《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第101話 魔族幹部達との戦いの幕開け
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拠點に突した僕達は、魔族達と戦いを繰り広げていた。
「お前で、最後だぜぇ!」
タイムロットさんが豪快に斧を振ると、魔族が壁に叩きつけられる。
「くそ、人間ごときに負けるとは……!」
捨て臺詞を吐いて、魔族が黒いもやになって消滅していく。僕達が突した出り口に集まっていた魔族は、これで全滅した。
「怪我をした人はいますか? 居たら、僕が魔法で治します」
という僕の呼びかけに応える人はいなかった。
「魔族達相手に無傷ですか。頼もしいです、皆さん」
「當たり前ですぜ領主様! 今から勇者をブチのめそうってのに、こんな下っ端共相手に怪我してられやせん!」
と、タイムロットさんが斧を振ってみせる。
そこへ、音もなくひざまずいた姿勢でカエデが現れる。魔族に変裝してデタラメの報を流し、攪する作戦を実行してくれていたのだ。
「主殿、ご報告いたします。勇者と魔族の幹部達の部屋を突き止めました。恐らく、今もまだそこにいるかと」
「ありがとう。さすがカエデ、頼りになるよ」
「もったいなきお言葉……!」
ひざまずいた姿勢のまま、カエデが更に頭を下げる。
いつも通りクールな無表……を裝おうとして、口元がにやけていたのを僕は見逃さなかった。言わないけど。
「居たぞ! 人間共だ!」
「俺たちの拠點に乗り込んでくるなんて、命知らずな奴らめ! 後悔させてやるぜ」
拠點の奧から、また新しく魔族達がやってくる。
「領主サマ、ここは俺たちに任せてくだせぇ!」
タイムロットさんが、村の冒険者さん達とともに魔族へ突撃していく。
「分かりました! お任せします。鋭部隊は、僕と一緒に勇者と幹部達を叩きましょう! カエデ、案してくれ」
「承知しました! こちらです!」
カエデに案されて、僕達は魔族の拠點の最奧へ向かう。これも、予め立てていた作戦通りだ。村の中でも、特に戦闘能力が高い鋭メンバーを集めて、一気に敵の主戦力を叩くのだ。
途中で數人の魔族と遭遇したが、こちらは村の鋭が揃っている。瞬殺して、どんどん奧へと進んでいく。
「到著しました。ここが、魔族の幹部と勇者の部屋です」
案された先には、3つの巨大な扉があった。
それぞれ、中から尋常ではない気配をじる。
「魔族から奪った地図によると、それぞれの部屋に魔族の幹部が、一番右の部屋には勇者が待ち構えているそうです」
確かに、一番右のひときわ大きい扉からじられる気配は段違いだ。
「わかった。ありがとう、カエデ。君は他のシノビさん達と一緒にまた魔族達を攪していてくれ」
「承知しました」
そう言って、カエデが一瞬で消える。
「では皆さん、行きましょう! 僕達は4人ですから、一人で幹部一人を倒せば――」
振り返って、僕はある重大なミスに気づいた。
村の鋭メンバーとして選出したのは、
レインボードラゴンのナスターシャ
300年前の大英雄カノン
大賢者エンピナ様
そして僕。この4人だ。
ちなみに、戦力としてはシノビの頭領カエデも申し分ないのだが、カエデには魔族たちの攪をしてもらいたいので鋭メンバーから外している。
そして問題は。
「一人メンバーが足りない……!」
僕をれても、今ここに居るのは4人。一人足りないのである。
「カノンが居ない!」
僕が昨日じた、妙な騒ぎはこれのことだったのか。
「英雄カノン。昨日までやる気満々だったから必ず來てくれると思っていたのに、なんで居ないんだ……!?」
僕は心頭を抱える。奇想天外な行に振り回されることもあるが、その強さは間違いなく本。戦力としてあてにしていたのに……。
「ああ、あのであればレジスタンスの隠れ家から我と一緒に來たのだが、途中で『お腹が空いたから、この時間でも空いてる酒場で軽く食事を取ってから行く』と言ってどこかへ行ったぞ」
とエンピナ様が何のこともないように言う。
「ええ! カノンちゃんに一人で街を歩かせちゃったんですかぁ!?」
青い顔で悲鳴のような聲を上げたのは、ナスターシャだ。
「ああ。何か問題でもあるのか?」
「大ありですよぉ~! いえ、エンピナ様が悪いわけではないのですけれどもぉ。カノンちゃん、地図が読めないし方向音癡だから、すぐ道に迷っちゃうんですよぉ~! 一人じゃ絶対に目的地にたどり著けないんですぅ」
「あのカノンに、そんな弱點があったのか……!」
僕は眉間を押さえる。確かに、こういうのも失禮かもしれないが地図を読むのとかが得意なタイプではなさそうだ。
「突前に、しっかり點呼を取っておくべきでした。……とにかく、今はこのメンバーで突するしかありません! ちょうど今ここに居るのは3人。魔族幹部達と勇者も合わせて3人。數は足ります。行きましょう!」
「は、はい。カノンちゃんが居ない分、ワタシが頑張りますぅ~」
とナスターシャが意気込むが、が小刻みに震えている。
「なに、心配は要らぬ。我と我が弟子がいれば誰が相手であろうと問題は無い」
と言いながら、エンピナ様は不敵な笑みを浮かべていた。
「では、行きましょう。皆さん、どうかご無事で!」
「は、はい! ワタシ、頑張りますぅ」
「期待しておれ、我が弟子よ。すぐ倒してそちらへ向かう」
村の仲間達が、それぞれ魔族達の幹部が待つ部屋へ足を踏みれていく。
僕も覚悟を決めて、勇者ラインバートが待つ部屋の扉を開けた。
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