《僕の姉的存在の馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜》第二十七話・10
理恵ちゃんは普通に見ても、かなり可い部類にるの子だと思う。
同じである私から見ても、そう思えるくらいだから、相當なものだ。
だからといってあざとさはそんなにはない。
逆に芯の強さがうかがえる部分がある。
バンドでも、その真っ直ぐさが私たちを支える原力になっている。
同ももちろんのこと異からもかなり好かれていたりする。
そんな私も、理恵ちゃんのことは大好きだ。
「どうかな? 似合っているかな?」
理恵ちゃんは、張した面持ちで試著室から出てきた。
なぜ洋服店にいるのかというと、理恵ちゃんに頼まれたからだ。
楓とのデートに著ていく洋服について──
私にも、たまにはの子たちだけでお出掛けしたい時もある。
せっかくだから、この機會に楓抜きで遊びに行くのはどうかと思っていたのだが。
いなかったらいないで、それなりに求不満になったりする。私も結構、楓に依存していたりするんだなって納得してしまう。
でも他ならぬ理恵ちゃんの頼みだから、最後まで付き合ってあげよう。
私は、理恵ちゃんが選んで試著した服裝を見て笑顔になる。
お灑落なチュニックにミニスカート。
普通に見て、とても良いコーディネートだ。
もっと自信を持って立てれば完璧なんだが……。
「うん! よく似合ってるよ」
「ホントに? 冗談なんかじゃなくて?」
「冗談でそんなこと言うわけないじゃない。さすがだなってじだよ」
沙ちゃんも、私と同じ想を言う。
そこまで言われたら、私には何も言うことはできない。
ましてや理恵ちゃんには──
「うんうん。やっぱり理恵ちゃんのファッションセンスには敵わないなぁ」
さすがにバンドのステージ裝を擔當しているだけあって、ウソは言えない。
楓にも裝させて周囲にバレないくらいなのだから、センスの良さはピカイチだ。
しかし控えめな格なのが短所であり長所にもなっている。
あの奈緒ちゃんだって、理恵ちゃんの作った裝に対しては文句を言わないのだから、もっと自信を持ってもいい。
「香奈ちゃんに言われると、ちょっぴり嬉しいかも──」
理恵ちゃんは、嬉しそうに表を綻ばせていた。
その顔を見ると、私までホッとしてしまう。
「理恵ちゃんはもっと自信を持っていいよ。とても可いんだから──」
「可い…のかな? わたしには、全然わからなくて……」
そういった謙虛なところがすごく良いんだけど。
本人にはわからないんだろうな。
「ところで沙ちゃんは、なにを著て行くか決めてるの?」
「私はその……。男子と2人きりっていうのに抵抗があって……」
「なるほど。まだ決めてないんだね。ダメだよ。こういうのは積極的にいかないと」
私は、できる限りのアドバイスをする。
デートをする相手が楓っていうところにかなりの抵抗があるんだけど、そこはあえて言っておく。
もし楓以外の人と付き合うようになってもそんなじだと、本人が困るだろうから。
「わかってるんだけどね……。いざという時の勇気が……」
沙ちゃんも、見た目結構フランクな印象をけるけど、奧手な方だ。
楓の前では、そんなじは見せないんだけど。
「弟くんには、かなりの頻度で戯れついたりするのに。いざ事になるとダメなんだね」
「いや、あれはその……。香奈と同じノリでやってるだけだし……。本気でデートをするってなると気持ちが──」
「うんうん。わたしも沙ちゃんと同じかな……。楓君をの対象として見てしまったら、まともに顔は見れそうにないかも……」
沙ちゃんと理恵ちゃんは、揃って恥ずかしそうな顔をしてそう言っていた。
なるほど。
的な意味では、ダメなんだ。
さすがは子校に通っているだけのことはある。
あ……。私も人のことは言えないか……。
だけど弟くんは、ちょっと違うんだよね。
「まぁ、弟くんとのデートは避けられないんだし。そこは割り切って行ってみようよ?」
「わかっているけど……。いざ楓君とデートって考えると……。張しちゃうかも……」
「わたしも──」
「大丈夫だよ。弟くんは、自分よりも一緒にいる人のことを優先するから」
私は、念を押すようにそう言った。
楓は普通の男の人とは違うから、安心してもいいんだけどな。
「そんなこと言われてもね……」
「期待しちゃっていいかどうか悩むじゃない……」
とりあえず2人の反応は、まずまずといったじだ。
ひと押ししたつもりだったんだけど、ダメか……。
わかっていたことだけに、正直つらい。
楓とのデートがダメっていうことではないんだろうけど、それでも張してしまうのかも……。
「弟くんは、2人が考えるような男の子じゃないんだけどな」
私は、口をついてそんなことを言っていた。
普段と変わらずに一緒に歩く程度なら、張なんてしないと思う。
しかし、『デート』という一つの固定概念に縛られているから、よけいに張してると思われる。
私の場合は、『デート』っていうよりも姉弟で『買い』に行くという覚で歩いているから張なんてしたことがないのだが。
沙ちゃんと理恵ちゃんの場合は、楓の先輩であることには変わらないけど、その前に1人のの子だ。
男子と『デート』っていうだけでも、初めての経験になってしまうんだろうな。
子校の生徒は、ただでさえ男子に対する抵抗がある。
思えばバンドメンバーに楓を迎えれる時も、彼たちはちょっと張していた。
「わかってはいるよ。楓君は、そんな暴なことをしてくる男の子じゃないっていうのは……。ただ、『デート』となるとちょっとね」
理恵ちゃんは、めずらしく『デート』という言葉を口にして恥ずかしそうに顔を赤らめさせる。
やはり私の大切な馴染でも、理恵ちゃんにとってはダメなところがあるんだろうか?
「なにか問題でもあった?」
「いや、問題というほどのことではなくて……。ただ、ちょっと楓君がかっこいいから、その……。わたしなんかを相手にしてくれるのかなって……」
「それは大丈夫だよ。理恵ちゃんも沙ちゃんも、十分に可いし。むしろ弟くんの方が張してしまうんじゃないかな」
私は、今も試著中の理恵ちゃんの姿を見てそう言っていた。
「そっか」
理恵ちゃんは、安心したのからかい笑みを浮かべている。
その顔を見て、私は安心してしまう。
どうにも地味な印象を與えがちな理恵ちゃんだが、元の素材が良いのでちゃんとしたお灑落な服を著たら十分に可い部類にるの子だ。
だから、もっと自信を持ってほしい。
「そういうことだから、私も理恵ちゃんに似合いそうな服を見つけてきてあげるよ」
「えっ。でもわたし──」
「いいから。ね」
他の服も積極的に試著してみてほしいのは、私の意見だ。
私は、さっそく行に移す。
「いいのかな?」
「香奈ちゃんがいいのなら、いいんじゃないかな」
理恵ちゃんと沙ちゃんは、戸った様子で顔を見合わせていた。
私としては、バンドメンバーのコミュニケーションは大事だと思うからデートは『あり』なんだけど。
2人にとっては違うのかな。
男のことって、よくわからないな。
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