☆★☆★　好評発売中　☆★☆★

『アラフォー冒険者、伝説となる』単行本6巻が初速好調です。

BookLive、BOOK☆WALKERのランキングにて1位！

TSUTAYAランキングにも紙の単行本が17位にることができました！

お買い上げありがとうございます！！

まだ買われていない。週末に買おうと思っていた読者の方は是非よろしくお願いします。

２つの剣閃が閃く。

瞬間、しぶきがリヴァラスの頂上で舞った。激しく出しているのは、ガダルフの方だ。自慢のローブの下から、鮮が飛び散っている。狂気的な支配に取り憑かれた天上族が流すのは、意外にも綺麗なをしていた。

ガダルフが頽れる。

ストラバールはおろか、かつて自分が支配していたエミルディアですら壯大な実験場にし、世界の破滅と唯一無二の存在になるために暗躍した男は、小さな【大勇者(レジェンド)】とその部下によって……。

「――退治された。……なんてことはないんでしょ、ガダルフ」

勝負が著いたかに見えたが、レミニアも、そして橫に並ぶハシリーも構えを解かない。戦場の張はガダルフが倒れた時以上に極まっていた。

「…………」

ガダルフの手が上がる。

それは何気ない所作だったが、何か奇妙だった。

まるで誰かに糸で引っ張られたようにいたのだ。

すぅと柳の幽霊のようにガダルフは立ち上がる。

「畳み込みましょう！」

「待って、ハシリー！！」

レミニアの制止の前にハシリーは走っていた。

ガダルフの恐ろしさは一時とはいえ、側にいたハシリーの方がよく知っている。こうもあっさりとダウンをとれたことは僥倖というよりは、ただただ首を傾げるだけだったが、先制していることは間違いない。

何より、よく知るからこそガダルフの底の知れない奇異な気質に背中を押されたところがあった。

「終わりです、ガダルフ！！」

ハシリーが細剣をガダルフに向けて放った時、巨大な影が覆う。否、それは大きな壁だ。まるで何十萬匹とドジョウが這うようなヌメヌメとした壁。ガダルフにけしかけたハシリーは逆に壁に飲み込まれそうになる。

「第８階梯魔法――閃進の大凰(ストライクバード)！！」

ハシリーの背後が赤くなった次の瞬間、炎の鳥が壁を消し飛ばす。

退路がわになると、ハシリーは迷わず退いた。

「すみません、レミニア」

「油斷大敵よ、ハシリー。それにしてもここでまたなりそこないとはね。隨分と蕓がないじゃない」

レミニアがを噛む。

壁だと思ったそれはいくつものなりそこないが、スクラムのように肩を抱いて合した姿だった。

「キングなりそこないね」

「なんでキングなんですか？」

「何となくよ」

なりそこないだけなら何も問題ない。

レミニアたちが余裕なのはそのためだ。

問題はこの大挙して現れたなりそこないが何をしようとしているかだ。

「レミニア、あれ？」

なりそこないの壁の向こう。

そこにはガダルフがいるはずだが、もう１人見慣れぬの姿があった。

鬱したを思わせるような青白いドレス。目は落ちくぼみ、長い髪は氷のように固まっている。手は長く、爪の先が鎌のように灣曲していた。

ぼうと立っているガダルフの後ろで、厚いを歪めて、愉悅に浸っている。

「何とけない。死(われ)に力を借りながら、また死(われ)の前に現れるのか？」

ガダルフに語りかけている。

そのやりとりを見て、レミニアは目を細めた。

「なんか見たことがあるわね、あいつ」

「久しいな、レミニア・ミッドレス」

「うわ！　こっちに話しかけてきた」

「レミニア、何をしたんです？」

「そうか。ハシリーは知らないのね」

レミニアがの正を話そうとした時、そのはガダルフのに手をばす。蜘蛛が獲を絡め取っているような比喩が容易に浮かんだ。

「我が名は霊哭と冥死の神ルディミア……」

名前を聞いて、レミニアは目を細める。

ハシリーもハッと息を飲んだ。

「ルディミアって……。確かレミニアがルネットさんを復活させた時に力を借りた」

「そう。ガダルフが復活できたのも、あの迷な神様のおかげよ」

レミニアはため息を吐くと、ルディミアはさらに口端を広げて笑った。

「久しいな、小さき勇者よ。あの時の一喝……。なかなか死(わ)が耳に響いたぞ」

「それはどうも……。悪いけど、退散してもらわよ、神様。そいつは復活してはならないものなの」

「死(われ)にとって、善も悪も関係ない」

「世界が滅ぶのに……？　失業してもいいの？」

「それも一興よ。さて、ガダルフとやら。今度は死(われ)に何をさせたい？　傷の回復か、それとも死を注ぐか……。さあ、め。お前の中の死(われ)を見せよ」

青白くなったガダルフの顔を弄ぶ。

紫の口はかすかにいた。

「力だ。すべてくれ」

「カッカッカッカッ！　面白いことをいう。そしてシンプルにして、わかりやすい。しかし、お前が死(われ)に送る対価はあるのか？」

「ある？」

「ほう。それは？」

ガダルフの首がゆっくりと曲がり、口元がルディミアの耳元に屆く。

小さな聲で聞こえなかったが、口のきだけでガダルフが何を言ったかわかった。

「……死(ヽ)だ」

ガダルフは大きく口を開ける。

神の細い首を噛み切った――いや、もっとわかりやすくいうなら、神を喰らった(ヽヽヽヽヽヽ)。

再び鮮がリヴァラスの上で飛び散る。

それ以上に奇妙に響いたのは、神の笑い聲だった。

「ア――――――ッハッハッハッハッハッ！　素晴らしい！！　なんという対価よ。死(われ)に、死(われ)を送るとは面白い！　面白いぞ、ガダルフよ。そなたのみ葉えよう。喰らうがいい！　神を喰――――」

ルディミアに襲いかかったのは、ガダルフではない。

それまで壁をなしてきたなりそこないだ。

顕現したルディミアを食い散らす。

そこに悲鳴も、咀嚼音もない。

ただただ聞こえてきたのは、ルディミアの耳をつんざくような笑い聲だった。

「何が起こって……」

「パワーアップよ」

「え？」

「神様を喰らって、さらなる力を手にれた。それだけよ」

「そんなことできるんですか？」

「神降ろしっていうスキルが近いんでしょうけど、神という概念すら天上族が作ったものなんでしょうね。創造神が創造の産の力を借りる。ただそれだけよ」

ルディミアを食い盡くしたなりそこないはガダルフへと纏わり付く。さらにその口の中へとっていくと、レミニアたちに負わされた傷が治っていった。さらに銀髪は白くなり、まるでの骨のように太く、そして輝く。

手を掲げた時、それは天地すら裂けそうな大きな鎌が現れた。

「まさに死に神ですね」

「來るわよ、ハシリー。もうあれはわたしたちが知るガダルフじゃない」

次瞬、ガダルフは鎌を薙ぎ払う。

レミニアとハシリーは難なく躱すが、その衝撃は凄まじく遠く離れた地面に著弾すると、そこの深い谷間が突如現れた。

「ちょっ！」

「かすっただけでもどうなるのかしら」

レミニアの額に珍しく汗が浮かぶ。

ガダルフの攻撃は終わらない。

鎌を掲げると、今度はハッキリと聞こえた。

「死(マイナス)階梯魔法」

☆★☆★　そして週明けには2冊発売されます　☆★☆★

12月19日発売　異世界無雙。いよいよ冒険者學校編です（メロンブックスには特典あり）

『劣等職の最強賢者～底辺の【村人】から余裕で世界最強～』単行本4巻

12月20日発売　複數回重版しているシリーズです。

『公爵家の料理番様～300年生きる小さな料理人～』単行本3巻