《兄と妹とVRMMOゲームと》第四百三十七話 虛ろなる覚醒⑧

「機械都市『グランティア』に赴くことができれば、羅を消滅させる方法が分かるかもしれない。そうすれば、リノアを元に戻せるはずだ! 頼む! これからも達の力を貸してくれないか!」

「……勇太くん」

思いの丈をぶつけられた達は、その全てを正面からけ止める。

「ああ、これからもよろしくな」

「勇太くん、頑張ろうね」

と花音は吹っ切れたように、勇太の申し出を承諾した。

そして、今までダンジョンを調べていた際の果を伝える。

「……敵の目を欺く方法。そして『メイキングアクセサリー』か」

一瞬の靜寂の後、勇太は想をそのまま口に出した。

「そういえば、リノアは二階にいるのか?」

「ああ。俺と同じ言を繰り返している。今は、有のおばさんが見てくれているはずだ」

勇太の疑問に、は真剣な眼差しで捕捉する。

その言葉を聞いて、勇太は自の希を口にした。

「まだ、徹からの連絡は來ていないよな。その前にリノアに會ってきてもいいか?」

「勇太よ、もちろんだ。ただ、と一緒に行った方が、ここに連れて來やすいだろうな」

そんな彼の意を汲むように、有は自の考えを纏める。

「分かった。、一緒に來てもらえるか?」

「ああ」

くん、勇太くん、私もリノアちゃんのところに行きたい」

勇太のいに、立ち上がったは肯定した。

それに花音も付き添い、二階へと上がっていく。

達が部屋にると、リノアは有の母親に支えられながらベッドの縁に座って力なく頭を垂れていた。

リノアに近づいた勇太は躊躇うように訊いた。

「リノア、大丈夫なのか?」

勇太が呼びかけても、リノアからの反応はない。

狀況を察したは花音とともにリノアのもとに寄り添う。

「ああ」

「うん」

の言葉に反応するように、顔を上げたリノアは答える。

勇太の目の前にいるのは確かにリノアだ。

それなのに、まるでどこか得の知れない相手と対峙しているような気分に襲われた。

と同じリノアの表が、どうしようもなくそれを証明する。

それでも先程までの虛ろな表とは異なり、リノアはらかな笑みを浮かべていた。

「そうか」

リノアの様子に、勇太は表をこれ以上ないほど綻ばせる。

を曝け出し、己の想いを口にするならば、勇太が告げるのはいつだって同じ誓いだ。

「おじさん、おばさん!」

勇太は後方に控えていたリノアの両親に視線を向けると、真剣な眼差しで訴える。

「絶対にリノアを救い出そうな!」

「ああ」

「ええ」

勇太の意気込みに、リノアの両親は決意を込めて応えた。

、花音、勇太、リノア、遅くなってごめんな!」

達がリノアを連れて一階に降りると、有達は徹からダンジョン調査の経過報告をけていた。

ダンジョン全域の索敵が終わった後は、徹はいつもどおり、達に同行する形になる。

イリスは既にギルドの外で、達の警護に當たっているようだ。

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