《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第102話 ナスターシャVS格闘技自慢の魔族

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「し、失禮しますぅ~」

魔族の拠點の最奧。ナスターシャが、恐る恐る魔族幹部の待つ扉を開ける。

「ワタシの相手、あまり怖くない魔族さんだといいのですけれどもぉ……」

扉の中は広い空間になっていた。燈りはついていないので、真っ暗である。

「本當はカノンちゃんと一緒に來て、お手伝いだけするはずだったのにぃ……どうして迷子になっちゃうんですか、カノンちゃんの馬鹿ぁ……」

ナスターシャは泣きそうになりながら、暗い部屋を進む。

「なんだか、この部屋やけにあったかいですねぇ~。それに、どこからか”ボコボコ”って音がして、なんだか不気味ですぅ~」

ナスターシャが不安そうに暗闇の中を見渡す。

「うぅ、逃げたいですぅ。でも、ここで魔族の幹部を放っておいたら、メルキス様と勇者の戦いの時に邪魔されてしまいますしぃ。うう、何としてもワタシがやっつけないと……! せめて、メルキス様の戦いが終わるまで時間稼ぎだけでもしないと!」

大きなの前で手を握る。

「大丈夫! ワタシはドラゴンの中でも最強クラスのレインボードラゴン! メルキス様も、ワタシの力と防力は村の中でも最強と言ってくれましたぁ!」

ナスターシャが勇気をふり絞る。

「ワ、ワタシは強いですぅ! 魔族さんなんかに負けません、どこからでも掛かってきてくださぁい!」

一杯の勇気でナスターシャが啖呵を切ったとき。

「ガッハッハ! 威勢のいい侵者だ! 気にったぜ!」

銅鑼のような聲が響いて、部屋に燈りが燈る。

ナスターシャに向かい合うように、非常に大柄な男の魔族が現れた。

上半で、鍛え上げたを惜しげもなくさらしている。筋骨隆々の腕を組んで、堂々とした佇まいで立っている。

「ひ、ひいいいいぃ! ごめんなさいごめんなさい! 挑発するようなことを言ってごめんなさい!」

強そうな魔族が現れたことで、ナスターシャは顔が真っ青になっていた。

「そう怯えるなよ。オレはお前みたいな奴は好きだぜ。レインボードラゴン。これほどの強敵と戦えるなんて、オレはついてるぜ。それに、折角つくったこのステージが使えるのも嬉しくてな」

そう言って筋骨隆々の魔族は親指で部屋を指し示す。部屋は、奇妙な構造になっていた。

部屋にはマグマが満ちていて、その上に巨大な石製の四角い板が浮かんでいる。今ナスターシャと魔族が立っているのはここだ。そして、出口から通路が繋がっている。

「さっきからボコボコと音がしていたのはマグマだったんですねぇ。それで、この変わった構造のお部屋でいったい何をするんでしょうかぁ……?」

ナスターシャが恐る恐る尋ねる。

「ガッハッハ! このステージは、こういう仕組みだ!」

筋骨隆々の魔族が指を弾く。すると。

”ジャララ!”

突如ナスターシャの足元から、足枷のついた鎖がびてくる。そして。

”ガシャン!”

足枷がナスターシャの足を捕らえた。

「ななな、なんなんですかこれ~!」

目を白黒させるナスターシャ。

「ガッハッハ! そう慌てるな。今説明してやる」

そう言う魔族の足にも、同じように足枷が嵌っていた。

「ここは、溶巖デスマッチステージ。やることはシンプル。お互いに足枷を嵌めて、毆り合うだけだ。戦いが始まると、このステージはしずつ溶巖に沈んでいく。相手を殺したほうだけが足枷を外して出できるようになっている。敗者は溶巖の中に沈むってわけだ。どうだ? 正々堂々毆り合うのに最高の舞臺だろ?」

「そ、そんなぁ……」

ナスターシャは、恐怖のあまり気を失いそうになっている。

「せっかく凝ったモノを作ったはいいが、中々ここまで侵してくる気合のった敵が居なくてな。いやぁ! ここまで來てくれて正直嬉しいぜ! ガッハッハ!」

筋骨隆々の魔族が豪快に笑う。

「準備はいいな? それじゃ、始めるぜ!」

”ゴゥン……!”

どこかから低い音が響く。部屋のギミックがき始めた音だ。ナスターシャ達の立つ地面が、ゆっくりと下がり始めた。

「あ、あわわわわ……! あの、すみません! キャンセル! 今からでもキャンセルってできないでしょうかぁ!?」

ナスターシャが慌てて魔族に呼びかける。

「ああ? 冷めるような事言うんじゃねぇ! このギミックは、き始めたらどちらかが死ぬまで俺でも止められねぇんだよ!」

魔族が拳を構える。

「そ、そんなぁ……」

と、涙目になるナスターシャ。

「さあ、もう勝負は始まってるんだぜ! 行くぜ!」

魔族が拳を構えてナスターシャへ突撃する。

小細工などは一切無い、真っ向勝負の突撃。石製の床が砕けるほどの威力で蹴って加速し、右拳に全パワーを集中させる必殺の一撃。

鉄板をも撃ち抜く威力のパンチがナスターシャに迫る。

一方のナスターシャは――

「きゅう」

恐怖が限界を超えて、立ったまま気絶していた。

「この勝負、もらったあ!」

魔族の必殺のパンチが、ナスターシャの顔面に炸裂した。

”ド ン !”

部屋を震わせるような衝撃音が発生する。

そして。

「ぐああああああぁ! いってええええぇ!」

魔族は、うずくまっていた。

毆りつけた衝撃で、右腕の指先から肩までの骨が々になっていた。

「なんなんだそのさ! あり得ねぇ、鉄板だろうとぶちぬく俺の拳が全く通じねぇなんて!」

一方のナスターシャは、ノーダメージだった。毆られた顔には傷一つ付いていない。毆られる前と同じく、気絶したまま立っている。

「こんなことが、あっていいはずがないだろうが! 俺はこの拠點の魔族の中で毆り合い最強! 気絶してる相手に後れをとるなんてことが、あるわけがないだろうが!」

魔族が闘志をい立たせる。

「うおおお!」

無傷の左拳でのパンチ。回し蹴り。當たり。頭突き。全を使って、魔族は絶え間なく猛攻を仕掛ける。

だが。

「いってええええええぇ!」

逆に、攻撃に使った部位がダメージでボロボロになってしまう。もはや魔族は満創痍で、立つことさえできなくなっていた。

「クソ、気絶してる相手に手も足も出ないなんて……!」

そこで魔族は、ある事実に気付く。

「待てよ。俺がこのを倒せないってことは。まさか、俺とこの二人まとめてマグマに沈むってことか……?」

魔族の顔が青ざめる。この瞬間にも、地面はどんどんマグマに近づいている。

力をふり絞る魔族だが、もう立ち上がることさえ出來なかった。

そして。

「ぐああああああ!」

”ゴポゴポゴポ……!!”

魔族とナスターシャは、ステージごとマグマに飲み込まれていった。

――10分後。

「ぷはぁ!」

目を覚ましたナスターシャが、溶巖から顔を出す。足にはまっていた枷は、マグマの熱で溶けていた。

「ここ、熱くて心地いいですねぇ~。久しぶりにりましたけど、ワタシにはやっぱりマグマぐらいの溫度のお風呂が合っていますぅ~」

呑気な聲で、ナスターシャがマグマ風呂を満喫している。

「でも、今はお風呂にっている場合じゃないですよねぇ。早く、メルキス様達の方に合流しないとぉ」

名殘り惜しそうにマグマを見つめたあと、ナスターシャがドラゴン形態に変

”バサァッ!”

翼を広げて、飛び上がる。

「ところで、あの魔族さんとの勝負はいったいどうなったのでしょう……? もう、行っていいんですよね?」

不安そうな聲を出しながら、ナスターシャはメルキス達の方へ向かうのであった。

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