《【10萬PV!】磁界の王はキョンシーへ撲滅を告げる》① 期の記憶 1
「著きましたね。土屋さんには久しぶりじゃないですか、シカバネ町は?」
「もう來ないと思ってたんだがな」
超伝導モノレールに乗せられて文庫本が一冊読み終わらないに、あおいと土屋はシカバネ町に到著した。
つい三か月前、年明けと同時に開業した超伝導モノレールのホームに降り、キャリーケースを引っ張りながらあおい達は歩く。
あおい達の周囲にはぞろぞろとモノレールから降りた乗客達が改札に向かっており、それを導する様にキョンシーの駅員達が聲を出している。
乗客達の顔ぶれを見ると、外國の者が多い。あおい達と同じ目的でシカバネ町に來ている者が多いのだろう。
「結構変わったな。ライトの選手がレフトに移ったみたいだぜ」
「あんまり、変わらない、よ」
あおい達のすぐに隣ではトオルの車椅子をアレックスが押していた。
キョンシー達の言う通り、シカバネ町は変わっている様で変わっていない様でもあった。
超伝導モノレール等はあおいがこの町に居た頃には無かったし、外國の人間をここまで多く町にれることは無かった。
だが、キョンシーが人間の代わりに仕事をする姿や、ホームから見える地上の景からは懐かしい匂いをじる。
これが死の匂いだとあおいはシカバネ町の外で暮らして初めて気づいた。
「でも、私たちが呼ばれるなんてびっくりしましたね」
「克則からの要請だったからな」
あおい達ストレイン探偵事務所はモーバ対策に報提供者の一人として呼ばれていた。
要請はハカモリからで、かつ局長の水瀬克則直々のだった。
実際、ストレイン探偵事務所はモーバが表に出る前からその調査を進めている。 組織の規模、構員の數、目的や拠點の報等が確度を無視して良いのならば幾らかあり、それについての共有と説明を求めているというのだ
――こっちもまだ全容は摑めて無いんだけどね。
葵と土屋はモノレール駅のホームから降り、改札を出て行く。バリアフリーデザインが為された通路は歩きやすかった。
「えーっと ホテルは何処かというと」
攜帯を取り出し、しばらく滯在するホテルまでの道筋をあおいは検索する。ここからそう離れていない場所にホテルはあった。
事前に検索して知っている。克則が用意したホテルは中々にグレードが高い。何でも風呂場にはジャグジーがついているようだ。
「あおいはこの後どうする気だ?」
「んー。ちょっと早く著き過ぎましたからね。適當にぶらついてみますよ」
「京香には會わないのか?」
「もう連絡れてます。明日か明後日に軽く飲もうって約束しました」
モノレールの中であおいは意を決して京香へメッセージを送っていた。容は簡単で、ストレイン探偵事務所の自分達が今回のモーバ対策會議に呼ばれたこと、折角だから前に約束していた飲み會をしないかということの二點である。
京香からの返信は文庫本が読み終わる前に來て、ハカモリのビルで飲もうという話にった。
――居酒屋とかじゃ京香とは飲めないよね。
仕方が無い。京香の特異を考えるならば、かつて京香の初飲酒の時の様な飲み會が無難である。
あおいの脳裏に遠い日の宴會の景が浮かぶ。
あかねが居て、幸太郎も居て、京香も居て、當時の第六課のメンバーが居て、ああ、幸せな日々であった。
幸せな記憶は當然として不幸せな結末の記憶を起させる。あおいはしだけ顔を強張らせ、すぐに表を戻した。
「土屋さんもどうです飲み會?」
「し疲れたからな。ホテルで休憩している。何処かでマイケルあたりと飲むさ」
「ん、了解です」
見ると、確かに土屋の顔はしだけ悪い。寒い空気に力を奪われたのだろう。
――さっさとホテル行かなきゃ。
大切な上司である。あおいはホテルへの足を速めた。
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