《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》26話 嗚呼懐かしき実家のこと
嗚呼懐かしき実家のこと
「ここがイチローのハウス!だな!!」
「何でそんなにテンション高いんですか」
「『うーん、門が好戦的ね!』」
半ば強引に自分を納得させ、膝で睡するキャシディさんや景を眺めること數十分。
アニーさんの運転によって、車は実家までたどり著いた。
今は大木くんも龍宮に來ているし、ひょっとして誰かに荒らされてるかなー・・・なんて考えていたが、それは杞憂だった。
ここを離れたのがまるで昨日のように、実家は相変わらずの姿で俺を出迎えてくれた。
・・・やはり俺の真のホームはここだな、と認識できる。
いやまあ、なんだかんだで高柳運送も住み心地は悪くないんだがな。
「エスコートを頼むぞイチロー!」
「へいへい」
テンションがストップ高なアニーさんを通り過ぎ、門の鍵を開ける。
軽トラは・・・このまま道に放置でいいか、なんかあったらすぐに出できるように。
前のよりデカくなったから車庫にるかどうかわからんしな。
車種としても大きいし、さらに大木くんの改造によって膨らんでるし。
「では・・・『どうぞ、お嬢様方』」
門を開き、いつだったかテレビで見た執事を真似て・・・2人に向って一禮した。
格好のいいスーツでも著てたらまだよかったんだが、いつもの釣り人浪人スタイルだからちょっとな。
「ふふん、最近素晴らしいぞイチロー!」
「『ちょっと照れた顔がカワイイわね!食べちゃいたい!!』」
・・・まあ、2人には何故か好評みたいだからいいけども。
2人が通過したので、門を閉めてしっかり施錠する。
軽トラの荷臺に積まれていた好戦的な品の數々は、先に庭に運んでおいた。
例のクソデカライフルとか、各種弾薬とかな。
・・・そういえばアニーさんのライフルはどこから調達してきたんだろう。
高柳運送でも見たことないぞ、あんなの。
「・・・おお!今晩のサラダには困らなさそうだ!」
花壇には俺の植えた・・・といっても世話はほぼ大木くんだが・・・サニーレタスが青々と茂っている。
その橫には、いつの間にかジャガイモらしき芽がだいぶ大きく育っている。
ちなみに、俺が適當にこさえた全自水やり機は大木くんによってかなり大掛かりなものに改良されていた。
仕組み自は変わらないようだが、タンクが超デカいモノに置き換えられている。
うーむ、大木くんにはマジで足を向けて眠れないなあ。
今も定期的に來てくれているようで、雑草もびていない。
「・・・おっと」
その片隅に、こんもりとした土饅頭。
ささやかな墓石の橫に、かわいらしく花が咲いていた。
雑草じゃないな・・・ひょっとして大木くんが植えてくれたのだろうか。
「ちょっと、すいません」
2人に斷ってそこまで歩く。
・・・ここにサクラのおかあちゃんを埋めたのが、遠い昔のようだ。
『サクラのおかあちゃん』と、我ながらヘタクソな字で書かれたその前にしゃがみ込む。
「―――ただいま、おかあちゃん。娘は毎日毎日・・・超、元気にしてるぞ」
手を合わせる。
名前を知らないのが難點だなあ、夢で會えた時に聞いとけば・・・ワンワンしか言ってなかったな。
さすがに夢でも犬語は無理か。
「友達もいっぱいできてなあ・・・今なんか馬もいるんだぜ、馬。かわいそうな子供たちもいるんだけどな、サクラのおですっかり元気になったよ」
俺が見た時は既に死んでいたが、それでもあの狀態を見ればどれほど大変だったかわかる。
「それは全部、おかあちゃんのおだよ・・・立派な母親だなあ」
俺も、できるだろうか。
ああまで立派に、誰かを守ることが。
自分の、命すら捨てて。
「・・・ま、サクラはあと20年は元気で生きるだろうからな!可哀そうだが親子の再會はそれまで待っててくれよ!」
そう言い、もう一度しっかりと手を合わせた。
・・・アレが本當の景だったんなら、そっちにゃ他の子供たちもいただろう?
家族みんなで、ゆっくり待っててくれよな。
こっちではうんと俺たちが幸せにするからさ。
短い黙禱を終えて振り返ると、アニーさんたちがそれぞれ手を握り合わせて瞑目していた。
おや、俺に合わせてくれたのかな。
「・・・これが、イチローの言っていたサクラの母の墓か」
そういえば前にそんなことを言ったような気がするな。
「ええ、命懸けで娘を守り抜いた・・・最高の母親が眠ってます」
「ふふ、私もいつかそんな母になりたいものだなあ?」
・・・何故俺を見つめるのですか、何故。
「『サクラちゃんも幸運よね。最高の母親に守られて、最高の父親に引き取られたんだから・・・』ンフ、イチロー、イイパパ」
「よせやい、前半はまるでわかんないけど後半は照れるぜ」
ちょいとしめっぽい雰囲気になっちゃったな。
いつまでもこうしてても始まらない、家にろう。
キャシディさんは怪我人だ、早く休んでもらわなきゃ。
「じゃあ家にりましょっか」
「私もキャシディのように抱えてもらおうかな?」
「サーカスの曲蕓みたいになるんでNGです、最悪死にます。ベランダからるんですから」
墓に軽く手を振り、隠してある腳立の方へ向かった。
ええと、確か倉庫の裏だったよな。
―――どこからか、遠吠えが聞こえた気がした。
・・☆・・
「とりあえず風呂沸かしますかね~、適當に寛いでてください」
ベランダ経由で家にり、1階の居間に下りた。
一般ゾンビ対策で窓という窓を塞いでいるので真っ暗だ。
庭の発電機はしっかり起させておいたので、すぐにランプを點けた。
「ワオ!映畫イッパイ!ステキ!!」
キャシディさんは、居間の本棚に詰め込まれたDVDを見て目を輝かせている。
「・・・どれもまあ、隨分と好戦的なモノばかりだな。もっとこう、しっとりとしたラブロマンスとかはないのか」
「ないでーす」
俺に何を期待しているのか。
高柳運送に置いてるのもアクションばっかりでしょ。
でも洋畫は最後がキスで終わるのも多いから実質ラブロマンスでは・・・?
あ、これ璃子ちゃんに否定されたんだった。
「たぶん置いてあるプレーヤーは全部くんで、よかったら暇つぶしに好きなの見てくださいね~」
それだけを言って、風呂場に向かう。
・・・そういえば床に埃がないな、大木くんが掃除してくれたんかな。
たぶん寢泊まりもしてると思うけど、全然そんな気配もない。
ホント、できた男だよ。
俺も見習わないとなあ。
さて、風呂風呂。
確か予備の湯沸かし棒があったハズだよな~・・・
「戻りました~、大2時間くらい・・・で・・・」
風呂の準備をして戻ってきたら、居間のソファーで2人が寢息を立てていた。
アニーさんもキャシディさんも、あどけない顔で眠っている。
・・・そうだよなあ、今日は大変だったもんなあ。
ゆっくり寢かせてあげよう。
キャシディさんなんか大怪我したんだし。
アニーさんも、友と水産センターを高速で往復したんだもんなあ。
・・・半分は森山くんだが。
俺は、2階からデラックスな布団を持って降りることにした。
最後に使ってからしっかり干したので臭くはないハズだ。
しでもリラックスしてもらわんとな、現狀実家にある中でアレが一番高級だし。
・・☆・・
ピピピ、と電子音がする。
「むう・・・う?」
時計のアラーム・・・?
ああ、そうだそうだ、風呂の沸く時間だ。
アニーさんたちに布団をかけてあげた後、寢顔を見るのもアレなので2階に戻って漫畫を読んでいた。
そしたら俺も眠くなったので、晝寢をすることにしたんだった。
「ふあぁあ・・・実家は偉大だな、超よく寢・・・た・・・?」
あれ、なんで1階の天井が見えるの?
俺は確かに2階のベッドで寢たはずだ。
それに、この布団・・・2人にかけてあげたやつじゃないか。
「・・・うん、なんでかな」
がかない。
何故なら、俺はアニーさんたちに挾まれて寢ているからだ。
居間の床にマットレスを敷いて、天井を見上げる形で。
「んふ・・・」「ンゥ・・・」
どうしよう、両隣から超いい匂いがする。
そして両腕をがっちり摑まれている。
・・・俺が斬新な夢遊病を発病したのでなければ、たぶんアニーさんが眠った俺を下まで運んだんだろう。
何故???
俺にはこの人が本當に何一つわからない。
だが・・・こうしてずっと寢かせておいてあげたいが、このままだと風呂が地獄の窯みたいになってしまう。
ここは心を鬼にして手を引き剝がそう。
まずはアニーさんの方からだ。
んぐぐ、寢ているのになんて力だ。
「おい、引き抜くんじゃない、むしろ突っ込め。楽園は意外と近所にあるんだぞ」
「起きてるじゃないですかーやだー!」
目を開けたアニーさんは嬉しそうに笑うと、やっと俺の手を解放してくれた。
次はキャシディさんだ・・・腕怪我してんのに元気だなあオイ。
「んぐぐぐぐ・・・」
「『なあにぃ?もう、甘えんぼさんねぇ・・・ンフフ』」
「ウワーッ!違う!『挨拶』は求めてない!求めてないッ!!」
寢ぼけまなこで頬にキスの雨を降らされつつ、なんとか腕を引き抜いた。
・・・しかしこれだけ騒いでも起きないな、キャシディさん。
「腕の再合にしだけ強い鎮痛剤を投與したからな、気が抜けた分効きもいいんだろう・・・そのまま寢かせておいてやろうか」
「あー、なるほど」
俺達の見ている前で、キャシディさんは布団を左右に巻き込んで伊達巻のような形狀にした後再び眠り続けた。
なんだかかわいらしい。
「あー・・・フフ、寢袋生活が長いとこうなるんだ。私も、チエコさんの家に來たばかりの頃はずっとこうして寢ていたな」
はー、そういうもんか。
あ、じゃあ後藤倫パイセンがたまにこの狀態で寢てるのもそういうことか!
あの人、世界がこうなる前からキャンプ好きだもんな。
雪山に泊まって、冬眠してないヒグマと毆り合ったこともあるって言ってたし。
さすがに噓だと思うけども。
「じゃあ、まずはアニーさんが風呂にってくださいよ。もういい時間なんで、俺は飯の準備しときますから」
「おやおや・・・キミは本當によくできた男だな。私の好度はもうウォール街の大人気銘柄並だがね?これ以上好かせていったい何を企んでいるのやら・・・フフフ」
アニーさんは何か恐ろしいことを呟いている。
うーむ・・・好かれる原因isどこ?
「あ、これよかったらどうぞ。妹の服ですけど適當に選んでください」
ともかく、著替えがなくては始まらない。
布団をかける時に探しておいた、妹の服を詰めたカゴを差し出す。
妹よ・・・スマンが借りるぞ、生きて帰ってきたら土下座するから許してくれ。
「ほう、妹がいたとは知らなかった・・・どれどれ・・・フムン」
アニーさんはしゃがみ込み、服の山を掘り返している。
「・・・イチロー、すまないが無理だ」
「あれ?なんか気にりませんでしたか」
そう聞くと、アニーさんは笑いながらシャツをに當てた。
どう見てもサイズが合っていない。
その、が。
「妹さんはスレンダーで羨ましいよ」
「・・・お古ですけど、オレのシャツでよければ」
・・・そういえば妹は背は高いけどは・・・だった。
じゃあ他の家族の服を・・・ううむ。
親父は小柄だからなあ。
オフクロも似たようなモンだし、俺の服しかもう殘ってない。
嫌かもしれんが我慢してもらおう。
「なんだあるじゃないかいいモノが!さあ!早く持ってきたまえ!」
・・・超嬉しそう。
まあいいけどさ。
「はーい」
2階に行ってくるかあ。
できるだけ綺麗なのを選んで來よう。
〇ニクロと〇―クマンばっかりだけども。
・・・オシャレじゃないけど、まあ頑丈だからいいだろう。
・・☆・・
「・・・変わりは、ない・・・か?」
塀の影で獨り言。
見える風景には、ゾンビや人間の姿はない。
あれからアニーさんに服を渡し、飯の準備を・・・と思ったところで備蓄食料がないのに気が付いた。
龍宮に行くときに、保存食は全部運んだのをすっかり忘れていたんだ。
というわけで、食糧倉庫(自稱)の公民館へと足をばした。
ここいらは前から人気が全然なかったが、それにしたって今は生存者が住んでいる土手が近所にあるのになあ。
住宅地よりも繁華街や店に探索に行っているんだろうか・・・ま、用心はしておこう。
兜割を片手に持ち、足元に気を付けて歩く。
公民館は・・・うん、窓やり口に変わった様子はない。
保存食の備蓄場所としてこういう所はメジャーだと思うが、燈臺下暗しなのかな。
「・・・!」
公民館の裏口へ回ろうとして、気配に気付いた。
・・・いるな、何か。
壁に沿ってゆっくり進み、手鏡で確認。
思った通り、ボロボロのスーツを著たサラリーマンっぽい人影がいる。
・・・うお、背中が抉れてるし両腕がない。
間違いないな、ゾンビだ。
見た所コイツしかいないが、聲を上げられると援軍が來る可能もある。
一気にカタを付けるか。
「っふ!」
壁から跳び出し、ゾンビの方向へ地面を蹴る。
さすがに気付いたのか、ゾンビがこちらを振り向く作。
狙いは・・・首ィ!!
「―――ァッ」
突進の勢いを乗せた兜割が、橫薙ぎの軌道でゾンビの首にめり込んだ。
「うぉおッ!?」
だが、俺は忘れていた。
詩谷のゾンビはよわよわゾンビだということを。
黒ゾンビやそれ以上をぶん毆っていたから、完全に力加減を間違えた!
兜割はゾンビの首の骨をアッサリ砕き・・・その首を元から捥ぎ取った。
取れた首が、公民館の壁にぶつかってべしゃりと砕けた。
ゾンビのが倒れ込む。
殘心しつつ周囲を確認するが、おかわりはないようだ。
「ありゃりゃ、いかんいかん・・・いや、なんか変だな?」
いくら黒ゾンビを殺せるくらいの力で毆ったといっても、さすがに首が捥げるのはおかしい。
ゾンビの死?をし調べてみる。
「・・・あー、なるほど『先客』か」
ゾンビのに、いくつか真新しい傷がある。
の分は死んで?から付けられたらしいな、シャツだけ破れては出ていない。
両腕の付けも・・・うん、切り口が鋭利過ぎる。
食いちぎられたんじゃなくて、鉈か何かで斬られたっぽい。
そして首だが・・・
「頭の方は鈍・・・か?んで首元は鉈かな?」
つまるところ、俺が出くわすまでにこのゾンビは誰かにボコボコにされていたらしい。
首なんか骨で繋がってるような狀態だったんだな。
とすると、おかしい。
この傷はゾンビを倒そうとして付いたようなじじゃない。
無力化するなら頭を潰すか首を切ればいい。
なのに、無意味な部への痕がかなり多い。
心臓狙いならわかるが・・・腹部に集中している。
これはどちらかと言うと・・・
「スポーツハンティングってじか」
面白半分に武を振るって、遊んでいたような印象をける。
傷の種類からしても、2~3人で囲ってやったようなじだ。
ナイフと、鉈と、それから鈍だな。
―――さっき手を合わせた、サクラのおかあちゃんを思い出した。
彼がそうされたように、ゾンビを遊び覚でボコす連中が出てきたってことか。
別にゾンビに対して博神に目覚めたわけじゃないので、それについては思う所はない。
思う所はないが・・・
「・・・ゾンビじゃ満足できなくって、ターゲットが人間に移らないといいんだけどな」
それだけが気がかりだ。
できれば、自分よりも明らかに強い連中に喧嘩を売って殺されてしい所だが、ああいう手合いは絶対に弱い相手しか狙わんもんなあ・・・
「詩谷も騒になったもんだな・・・」
しだけ故郷の行く末を憂いつつ、気を取り直して公民館へと侵することにした。
うどんの乾麺がまだ大量にあったはずだから、ざるうどんにでも・・・あ、いや。
ここは一つ『アレ』にしようか。
久しぶりに食べたいし。
・・☆・・
目當ての乾燥うどんを持ち帰った俺は、早速調理にかかることにした。
アニーさんはまだお風呂だろう、楽しそうな鼻歌が聞こえる。
まずは乾麺を大鍋で茹でる。
5人前くらいでいいかな?今日は晝食ってないし・・・運(意味深)もしたからな。
ちょいと固めにゆで上がったうどんをザルに開ける。
それをシンクに置いておき、フライパンを簡易コンロに乗せる。
オリーブオイルをれて熱し、乾燥ニンニクを親の仇の如く投。
パチパチと音がしたところで、うどんと一緒に鍋にぶち込んでらかくしたビーフジャーキーを細かくちぎってそこへれる。
あ~、この匂いたまんねえ・・・
「うーむ、いい匂いだ。何から何まですまんな、イチロー」
おっと、アニーさんが所から出てきた。
・・・俺のシャツでもがパツパツだあ・・・大陸サイズってすごいや。
「いえいえ、俺も食うんでこれくらい気にしないで」
オイルに味が沁み込んだところで、茹でておいたうどんをそこへぶち込み・・・強火で和えながら炒める!
パスタだとわからんが、俺はここでちょっと焦がすくらいが好きなんだ。
「イーニオイ!」
どうやらキャシディさんも起きたようだ。
元気そうで何より・・・っと。
うどんが軽く炒まったら大皿に移し、形を適當に整えて胡椒を振る。
そして、庭から取れたサニーレタスを千切ってオリーブオイルに浸したモノを目いっぱい振りかける。
「完!なんちゃってぺペロンうどん田中野式!!」
金がない大學時代によく食ったもんだ。
パスタの方も好きだが、なんかこうすると焼うどんアトモスフィアがしておいしい・・・気がする!!
「ほう・・・パスタじゃないな、こんなウドンもあるのか」
「簡単な男の料理ですが、サニーレタスくんがいるので見た目はオシャレです」
アニーさんと話しながら居間へ戻ると、キャシディさんが布団を綺麗に畳んでテーブルの前で待っていた。
・・・正座してる!そんなに腹減ってたのか。
「ソレ!イチローノ、オテセー?」
お手製、かな?
「イエスイエス、ベリーベリープアーフード、ソーリー」
「トンデモナイ!!!!」
キャシディさんはバンザイをしている。
そうすると一気にかわいくなるな、由紀子ちゃんの同級生か?
外人さんだと箸よりフォークかな・・・と思ったが、両方用意しておこう。
アニーさんは箸むっちゃ上手に使うし。
大皿と取り皿を置き、皆で座る。
「ま、とにかく食いましょうや。今日は本當にお疲れ様でした、特にキャシディさん」
「ナンノナンノ!」
何となくそんな気分だったので、フォークでうどんを食う。
・・・うん!ニンニクがよく効いていて味い!!
正直こっちの方がパスタよりも好きだ、モチモチだし!
「ン、味い。しが付きすぎるが・・・な?」
な?じゃないよ。
無視します。
「オイシ!」
その食いっぷりを見るに、キャシディさんは大丈夫そうだ。
頬っぺたハムスターみたいになってるけど大丈夫ですか?
そんなわけで、久方ぶりに適當な男メシを楽しんだ。
たまには悪くない。
毎日だと超面倒臭いけど。
・・・斑鳩さんには頭が下がるなあ。
「ああそうそう、さっき出かけた時のことなんですが―――」
腹いっぱい飯を食い、コーヒーを飲んでまったりしている時に話しを切り出した。
例のボコボコゾンビについてだ。
この近辺に、もしかしたら変なのがうろついてるかもしれんからな。
「フムン、どうせならキッチリ無力化しておいてしいモノだな・・・とりあえず明日、ユーアイで報告しておこうか」
「『趣味が悪いわねぇ、ゾンビに思う所はないけど・・・ま、なくとも仲良くなりたいタイプの人種じゃないわ』」
かなりの修羅場を潛った2人だけに、たいして気にしてもいない様子だ。
まあ、脅威にはなりえないわな。
「あ~、しかし、そう言った手合いは屈折していることが多いからなあ・・・我々のような見目麗しい陣は狙われてしまうかもしれんなあ~?」
見目麗しいとか自分で言うんだ・・・間違ってはいないけれども。
「頼りにしているぞ、イチロー・・・む、キスの1つでもしてやろうと思ったが今はやめておこうか」
「マジか・・・それじゃあ毎日ニンニク食おうかな・・・」
脇腹に的確なチョップがめり込んできた。
うどんが!うどんが家出しちゃう!!
「シナバモロトモ!シナバモロトモ!」
「ウワーッ!?ヤメローッ!!」
そんなふうにどんちゃん騒ぎしながら、久々の実家の夜は更けていくのだった。
今日は平和だった・・・毎日こうだといいんだけどなあ。
「さあ、歯を磨いて映畫鑑賞、そして皆で一緒に寢ようかイチロー!」
平和じゃなかった!!
誰か!誰か助けて!!!ゾンビより手強い!!!!
【WEB版】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い【書籍版好評発売中!】
※書籍化が決定しました! GA文庫さまから、好評発売中! 書籍化に伴いタイトルが変更になります! (舊タイトル「【連載版】「あんたが神作家なわけないでしょ」と幼馴染みからバカにされたうえに振られた) 陰キャ高校生【上松勇太】は、人気急上昇中大ベストセラーWEB小説家【カミマツ】として活動している。 ある日勇太は、毎日のように熱い応援を送ってくる幼馴染が、自分のことが好きなのだろうと思って告白する。しかしあえなく大玉砕。 「ぼ、ぼくが作者のカミマツなんだけど」 「はあ?あんたみたいなオタクと、神作者カミマツ様が同じわけないでしょ!?」 彼女は勇太ではなく、作品の、作者の大ファンなだけだった。 しかし、幼馴染みはのちに、カミマツの正體が勇太と気付いて後悔するが、時すでに遅し。 勇太の周りには、幼馴染よりも可愛く性格も良い、アイドル聲優、超人気美少女イラストレーター、敏腕美人編集がいて、もはや幼馴染の入る余地はゼロ。 勇太は自分を認めてくれる人たちと、幸せ作家生活を続けるのだった。
8 61高校生である私が請け負うには重過ぎる
海野蒼衣(うみのあおい)、高校三年の春。 そんな時期に転校してきたのは黒衣をまとった怪しげな男子高生。 彼には決して表向きには行動できないある『仕事』を行なっていた⁉︎ そしてひょんな事から彼女は、彼の『仕事』へと加擔せざるを得ない狀況に陥ってしまう。 彼女の奇妙で奇怪な最後の一年間が始まろうとしていた。
8 159魔法科高校白百合學園底辺クラス1年C組〜実力で示してみろよ〜
魔法が使える世界、"魔界"に設立された『白百合學園魔法科高校』。 主人公、千葉 晴生《ちば はるき》は白百合學園1年C組という底辺のクラスに配屬される。 擔任の片岡 日寄《かたおか ひより》から、 底辺から脫出したければ実力で示せと言われるが、クラスの仲は徐々に悪くなっていくばかりであった。 そんな中、クラスを一致団結させようと篠原 盟《しのはら めい》が晴生に協力してほしいと頼まれるが…? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー お気に入りやコメント、いいねなど小説を書く上でとても勵みになります!少しでも良いなと思ったら、お気に入りやコメント、いいねよろしくお願い致しますm(__)m 同時連載中の作品...『勝ったら賞金10億』ゲーム依存者がデスゲームに參加した結果。 暇があれば是非!
8 110俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~
【更新不定期】仮完結※詳しくは活動報告 舊 「異世界転生は意味大有り!?~エンジョイやチートは無理だと思われましたが~」 ごく普通の(?)ヤンキー高校生「中野準人」はある日死んでしまった。 その理由は誰にもわからない。もちろん、本人にも。 そして目が覚めたら見知らぬ家の中。幼馴染の如月彩によると地球と異世界の狹間!? 立ちふさがる正體不明の者、優しい大魔王様、怪しい「ボス」、悪役ポジションの大賢者!? 全てが繋がる時、彼らや世界はどんな変化を見せてくれるのか……? 一見普通な異世界転生、しかしそれこそ、重大な秘密が隠されていて。 『僕らは行く、世界をも、変えていくために――――――――』 主人公、ヒロインは最弱。しかしそれでも生き殘ることができる、のか!? 想定外の出來事だらけ! 「えっ!?」と言わせて見せますよ俺の異世界転生!!! PV17000突破!ユニーク6000突破!ありがとうございます! 細かい更新狀況は活動報告をよろしくお願いします。
8 196ステータス、SSSじゃなきゃダメですか?
最強にして至高。冷酷にして無比。従順にして高潔。人間の間でそう伝わるのは、天魔將軍が一人《瞬刻のヴィルヘルム》。これまでにステータスオールSSSの勇者達を一瞬で敗北へと追い込み、魔王の領土に一切近付けさせなかった男である。 (……え? 俺その話全然聞いてないんだけど) ……しかしその実態は、ステータスオールE−というあり得ないほど低レベルな、平凡な一市民であった。 スキルと勘違い、あと少々の見栄によって気付けばとんでもないところまでのし上がっていたヴィルヘルム。人間なのに魔王軍に入れられた、哀れな彼の明日はどっちだ。 表紙は藤原都斗さんから頂きました! ありがとうございます!
8 157感傷
悲しみ、怒り、喜びなどの 人間の感情を話の軸にした短編小説集。 「犠牲」 とあるきっかけで殺人を犯してしまった遠藤翔 (えんどうしょう) その殺人の真相を伝えるための逃走劇 そして事件の真相を追う1人の若き記者、水無月憐奈の物語 「メッセージ」 20歳の誕生日の日、家に帰ると郵便受けに手紙が入っていた。 その內容は驚くべきものだった。 「犠牲」のその後を描いたAnother Story 「ニセモノカゾク」 當たり前が當たり前じゃない。 僕は親の顔を覚えていない。 ここに居るのは知らない親です。 家族の形が崩壊していく様を描いた物語
8 168