《【WEB版】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った馴染が後悔してるけどもう遅い【書籍版好評発売中!】》172話 有名VTuberの義兄だと知らないかみにーさま

正月休みも終わり、學校が再開した。

僕とみちる、そしてこうちゃんの三人は、アルピコ學園へと向かう。

『正月休みってなんでこうすぐおわってしまうん? あと360日くらい休んでいたいんだけど……』

こうちゃんが歩きながらそんな不満の聲を上げる。

まだ休んでいたいみたいなニュアンスなのだろう。

「だめだよ、學校いないと」

『こうちゃんすでに普通のサラリーマンより稼いでるんですけど? 高校中退してもよいのでは? 藤●聡太だって高校中退してるんやろ? ならわいもやめてよくない?』

こうちゃんが回れ右して帰ろうとする。

みちるが彼の首っこを引っ張る。

「だめよおちび」

『は、はなせえ! そ、そうだかみにーさま! かみにーさまも中退しようぜ!』

「はいはい學校いくわよー。高校卒業しないと、イラストレーターだめになったときに困るでしょ?」

『あーん……學歴社會~』

アルピコの校門前までやってきたのだけど……。

「なんか変ね?」

「なにが?」

「妙に靜かじゃない? 出待ちがいないでしょ?」

「? え、でまちってなに? 有名人でもいるの?」

うちにそんなの居たっけ……?

するとみちる、そしてこうちゃんが、信じられないものを見る目で見てきた。

「勇太あんた……知らないの?」

「え、なにが」

「あんたの妹のカレシのこと」

「聡太君? 知ってるけど」

秋くらいに、詩子とその馴染である聡太君は、付き合うことになった。

「聡太の職業は?」

「なんか……なんだっけVTuberやってるんだっけ?」

「……ただのVTuberじゃあないわよ!」

するとこうちゃんがふふん、とを張る。

「我が息子、有名VTuber!」

「え、こうちゃん結婚して子供いたの?」

「ひ! ゆ!」

あ、なんだ比喩か……。

驚いた……カレシがいるのに……。

『ちな、かみにーさま、こうちゃんにカレシがいたらどうするつもりだったんだろ?』

「カレシができたらいってね。さみしいけど、応援するから」

『ほ、ほんまにこの人こうちゃんのこと好きなん……? え、好きよね? わいを溺してるんだよね? 捨てないよね、このぱーふぇくつヒロインみさやまこうをすてないよね!?』

こうちゃんが腕をぐいぐい引っ張ってる。なんだろう?

「聡太は有名VTuberで、みんな彼に近づこうと、登下校のときはすごい出待ちがおきてたでしょ?」

「へー」

「へーってあんた……知らなかったの?」

「うん」

「興味なかったの?」

「いや、聡太君VTuberやってるんだー、くらいには思ってたよ」

「それほぼ興味ゼロじゃない!?」

そうかな?

「あんたの興味って逆になんなのよ……?」

「そりゃ、みちるたちと楽しく暮らすことと、ラノベ書くことかなぁ」

「狹い世界で生きてるのねあんた……」

そうだろうか?

こうちゃんが納得したようにうなずく。

『かみにーさまってば自分が650億稼いだやばい人間だって自覚がないキャラだったね。それは世間への興味のなさゆえになんだ。だから、我が息子が世の中でとんでもない評価をけてるってことに気づいてないってわけね……』

「勇太あんたもうちょっと、世間に目を向けましょ?」

みちるが心配そうな顔をする。

「そんなんじゃ社會に出たとき苦労するわよ」

『みちる姉さん……かみにーさまがラノベ作家として廃業したときのことを考えて、かみにーさまを真人間に矯正しようとしてる! でもまって、真人間になったら、神作家じゃなくなる。そうなると……困る!』

するとこうちゃんが僕の腕をぎゅーっと摑む。

「なに?」

『ちゅっ♡』

こうちゃんが投げキッスをする。え、え、え、なに……?

「どうしたの?」

『ば、馬鹿な……わいの投げキッスがきかないやと……? ヒン●ルはこれで悩殺できたのに!』

よくわからないけど、まあこうちゃんっていつもよくわからないし、いっか。

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