去ってしょうもない一難?のこと
一難去ってしょうもない一難?のこと
「イチローは・・・無事で何よりだが。『キャシー・・・また隨分と痛々しくなったものだ』」
目の前に停車した車の荷臺から、アニーさんが飛び降りてくる。
冗談みたいなクソデカライフルも持ったままだ。
「『ホント、殘念よねェ・・・イチローの家で療養する時間がびちゃう♪困ったわ~本當に困ったわ~♪』」
「『せめて表くらいは偽裝したらどうだ?今にも踴り出しそうだぞ』」
なにやら楽しそうに話し込んでいるが、俺は例のゾンビを見る。
アニーさんの放った銃弾の威力は凄まじく、赤子ゾンビの周辺にはそのから落ちた裝甲が散らばっている。
それに加えて、毒々しいのもだ。
人間なら余裕で致死量なんだが・・・どうだろうか。
「とんでもねえもん作りやがって・・・領國の野郎」
『魂喰』を構えながら、何が起こってもいいように備える。
なーんか、まだ死んだ?じがしない。
元から死んでるんだが。
「ギギ・・・ガ、ガ」
その時、赤子ゾンビの指がいた。
やっぱりまだ生きて―――
「おおっと」
アニーさんのライフルが火を吹いた。
腹に響く轟音が、港に響く。
「なかなか!頑丈な!ことだな!」
楽しそうなアニーさんが撃する度、ゾンビは再び裝甲をばら撒きながら転がっていく。
映畫とかで見たことあるなあのライフル・・・たしか、対戦車ライフルだかなんだか。
間違っても人型の生きに撃つもんじゃない。
「っち、予備弾をもうし持ってくればよかった・・・か?」
殘弾を全て撃ち切ったようだ。
轟音に慣れた耳に靜寂が痛い。
「ぎゃ・・・あ・・・アァ・・・ァ」
ゾンビは普通の赤ん坊みたいな泣き聲をあげると、ようやくきを止めた。
おそらく、永遠に。
「ふう・・・腕が痺れるな。あとでイチローにマッサージしてもらおう」
ライフルを下ろし、アニーさんが呟いた。
「アレは後でジエイタイにでも回収させるか・・・さすがにもう機能停止したとは思うが、どうだイチロー?」
「・・・ええ、たぶん、大丈夫でしょう」
完全に弛緩しきっている。
先程のような気配は、もうない。
もうない、が。
「一応・・・延髄あたりをザクっとしときます」
転がったゾンビに近付く。
近くで見ると、マジで尺のバグった赤ん坊・・・にはもう見えないな。
口は頭を半周するくらい裂けてるし、各部の裝甲板は昆蟲のそれみたいにっている。
「・・・南無阿彌、陀仏!」
橫倒しになったゾンビの首に、真っ直ぐ『魂喰』を突き下ろす。
銃撃によって破壊された裝甲板の隙間に、刀はするりと潛り込んだ。
・・・手のから、目當ての箇所を貫いたことがわかる。
さすがに、ここを貫かれれば生きてはいけないだろう。
刀を引き抜き、距離を取って観察する。
しばしの殘心の後、ようやく構えを解いた。
完なきまでに、死んで?いる。
黒目のない真っ赤な眼球が、どこか俺を恨めしそうに見ている気がした。
ゾンビをそこに放置し、アニーさんたちの方へ振り向く。
「イチロー!ヒナンジョ!レスキュー・・・ス、ル?」
俺に手を振ったキャシディさんが、膝を折る。
いかん!戦闘が終わってダメージを『思い出し』たのか!
「ノウ!絶対にノウ!『休んで!お願い!!』」
「オウ、ワオ!?」
崩れ落ちるキャシディさんに駆け寄り、傷のある左腕にれないように注意しつつ抱き留めた。
「『あなた、今回のMVP。荷臺で休んで』・・・アニーさん、荷臺にキャシディさんを寢かせます!」
「だ~、ダイジョブ、ヨ?」
「『駄目です』」
そのまま、キャシディさんの膝裏に手を添えて橫抱きにする。
さっきは急時だったが、危険が去った今は別だ。
休んでもらわないと。
傷の合や応急処置は済んでいるが、友でもう一度診てもらったほうがいい。
それまでは絶対安靜だ。
「『あん、ダイタン♡たまにはけも悪くないかもね・・・』」
諦めたのか、キャシディさんは俺の首に右手を回して重を預けてきた。
輸なんかはできないが、寢ておくだけで大分違うしな。
この人はバリバリの兵隊さんだから、も丈夫だし回復も早いだろう。
「むぅ・・・おーやおや、羨ましいことだ。モリヤマ、『荷臺』のボタンを押せ」
「は、ハイ!」
運転席にいた森山くん(弟)が何かを作すると、荷臺の仕切りが自的に外れた。
・・・そういえばいたね、キミ。
何故だろうか。
「んしょ・・・っと」
抱え上げたキャシディさんを荷臺に橫たえる。
荷臺にあるカラーボックスに布があったので、とりあえず丸めて枕にする。
・・・なんでこんなものが?
あ!よく見たら弾薬とかもってる!?俺の車どうなってんだ!?
「『よし。おやすみなさい』」
「『んふふ、素敵なエスコートだったわ、男さん♪』・・・オヤスミ~」
枕に頭を預け、キャシディさんは可くウインクした。
そうすると俺よりか大分年下に見えるな。
ほんと、この人たちはいくつなんだろう。
外人さんの年齢ってわかりにくい。
さて、これでキャシディさんは大丈夫だ。
アニーさんに様子を見てもらいつつ、俺は水産センターへ顔を出そう。
狀況が気になるし。
「森山さん、助かりましたよ・・・で、なんで運転してるんです?」
運転席の窓越しに森山さんに聲をかけた。
いつもより顔が悪い気がする・・・大丈夫だろうか。
「お久しぶりです田中野さん・・・ええと、自分にも何が何やら・・・門番の仕事をしていたら、この軽トラであの外人さんが警を運んできて・・・皆で協力して怪我人を搬送した後、『運転手をしろ!!』っていきなり連行されまして・・・」
「あー、なるほど」
たまたまそこにいたのか。
ご愁傷様だなあ。
「あの、今更ですけどあの方は・・・?龍宮の駐留軍の方だと思うんですが、何分質問も許してくれなくって・・・『80キロ以下で走ったら脳天を撃ち抜く』って、怖い事しか言わないんですよォ・・・」
「・・・ええっと、その、お疲れ様です。あの人は・・・そうです、龍宮の駐留軍の方ですよ。今回、詩谷方面との連攜強化の先駆けのために偵察任務中でして・・・」
正直、ここで説明するにはちょいと複雑すぎる。
なので、手短に適當な説明をすることにした。
空気を読んでくれよ・・・という視線を、荷臺のキャシディさんと話し込んでいるアニーさんへ向ける。
「・・・?ああ、ふふ」
何故か投げキッスが返ってきた。
なんでさ。
・・・まあ、いい。
「えっと、じゃあ俺は水産センターの方へちょっと行ってきます。被害狀況とか知りたいんで」
「あ!それでしたら自分も行きますよ!通信機で友に報告したいですし!」
慌てて森山くんが降りてきた。
・・・うむ、もう戦闘はないだろうから別にいいか。
彼の戦闘能力の低さには定評があるからな。
いつだったかトチ狂った高校生のタックルで気絶してるし。
「じゃあ行きましょうか・・・アニーさん!すぐに戻るんで留守番お願いしますね!」
「了解だ、いいがいても付いて行くんじゃないぞ」
あなたは俺を一何だと思ってるんだ・・・
・・☆・・
「『・・・アニー、イチローは行った?』」
「『ああ、行ったぞ。ふむ、替えの下著ならあるが?新品だが中々の破壊力の奴がな』」
「『っも!らしてないわよ!!危なかったけど・・・じゃなくって、鎮痛剤ちょうだいよ、持ってるんでしょ?』」
「『淑のたしなみだ、攜帯している・・・辛いか?脂汗が出てきたようだが』」
「『・・・あのクソったれなアバズレを撃った時に、反で合が破れて出したらしくってね。正直、マジにらしそうよ。イチローにの臭い、気付かれなくって助かったわ』」
「『それはいかんな、サムライが特殊な癖に目覚めないためにも一刻も早く処置しなければ。鎮痛剤を投與して再合してやる』」
「『一言多いっての・・・ま、ありがとね』」
「『なあに、軽いモノさ』」
・・☆・・
「向井さーん、大丈夫ですか!?」
アニーさんたちと別れ、水産センターに向かう。
破されてえらいことになったマイクロバスのなれの果てのあたりに、警が何人もいる。
そこに、見知った顔を見つけた。
さっき挨拶した向井巡査部長だ。
「田中野さん!ご無事でしたか、お怪我は!?」
向井さんがこっちに走ってくる。
お怪我は、なんて言っているが・・・そっちの方が怪我してるじゃないか。
右腕にの滲んだ包帯が巻かれている。
「俺は大丈夫なんですけど、キャシディさんが負傷しましてね。軽くここの狀況を確認したら友に戻るつもりです」
「そうですか・・・そちらの警は・・・お前、森山じゃないか!」
そうか、向井さんも友から來たんだもんな。
森山さんのことは知っていて當然か。
「いやあ、僕にも何が何やら・・・ともかく、ご無事で何よりです向井さん。右腕の怪我は?」
「発の破片が掠っただけだ、大したことはない。・・・丁度いい、お前も殘骸の調査を手伝え、宮田にはこちらから連絡をしておくから!」
「ええ!?うわ、ちょっ、向井さん!?」
言うなり、向井さんは森山くんの腕をむんずと摑んで連行していった。
おおう・・・後輩ってのは辛い立場だなあ。
「田中野さん!水産センタ-本にダメージはありません!避難民も全て無事ですので、ご自由に見學なさってください!あなたのお知り合いが心配されていましたよ!!」
「・・・あ、ありがとうございます~!」
「森山巡査はこちらに泊まらせます!報告もしておきますので、些事はお任せください・・・また、改めてお禮をさせていただきますので!」
向井さんは森山くんを摑んだまま、マイクロバスの殘骸へと向かって行く。
森山くんが『マジかよ・・・』みたいな顔をしている。
思えば彼にも悪いことしたな。
急に運転手させた上にこっちでは調査の手伝いか・・・すまんなあ。
しかし、オレにできることはないのだ。
甘んじてけれていただきたい。
がんばれ、警察!!
「やっぱり田中野くんだったかあ!!」
「こっちからもチラッと見えてたんだけどさあ!あんまり顔出すと撃たれちゃうからねえ!!」
「相変わらずアクション映畫みたいによくくねえ!!」
「そうそう!!」
マイクロバス地帯を通過し、水産センターの門を潛った。
門番の警は俺の顔を知っているようだったので、敬禮しつつ中にれてくれた。
そして、水産センターの玄関をくぐった俺を出迎えてくれたのは、懐かしいオジサンたちだった。
「みなさん、ご無事だったんですね・・・しばらく見ない間に、その・・・強そうになったもんですねえ」
以前から何かと縁のある4人のオジサンたち。
たしか・・・高木さん、宮野さん、五所川原さん、小林さんだったな。
皆さん元気そうだ。
元気そうだけど・・・
「これかい?なんか余ってるみたいでね、支給品だよ」
高木さんが言うように、みんな散弾銃を持っている。
ここの避難所は、なんと避難民にも武を配っているようだ。
いや・・・今更か、漁師さんたちはマグロ包丁でゾンビやチンピラと戦っていたらしいし。
「警さんだけに任せとくのはかわいそうだからねえ!俺達もここの一員なんだし、やれることはやんなきゃな!」
五所川原さん、似合い過ぎなんだが?
持ち方も自然だし・・・狩猟免許とか持ってんのかな。
「折角友と協力態勢になって、ここの子供たちが野菜やらやらが食えるようになったってのに・・・あんなガキ共やゾンビに邪魔されちゃたまんないからねえ」
優しそうな宮野さんも、隨分と修羅場を潛ってきたようだ。
「そうそう!!」
・・・小林さんは変わりませんね、ほんとに。
あと、なんでスキンヘッドにしたんですか?
前は薄いとはいえ髪のあったのに・・・
「田中野くんもしばらくご無沙汰だったけど、元気そうでよかったよ・・・怪我も増えてないようだし、お互いに生きて會えてよかったよかった」
・・・高木さんはそう言うが、すいません・・・服の下に新しい傷がむっちゃ増えたんですよ。
言わんけども。
「ちょいと親戚の様子を見に牙島に行ってましてね・・・久しぶりにこっちへ戻ったらコレですもん、ビックリしましたよ」
「牙島に親戚がいるのか!?」
うおお!?五所川原さんの圧が強い!?
知り合いでもいたんだろうか!?
「松本っていけ好かない糞野郎に會わなかったか!?」
「・・・えと、お知り合い、ですか?」
マジかよ。
よりによって松本の知り合いかよ。
どうしよ・・・顔面唐竹割りにしちゃったよ。
糞野郎って言うくらいだから、そんなに好きな相手でもないじだけど・・・
「アイツとは高校の同級なんだよ!あの野郎・・・俺から金借りて逃げやがったんだ!いつまでたっても返さないから取り立てに行こうかなんて考えてたら・・・ゾンビ騒だよ!」
「・・・ええっと、すいません。どの地區の人なんですか?」
「南地區・・・だったかな?」
「あー・・・申し訳ない、親戚は東地區なんで、南までは足をばせなくって・・・でも、なんかゾンビまみれになってるって聞きましたよ?」
うん、噓をつこう。
この場で説明するのも大変だし・・・それに、最期を知りたいほどの間柄じゃなさそうだ。
「ゾンビまみれか・・・じゃあ、あの運不足の馬鹿はきっと食われて死んでるな!仕方ねえ・・・20萬は香典代わりに忘れといてやるか!」
・・・そんなに借りてたのかアイツ。
今は金なんて紙屑になっちまったけど・・・それでも腹立つんだろうなあ。
「まーまー、そんなことよりさ!田中野くん!」
おおっと、小林さんが割り込んできた。
どうした急に。
「牙島の釣果はどうだったんだい!?この狀況だもんなあ、きっとれ食いだろう!?」
・・・この人たちほんっと釣り好きだよな。
俺も嫌いじゃないが。
小林さんが言ったことで、他のオジサン連中も興味津々の顔になった。
うーん、超仲いい、この人たち。
「あー・・・ですね!特にビックリしたのは岸からの投げ釣りでチヌが釣れたことですよ!チヌ!!」
まあ、水産センターは何ともないみたいだし別にいいか!
報告連絡相談は警察の方々がやるだろうし!通信も復帰したし!
この4人も元気だったし!他に気になることないし!!
「おおー!チヌ!いいねえチヌ・・・仕掛けはなんだい!?」
「いや、普通の投げウキ釣りだったんですけど・・・餌をカメノテにしたらもう釣れる釣れる!!」
釣り好き・・・いや釣りキチの4人は魚よろしく食いついてきた。
「カメノテ・・・!なるほど、そいつは盲點だったな!・・・高木、あの磯にカメノテいたよな!?」
「みんなが食い飽きるくらいいた!ここは牙島じゃないから絶対じゃないが・・・明日の朝食前に行くか!一勝負!!」
「そうそう!!」
さっきまで殺伐としていたであろう水産センターで、ここだけがいつも通りの空気に戻っていた。
やっぱ、趣味とか余暇とかを考えられるってのは平和な証拠なんだろうなあ。
「おっちゃん!チヌってなーに?」
「なあにい!?シゲ坊はしらねえのか!?チヌってのはよお、タイだ!タイ!煮ても焼いても刺でもうんめえんだぞ!!」
いつの間にか周囲には子供たちが集まってきている。
おっちゃんたち、結構好かれてんな。
「タイ!ぼく、タイすきー!食べたい!!」「ぼくもー!!」
「おじさんたちに任せなさい!!よーっし!!明日はタイ飯だああああああっ!!!」
「小林がまーた吹いてやがら、知らねえぞ~ボウズでも」
・・・その景を見ていると、さっきまで心の奧底にあったモヤモヤが消えていくようだ。
鍛治屋敷のこと。
赤子ゾンビのこと。
・・・そして、領國のこと。
前途はまだまだ多難だが、それでも・・・ここの平穏はとりあえず守れたじゃないか。
連中が何をしてくるかは未知數で、油斷はできないが・・・でも、今は。
今は、この子たちの笑顔を守れたことを、しだけ誇ろう。
「子供はいいな・・・なあ、相棒」
わちゃわちゃ楽しそうな景を見つつ、小さく呟く。
腰の『魂喰』が、ちり・・・と同意するように、優しく鳴った。
気が合うね、お互いに。
・・☆・・
「イチロー!いつまで待たせるんだ!キャシーが死んだらどうする!」
「うええええ!?すいませんキャシディさんそんなに重傷なんですか!?」
「噓だがね!!ハハハハ!!!」
オジサン4人、それに子供たちと釣り談議に花を咲かせていると玄関からアニーさんが飛び込んできた。
噓なのかよ!?心臓に悪い噓はやめてくれませんかねえ!?
「おや、そちらは知り合いかな?」
「あーはい、そうなんです。詩谷にいる時から何かとご縁がありまして・・・」
急な外人のエントリーに目を丸くしている4人に、アニーさんを紹介する。
「あの、こちら龍宮の・・・駐留軍の方でアニーさんって言うんですよ、ハイ」
「こんにちは、ダンディな方々。ウチのサムライがお世話になったようだ」
なんで肩を組むんですか肩を。
を!を押し付けるのはやめろください!!子供もいるんですよ!!!
「あー・・・ナイストゥミーチュウ・・・あの、田中野くん、以前の神崎さんは元気かい?」
何故か高木さんが神妙な顔で聞いてきた。
神崎さん?
「おっと、オジサマ。心配することはない・・・彼『も』一緒に仲良く暮らしているからね」
なんか、アニーさんの返答変じゃない?
まるで同棲でもしてるみたいな言い方じゃないですか!?
他にも住民はいるでしょ!!
「(『も』だってよ・・・)」
「(やるなあ、最近の若い子は・・・ま、あの娘はどうみてもゾッコンだったもんな)」
「(外人までコマすなんてな・・・やっぱ、強い男はモテるんだねえ・・・)」
「(そうそう!)」
・・・あの、なんで急に円陣を組んでるんですか、4人とも。
何の相談してるんですか。
「イチロー!カエロカエロ!」
「ちょっと!?キャシディさん寢てなきゃ駄目ですって!?」
「ダイジョブー!ナオッター!!」
「んなわけないでしょ!!」
なんとキャシディさんまでやってきた。
立つんじゃないの!!
荷臺にいないと駄目でしょ!この人はもう!!
「(増えたよオイ・・・)」
「(やるなあ、最近の若い子は・・・)」
「(まあ、あんだけ強いだからさぞアッチの方も・・・な)」
「(そうそう・・・)」
なんとか言ってくださいよ4人とも!!
なんですかその生暖かい目は!?
俺が何したってんだよ!!
「・・・まあ、とにかくここはもう大丈夫だよ。お土産の干を上げるからもう帰りなさい・・・そのお姉さん、怪我人じゃないか」
「そうだぞお!いっぱい食ってをつけるんだぞ!!」
「例によって余りまくってるんだ!持ってきな持ってきな!!」
「そうそう!!」
・・・なにか釈然としないが、しないが!
まあ、目的は達できたし・・・友に帰るかな、うん。
みんな元気そうだし。
「アリガトウゴザマース!ミナサン、オタッシャデー!!」
「今度は釣りに行きましょうね~!」
軽トラの荷臺から、水産センターに手を振る。
「「「「いろいろ、がんばれよ~!!!」」」」
オジサン4人が、同じように手を振ってくれる。
・・・々ってなんだ?
そんなことを考えながら、軽トラは水産センターを後にした。
俺は、キャシディさんと並んで荷臺に座っている。
急に揺れて倒れたりしたら傷に悪いからな。
護衛・・・壁役?みたいなもんだ。
「運転すみません、アニーさん」
後ろ・・・運転席に向って喋ると、壁のスピーカーから返答。
『キャシーはMVPだからな、私は援護撃くらいしかしていないし・・・ま、楽にしていろ』
・・・俺の軽トラがどんどん俺の知らない機能だらけになっていく。
大木くん、すげえなあ・・・
「了解です、キャシディさんも・・・お疲れ様です。『本當に、本當にありがとうございます。助かりましたよ』」
「ンフフ、ヨイデハナイカ~♪」
・・・ひょっとして『苦しゅうない』って言いたいの?
相変わらず妙な日本語ばっか覚えてからに・・・
「ワタシ、ネル~」
キャシディさんはそう言い、枕を抱えて俺の膝に頭を預けた。
・・・枕があるのに、なぜわざわざ膝を・・・あと並んでるのに苦しくないですかその姿勢。
あ、いいんですかそうですか・・・
「・・・ま、とにかく友に生きて帰れるっぽいからよかった・・・」
『―――今日は帰らんが?』
「へ?」
え、じゃあどこ行くの?
『もう日が暮れるし、ミヤタは助けた警からの聞き取りやさっきの避難所からの報告で手一杯だろう。今日の所はしっかり休んで、明日は新型ゾンビの報告だな』
あー・・・そっか、あの助けた警とかいたもんな。
報告も、例の赤子以外は警に任せた方がいいか。
『というわけで、イチローのハウスへ直行だ!!』
「ちょっとまって!家主!家主の俺の許可は!?それにキャシディさんはしっかり診てもらわないと!?」
急に何言い出すんだこの人は!!
『経過観察は私で事足りるし、各種薬品もある!!・・・家主の許可ぁ?イチローがしい私のカワイイお願いを斷るわけがないだろう?』
「どうしようツッコミが追いつかな・・・あ!俺の家知らないでしょアニーさん!!」
『・・・ナビに『実家』があるんだが?』
「俺の馬鹿野郎!!」
こうして、俺の気持ちだけを無視したまま車は実家へと進路を取った。
・・・まあ、別にいいけどさあ。
久しぶりに実家の様子も確認したいし。
考えてみりゃ、キャシディさんはデカいベッドでゆっくりしてもらったほうがいいしな。
うん、そのほうがいい。
俺は大人なので、面倒くさいことは無視することにした。
【コミカライズ&電子書籍化決定】大好きだったはずの婚約者に別れを告げたら、隠れていた才能が花開きました
***マイクロマガジン社様にて、コミカライズと電子書籍化が決定しました!応援してくださった皆様、本當にありがとうございます。*** シルヴィアには、幼い頃に家同士で定められた婚約者、ランダルがいた。美青年かつ、魔法學校でも優等生であるランダルに対して、シルヴィアは目立たない容姿をしている上に魔法の力も弱い。魔法學校でも、二人は不釣り合いだと陰口を叩かれていたけれど、劣等感を抱える彼女に対していつも優しいランダルのことが、シルヴィアは大好きだった。 けれど、シルヴィアはある日、ランダルが友人に話している言葉を耳にしてしまう。 「彼女とは、仕方なく婚約しているだけなんだ」 ランダルの言葉にショックを受けたシルヴィアは、その後、彼に婚約解消を申し入れる。 一度は婚約解消に同意したものの、なぜかシルヴィアへの執著を隠せずに縋ってくるランダル。さらに、ランダルと出掛けた夜會でシルヴィアを助けてくれた、稀代の光魔法の使い手であるアルバートも、シルヴィアに興味を持ったようで……? ハッピーエンドのラブストーリーです。 (タイトルは変更の可能性があります)
8 121仏舎利塔と青い手毬花
田舎ではないが、発展から取り殘された地方の街。 誰しもが口にしないキャンプ場での出來事。 同級生たちは忘れていなかった。 忘れてしまった者たちに、忘れられた者が現実に向って牙をむく。 不可解な同窓會。會場で語られる事実。そして、大量の不可解な死。 同級生だけではない。因果を紡いだ者たちが全員が思い出すまで、野に放たれた牙は止まらない。 ただ、自分を見つけてくれることを願っている。自分は”ここ”に居るのだと叫んでいる。誰に屆くでもない叫び聲。 そして、ただ1人の友人の娘に手紙を託すのだった。 手紙が全ての真実をさらけ出す時、本當の復讐が始まる。
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死んだ――と思ったら、異世界に転生してしまった。何故か、女の子の姿で。 元々変態少年だったぼくは、體が女の子になって大興奮! いつでも柔らかい胸を揉むことができるし、女湯にも女子トイレにも入ることができる。 しかも、普通の人間にはない能力がぼくにはあるらしく……。 とはいえ、痛いこととか怖いことは嫌だ。 だから自分の胸を揉み、他の美少女たちの裸を見たりしながら、平和に暮らしていきたいと思います。 もう、男には戻れません。 ……え、お金を稼ぐには戦闘をする必要があるかもしれない? 大丈夫大丈夫、ぼくにはチートと言っても過言ではないほどの能力があるし。
8 148もしも末期大日本帝國にミリオタが転生してみたら
ある日 何気なく過ごしていた矢本紗季は、過労により死亡したが 起きて見ると 身體が若返っていた。 しかし 狀況を確認して見ると 矢本紗千が 現在居る場所は、末期大日本帝國だった。 この話は、後にと呼ばれる 最強部隊の話である。 注意 この作品には、史実も入っていますが 大半がフィクションです。 Twitterの方で投稿日時の連絡や雑談をしています。 是非フォローの方を宜しくお願いします。 http://twitter.com@dfbcrkysuxslo9r/
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