《化けになろうオンライン~暴食吸姫の食レポ日記~》スタングレネード(致死)

「……これは酷い」

道中出くわした悪魔の軍勢、そこに向かってアリヤに特製スタングレネードを投げさせた結果……まぁなんというか、全滅させてしまった。

日本でね、聖って言われる達が集まって作った聖屬の一つで大抵の化けプレイヤーはこれ喰らうと一定時間けなくなるの。

こう、いろんなゲームの姿が現れた結果聖とか聖職者みたいなクラスのあるゲームからもいろんな人が來たし、いろんな人が種族が変わったから生産は問題なし。

一般流通してるし子供のお小遣いで買えるお値段だったりするそれを、悪魔に向かってポイっとね……。

「んー、素材も殘さず消滅……威力過多ですね」

リリエラが心地を見つめて呟く。

「それにこれ、ここ凄い聖屬の力に満ちてます。並の悪魔なら立ちれないですね……」

「リリエラはなぜ問題ないのだ」

「それは、ほら。お姉さまが規格外ですし」

「納得した」

なんか二人は仲良くなった。

それはいい事なんだけど、私の好度は相変わらずのようでアリヤからは々邪険に扱われている節がある。

けど……。

「こんなに威力あるものじゃないんだけどなぁ……」

「そうなんですか?」

「うん、これうちの地元だと子供も持ってるようなものだから。それこそこっちで言うなら木の棒とか、ちょっと贅沢して買ったナイフくらいな覚」

「だから魔境と一緒にしないでほしいと……いや、もうなんでもいいです」

アリヤが頭を抱えているが、しかしやはり妙だ。

今回の場合は二重の意味でだけど、まずスタングレネードの威力が高すぎる事。

逆説的にこっちの悪魔が弱いとか、今回の軍勢は弱兵だったとかの可能もあるけど……それにしても効きすぎている。

もしかしたらという可能を挙げるなら邪悪屬、つまるところの聖屬の逆を極めたレベルだったという事もあり得る。

それでもたまに人の家に不法侵しようとしてくる、アイゼンのような高位悪魔はゲーム時代でも聖屬をある程度無効化できてた。

だというのにこれは……まぁ考えてもわからないからパス。

次に疑問となるのは、なぜこの場所にこんな軍勢がいたのかという事。

どちらかというとこっちの方が重要だったりする。

「アリヤ、近くに人が住んでいそうな場所。あるいは何かの拠點になってるような場所はある?」

「この近辺ですと……大小合わせた村や里が20ほど、街と呼べる大きさになれば3つですね。あとは……鉄鉱石の鉱脈がある山が一つです」

その中で怪しいのは街と鉱山かしら……でも鉄鉱石だとなぁ。

あれ、どこにでもあるからあまり価値が無いし金屬は魔力を流出させやすいからミスリルなどの鉱脈にもなりえない。

結果的に鉄鉱石メインとなるとたいそうな場所じゃないという事になる。

まぁゲーム時代の記憶だから適用されているのかは別として。

「大きな街で何か重要な拠點になってるとかそういうのは?」

「ないですね。基本的にどの街も流通拠點となっていますが一か所潰れた程度では流通に影響などないです。3つ同時に落ちたら問題かもしれませんが、それでも數カ月もすれば流通も戻るでしょう」

「むむむ……ますますわからなくなったわね」

「なにがですかぁ?」

リリエラが甘い聲で私の肩に寄り添う。

……ナチュラルにボディタッチどころかスキンシップレベルの事やってくるのやめてほしいなぁ。

あっちに連れ帰ることになったら祥子さんにぶち殺される、理的にも神的にも。

「はい、過度なスキンシップはお斷りよ。既婚者なんだから」

「第二婦人でいいですよ」

「よくないわよ」

「お二人とも、漫才はそれくらいで。して、なにがわからないのですか」

「漫才って……まぁいいわ。悪魔の軍勢がこんな所にいたことよ。なんでこんな無意味な場所をってね。近くにあるのは復舊や代理が可能な流通拠點、あまり価値のない鉄鉱石の鉱山、適當な村とかがいくつも、ここを抑えてもどうにもならないでしょ」

攻めるにしても意味が無く、仮にも流通の一助を擔う場所が3つも並んでいれば討伐隊が派遣されることだってあり得る。

スタングレネードを投げ込めた辺り守りに適しているわけでもない。

どころか拠點を作っている様子すらなかった。

ただ軍勢で狩りに出ているような狀態というべきか。

「悪魔の考える事は分かりかねますが、あの程度であればそこら辺を闊歩していてもおかしくないかと」

「私も木っ端者でしたから知ってますけど、あれたぶん口減らしですよ?」

「口減らし?」

「えぇ、悪魔の中でも弱い人達……一部の、主にの悪魔を除きこうして人間界に侵攻軍として送り込まれるんです。捨て駒であり、人間界の地図を作れたらいいなぁくらいな扱いで」

「……の悪魔は?」

「各地に派遣されて娼館を開きます。ちなみにちゃんとの悪魔であるという証明ができれば人間界の娼館でも働けますね、一部の國に限りますが」

「……共存してるんだ」

「まぁ、実のところ私達戦う理由ないですから。人間も人間での悪魔なら見逃してもいいかなって扱いをしてくることが多いので。それこそ命に関わったりとか、大量殺人をしない限りは」

……あぁそういえば辰兄さんが言ってたわね。

人間一番が高まるのは命の危機に瀕した時であると。

こっちの世界は毎日何かしらの危機に曬されているからも旺盛、結果的に系譜だけは共存ができるのか。

「あれ? 怠惰は?」

「自分たちの領地から出てこないので存在すら認知されてないと思いますよ」

「……もうちょっときなさいよ」

ともあれ、スタングレネードがよく効いた理由が分かった。

あいつら、レベルがクッソ低かったんだ。

結果的に他ゲームだけど上級職とかに分類される聖とかが作った聖屬がめっちゃ効いた。

その結果余波で殲滅されたという事だろう。

ただもう一つ産まれた謎としては、この辺りが聖域になったという事くらいかしら。

そんな効果なかったと思うんだけどなぁ……ちょっと後で調べてみよう。

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