《兄と妹とVRMMOゲームと》第四百三十ニ話 虛ろなる覚醒③
放課後、紘と梨は徹と小鳥ともに自宅へと歩を進めていた。
夕闇の空を背景に、紘と梨が並んで歩いていく。
駅に著いた徹は足早に人込みの中を歩き、周囲の景に視線を張り巡らした。
「周辺に変な奴らはいないみたいだな」
「恐らく、私達のことを警戒しているのだろう」
徹が抱いた懸念材料に、紘は明確に表を波立たせた。
紘は自の特殊スキル『強制同調(エーテリオン)』によって、『何も手を打たなくては』『レギオン』と『カーラ』の者達が梨に接してくることを事前に織(し)り得ている。
だが、同じ特殊スキルの使い手ーー羅の力が働けば、その報を覆されてしまうことを理解していた。
故に慎重に。
しかし、予想されていた『レギオン』と『カーラ』の者達による接はなく、不可思議な沈黙だけが下りる。
「どこもかしこも羅を敬う人達ばかりだな」
徹の言うとおり、行きう人々は時折、羅に対して祈りを捧げるだけで、特殊スキルの使い手である梨を気に留めることはなかった。
だがーー。
「怖い……」
帰宅途中の梨は不安を形にするようにをめる。
先程から誰かに見られているような視線をじていたからだ。
「梨、心配することはない。私達がそばにいる」
「今日はずっと、一緒についていてやるからな」
「うん……」
紘と徹は肩を震わせる梨を気遣って、一緒に並んで歩いていく。
梨はそっと顔を上げると躊躇うように口を開いた。
「……ねえ、お兄ちゃんは、私がここにいても、良いと思う?」
「當たり前だ」
紘の即座の切り返しに、梨は蕾が綻ぶようにらかく微笑んだ。
「俺もそう思うぞ!」
「……う、うん」
徹がここぞとばかりに口を挾むと、梨は掠れた聲でつぶやいた。
その仲睦ましげな様子を、奏良はし離れた場所から絶え間なく眺めていた。
「結局、『キャスケット』の代表として、梨の護衛に當たっているのは僕だけか。今から有達が向かうと、ここに著くのが夜になるからな」
もはや有達の助勢は見込めないと、奏良は諦めたように続ける。
「それにしても救援要請のはずなのに何故、僕だけが離れた場所で梨を見守っているんだ」
奏良は納得できないというように不満をあらわにした。
「そもそも『レギオン』と『カーラ』の者達が梨を狙ってくる時點で、プライバシー制度はもはや無意味だろう。君達、『アルティメット・ハーヴェスト』はいい加減、プライバシー制度の廃止にいてくれ」
「……おまえ、いつも一言多いぞ」
後方から発せられた奏良の素っ気ない言及に、徹は恨めしそうにを尖らせた。
険悪なムードで睨み合う二人をよそに、いつの間にか紘達が住む家が見えてくる。
「お兄ちゃん……」
梨は何かに怯えるようにして、紘の背後に隠れる。
「梨、どうしたの?」
「小鳥、何者かが潛んでいる。梨のことを頼む」
小鳥が態度で疑問を表明すると、攜帯端末を手に取った紘は的確に報を確認するようにそう言い放った。
「羅様の真なる覚醒のために、椎音梨を捕らえなくては……」
この時、奏良と徹も気づいていなかったのだが、木々の隙間から梨の様子を窺っている者達がいた。
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