この狀況となるまで、どのくらいの時間が経過したのだろうか。

賑やかだった店の中が、今ではすっかり落ち著いた雰囲気になっていた。

その間、菜の記憶にある風香の年齢では、親から立ちりを止されていた店の中にも、その姿を見せていた。

そして、ウェンディアもこの世界に來ていた。

話を聞くと、ウェンディアは菜とれ替わりで世界を渡ってきたのだという。

偶然カメリアと出會い、保護されたと言った。

ウェンディアは、”瑞希（みずき）”と名乗り、この世界で生活していったという。

それには、カメリアの人脈を使って國籍を取得し、再建した店で働くことになったという。

風香に聞いたところ、菜に負けないくらいの人気で、大人と一緒になったというが、それが誰かは教えてくれなかった。

そして、ウェンディアはこの世界に霊の力を持ってくることができた。

霊の存在自は消えていたが、この世界にも元素がしじられていた。それらをかき集めながらに蓄積し、何度か風の力を使ったことがあるという。

それによって、危険な狀況からを守ったり、だれかを助けたりしたことがあるといった。

そんなウェンディアもこの世界から旅立っていき、ここには菜たちだけになってしまっていた。

「……アタシも、そろそろどこかに行こうかな。ちょっと飽きてきたんだよね。アンタはどうすんの？」

「私？うーん……」

「私はハルナ様が殘るというのなら、ご一緒させていただきますよ。せっかく同じ時間を、またこうして一緒に過ごすことができたのです。あの時は私の子孫に任せましたが、今度こそハルナ様が満足するまで、永い時間をご一緒させていただきますよ」

「……ありがとう。マーホンさん」

そんな二人のやり取りを見ながら、小夜は腕を組んで考えるような素振りを見せる。

そして、一度咳払いをしてから、照れくさそうに菜に告げた。

「……っていうかさ、アンタも一緒に行かない？」

「え？」

「うん……今度こそ、アンタと……ほ、本當は……アンタと仲良くやっていきたいと思ってたんだ。もしかしたら、また出會えるかもしれないし、今度は家族になるかもしれないじゃない」

「ふふふ……やっと、お伝え出來ましたね？サヤ様」

そういってマーホンは、菜のことをった小夜のことを褒めた。

「ハルナ様……サヤ様は、ずっとハルナ様と仲良くされたかったようですよ？でも、わたくしも、”ハルナ様とサヤ様は家族のようです”とお伝えしたのですが、サヤ様は、本當の家族をまれているようですよ」

その言葉を聞き、菜は小夜の方へ視線を向ける。

いつもだったら、本心をばらされると怒ってみるところだが、今回の小夜はやっと口にできた達と恥ずかしさで菜の顔をまともに見返すことができていなかった。

「えぇ、いいわよ。一緒に行きましょう、小夜ちゃん！」

「では、わたくしもハルナ様とサヤ様のお供をさせてくださいませんか？」

「もちろん！ね？いいでしょ？小夜ちゃん？」

「う……うん、し、仕方ないからね」

「じゃあ！早速行きましょ！！」

「よし……じゃあ、アタシたちも再起するか」

そう言って、菜たちはこの世界からまた新しい世界へと旅立っていった。