《【WEB版】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った馴染が後悔してるけどもう遅い【書籍版好評発売中!】》175話 抜け出せない
初登校の夜。由梨恵が帰ってきた。
「たっだいまー! 勇太くん!!!!!」
人気聲優の由梨恵は、毎日家に帰ってくるのが遅い。
でも必ずその日のうちには帰ってくる。
今日は比較的に早い帰宅だった。
「由梨恵、おかえり~」
「うう~~~~~~~!」
青いダッフルコートやマフラーなどを裝備し、モコモコになった由梨恵。
に付けてるものをぽいぽいと放り出して、スカートとセーター姿だになる。
「ゆーたくんだぁ~~~~~~!」
「わぷっ」
由梨恵が僕に抱きついて、そのまま押し倒してきた!?
え、ええ……!?
「ど、どうしたの……?」
「最近忙しくて、勇太くんといちゃいちゃできてなかったかさ! いちゃつこうっておもってー!」
なるほど……。
確かに年末年始はものすごい忙しかったみたい。
家に帰るの深夜で、早朝に出て行くことも多かった。(由梨恵に限らないけど……)
だから、久しぶりにこうしてふれあうことが出來て、嬉しいんだろう。
……僕も同じ気持ちだった。
「そっかそっか~」
「うん! はー♡ 勇太くんがそばにいる、しあわせ~♡」
すると廊下から、みちるがあきれたような顔をしながらやってくる。
「玄関で何やってんのよあんたら……」
「みっちゃーん!」
ぱっ、と僕から離れると、みちるに抱きつく。
「ただいまただいま~!」
「ええい、ひっつくなっての……」
「なんでー? みっちゃんとも久しぶりだし~! ぎゅー!」
二人は仲良いなぁ。
僕は立ち上がって、落ちてるコートなどを拾い集める。
リビングへと移。
そこでは、こうちゃんが死んだ表で、こたつにはいっていた。
『年始から……働かせすぎだろ……鬼編集……』
こうちゃんの前にはアイパッドが置いてある。
たぶんこの部屋でイラストのお仕事してたんだろう。
その隣には眼鏡をかけた芽依さんがいた。
「はい、先生納品お疲れ様でした~♡ いやぁ、イラストレーターと同居するのって楽ね~。仕事が進む進む」
ほくほく顔の芽依さん。
一方でこうちゃんは死にそうな顔をしてる……。
疲れてるんだろう……。
『こうちゃんこの家に居たら、過労で死んでしまう……』
「こーちゃん! おっつ~!」
『由梨恵氏?』
由梨恵が今度は、こうちゃんに抱きつく。
むぎゅぎゅっ、と抱きしめる。
「元気出してこー! 元気ですかー!」
『うるせえ……』
「元気があれば何でも出來るよー!」
『イノキか貴様……』
こうちゃんをぬいぐるみのように抱っこしている。
そこへ、みちるが料理を作ってもってきた。
「お夕飯にしましょ」
「わ! 海鮮お鍋だー! おいしそー!」
みちるが作った鍋を、僕、みちる、こうちゃん、芽依さん、由梨恵で食べる。
「ありっちゃんは? 仕事~?」
「うん。大変みたい」
アリッサは歌手。しかも有名な歌手だ。
年末、年始にかけて由梨恵以上に忙しいのである。(年末特番やらライブやらで)
由梨恵は毎日気合いで帰ってきてるけど、アリッサの場合は仕事が長引くことが多く、なかなか帰ってこない。
ラインはマメにしてくるんだけどね。なんだかさみしい。
「まあ、今年はデジマス映畫が凄い流行ったからね~。その主題歌歌ってるアリッサさんは、出番多いでしょう」
『どこぞの夜遊ぶ人たちも、めっちゃ各地でアイドル歌いまくってたもんね』
芽依さんとこうちゃんがうなずいてる。
「僕のせいで、アリッサが忙しくしてるんだ……」
ちょっと申し訳ない。
するとみちるがため息をつく。
「何気にしてるのよ」
「だって……」
「そりゃアリッサが忙しくなった原因はあんただろうけどさ。あんたのおかげで、たくさんの人にを與えたり、幸せにしてるんだから。やらなきゃ良かったみたいなネガティブな気持抱いちゃだめでしょ?」
みちる……。
「そうよゆーくん。あなたのおかげで出版社も、アニメ會社も、みんな幸せになったんだから」
「そうそう! 勇太くん、落ち込まないで!」
「みんな……」
ああ……やっぱり駄目だ。
僕は皆と離れること、できないや……。こんな風に、たくさんのの子に囲まれて、過ごす日々の幸せから抜け出せない……。
『寒い日には辛いものだよね~……え? こうちゃんもここ何か言うところ?』
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