《兄と妹とVRMMOゲームと》第四百四十一話 異なる正義を盾に④

とはいえ、実際にから梨に変わった場合、『レギオン』と『カーラ』がリノアの座標を移させてくる可能がある。

別のーー有効な打開策を見出だす必要があった。

「とにかく、『レギオン』と『カーラ』の裏をかく作戦で対処していくしかないな」

徹は気持ちを切り替えるように一呼吸置くと、改めて思案を巡らせる。

「どうしたら裏をかくことが……。ーーあっ、メイキングアクセサリーで梨ちゃんに扮したら、きっと……!」

その時、不意の閃きが花音の脳髄を突き抜ける。

メイキングアクセサリーを眺めていた花音が興味津々な様子で訊いた。

「ねえ、くん。メイキングアクセサリーで梨ちゃんと同じ格好になれないかな?」

「「……梨と?」」

花音のどこか確かめるような言いに、とリノアは不思議そうに首を傾げた。

「メイキングアクセサリーを使って、梨ちゃんに似た格好に扮したら、『レギオン』と『カーラ』の人達はその人のことを本梨ちゃんと勘違いするかもしれないよ?」

「なるほどな。梨に扮してき寄せるんだな」

「なるほどね。梨に扮してき寄せるんだね」

花音の言い分に、とリノアは納得したように頷いてみせる。

メイキングアクセサリーはイメージした裝に見た目を変えることができる。

梨に扮して導すれば、『レギオン』と『カーラ』の者達はその人が本梨だと思うだろう。

作戦か……。確かにその作戦は有効かもしれないな」

「敵を導する囮役は重要だな」

奏良の言葉に、勇太はのつかえが取れたように応えた。

「だったら、囮役は梨ちゃんと背格好が似ている私がしてもいいかな?」

花音はとっておきの腹案を披するようにとリノアを見つめる。

「私がき寄せている間、を潛めているくんが私と同じ作をしたら、きっとリノアちゃんも同じきをすると思うから」

「ふむ、か」

そこに必需品の購を済ませた有がギルドに戻ってきた。

「なるほど、妹よ、一理あるな」

有は顎に手を當てると、花音の発想に著目する。

「母さんが掲示板に偽の報を提示した後、『レギオン』と『カーラ』の者達は恐らくその場所を訪れるはずだ。なら、達がき寄せている間に捕らえて、彼らにり済ませば、敵の目を欺けるかもしれないな」

『レギオン』と『カーラ』を欺くのは容易ではない。

だからこそ、有は敢えてそう結論づけた。

「よし、今度こそ行くぞ! 『サンクチュアリの天空牢』へ!」

「うん!」

有の決意表明に、花音が嬉しそうに跳び跳ねる。

「お兄ちゃん、任せて! 私、梨ちゃんに扮して、『レギオン』と『カーラ』の人達を導するよ!」

「花音、君は全く効率的ではない。そもそも、囮役は敵をき出し、い寄せる重要な役割だ」

花音の提案にれて、奏良は不服そうに視線を逸らす。

「正直、君では不安だ……」

花音の突飛な発想に対して、奏良はどこまでも懐疑的だった。

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