《兄と妹とVRMMOゲームと》第四百四十話 異なる正義を盾に③

「有様は今頃、ペンギン男爵様のアイテムショップでしょうか?」

プラネットは先程、出かけた有の向を気にかける。

有の母親が掲示板に書き込んでいる間に、有は達にギルドを託してペンギン男爵が営んでいるアイテムショップに出向いていた。

回復アイテム、狀態異常の回復アイテム、モンスター避けのお香などの必需品の購を済ませるためだ。

「お母さんは掲示板にどんな容を書き込むのかな?」

梨に関することみたいだな」

梨に関することみたいだね」

花音が聲高に疑問を口にすると、とリノアは有の母親からの報を確認しながら応えた。

梨ちゃんのこと?」

意外な発言に、花音はきょとんと目を瞬かせる。

すると、とリノアはそんな彼の気持ちを汲み取ったのか、決意の眼差しで告げた。

「現実世界で梨を狙ってきたことといい、『レギオン』と『カーラ』は俺達、特殊スキルの使い手を手にれるためならどんな手段も厭わない。だから、それを利用するみたいだ」

「現実世界で梨を狙ってきたことといい、『レギオン』と『カーラ』は俺達、特殊スキルの使い手を手にれるためならどんな手段も厭わない。だから、それを利用するみたい」

「利用……?」

花音の戸いに、とリノアは元気づけるように花音を見つめる。

「……なるほど。吉乃信也の件で、『レギオン』と『カーラ』はこれからも現実世界、仮想世界問わず、梨を執拗に狙ってくる可能がある」

奏良は一拍置いて揺を抑えると、とリノアが口にした言葉を改めて、脳で咀嚼した。

梨を目撃したという偽の報を流して、『レギオン』と『カーラ』の者達をき寄せるんだな」

「ああ、それなら必ず、報があった場所に訪れる可能が高いからな」

「うん、それなら必ず、報があった場所に訪れる可能が高いから」

奏良の言及に、とリノアは落ち著いた口調で答える。

羅の真なる覚醒ーー。

そのためには、リノアに梨の特殊スキルを使わせる必要がある。

羅の真なる覚醒のための最後の重要な要である梨を、『レギオン』と『カーラ』の者達はこれからも執拗に狙ってくるだろう。

現実世界だけではなく、仮想世界の狀況も目を配るはずだ。

もし仮想世界で梨の姿を見たという目撃報があったら、必ずその場所に向かうだろう。

たとえ、それが疑わしい容だったとしても、彼らは事実なのかその真偽を確かめようとするはずだ。

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