《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》180.怒る、義姉
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
ユリウスの弟ガイアスは、無意識領域(夢の中)で邪霊・大嶽丸との戦闘に勝利して見せた。
「はぁ……! は……はあ……戻ってこれた……」
朝、目を覚ます。そこはユリウスの寢室だ。
隣には兄ユリウスが眠っている。
……兄のヒントなしで、霊気を修得し
できた。
そのことをユリウスに褒めてしかった……。
が、自分から言うのも恥ずかしかったので、言わないことにする。
ガイアスは兄の肩を揺する。
「兄さん、朝だよ」
「んが……ふぁあ~……おう、おはよ」
ユリウスが目を覚ます。
……そう言えば、昨晩の邪霊との戦闘、兄はみててくれただろうか。
だとしたら褒めてくれるはずだ。
と、期待のまなざしを兄に向けるのだが……。
「ん~よく寢たぜぇ。ん? なんだ、ジッとこっちを見て?」
……兄が自分を褒めてくれない。なんだ、邪霊との戦闘をみてくれてなかったのか。
「ねえ兄さん。邪霊がさ」
「? おう」
「襲ってきたんだよ」
「ほーん」
……なんだそのうっすい反応は。
興味ないんだろうか?
邪霊が襲ってきた。けどガイアスは今普通にしてる。
ということは、邪霊との戦闘に勝利したってこと。
……だと言うのに兄は褒めてくれなかった。
なんだかイライラしてきた。
「他にないのかよっ」
「勝ったんだろ?」
「そうだけど……」
「勝って當たり前だろ。おまえ、勇者なんだから。邪霊ごときに遅れを取るわけない」
「そりゃ……」
兄は自分の力を信頼しているのだろう。
勝って當然だと思っているのだろう。
……でも、ガイアスは勝ったことを兄に褒めてしかったのだ。
「邪霊一匹倒したくらいで、なにを褒めろってんだ?」
「いや……でも……」
「そんなんでいちいち喜んでんじゃねえよ」
「…………………………」
そうだな。
確かに自分は強い力を持っているんだ。
邪霊倒したくらいで……。
「ガイアスさん!!」
そのときだった。
誰かがガイアスの肩をつかんだのである。
振り返るとそこには……。
「だ、ダンタリオン……?」
兄嫁、ダンタリオンがいたのだ。
ただし、が半明だった。
「どうして……?」
「気をつけてくださいまし! あなた様は邪霊の神攻撃をけております!」
「!? ほんとうかっ?」
「ええ……あなたはまだ眠ったままなのです」
大嶽丸を撃破したあと、別の邪霊から攻撃をけていた、ということだろう。
……完全に油斷していた。
てっきり現実世界に戻ってこれたとばかり思っていたから。
「どうしたガイアス?」
兄(偽)がこちらに近づいてくる。
「兄さん……あんた偽なんだろ?」
すると兄はきょとんとした顔で首をかしげる。
「ははん……さてはおまえ、邪霊の神攻撃をけてるなぁ。ほら、後にダンタリオンに変した邪霊がいるじゃねえか」
兄(偽)によると、自分に忠告してくれたこの半明のダンタリオンのほうが、邪霊だという。
「ガイアスさん! だまされないでくださいまし」
「ガイアス、邪霊に耳を貸すな」
兄嫁か、兄。どちらかが偽、という狀況らしい。
「ガイアス……おまえ、兄の言葉を疑うの……へぶぅうううううううう!」
ガイアスは霊気を込めたこぶしで、兄(偽)の顔面をぶん毆った。
兄は屋敷の外へとぶっ飛んでいく。
「ガイアスさん……」
ガイアスは振り返り、兄嫁に向かって、頭を下げる。
「ありがとう、助かったよ。その……義姉《ねえ》さん」
「!? が、が、ガイアスさん……わ、
わたくしのこと……義姉《ねえ》さんって……」
今までガイアスは、ダンタリオンのことが気にらなかった。
大好きな兄を、に取られてしまったと思っていたから。
でも……そんな子供じみたわがままはやめることにした。
彼は、兄の弟である自分を助けてくれた。
それはひとえに、ダンタリオンが自分を家族だと認めてくれていたからだろう。
「くそっ! なぜわかった! こっちが偽だと!」
屋敷の外には兄が居た。
ただ、のあたりから9本の狐の尾が生えている。
どうやら変能力を持つ邪霊のようだ。
「そんなこともわからないんですの?」
ダンタリオンがびしっ! とユリウスに向かって指をつきつける。
「ユリウスさんは、ガイアスさんを溺なさっているのです! 弟が邪霊をひとりで倒したって知ったら、ほっぺにちゅーくらいしますデュフフフフフ♡」
「し、しないよ……!」
まあ完全にしないとは言い切れないが……。
「男同士でキスとか気持ちわりぃな!」
「気持ち悪いものですか! 最高ですわ……! ご褒です!」
「つかなんだてめえ……。どうして他者の心の中にり込むことが出來るんだ……?」
するとダンタリオンのから、青白い炎が宿る。
これは……霊気だ。
「わたくしは元上級悪魔。悪魔とは他者の心の隙間にはいりこみ、甘言でする存在ですわ……」
ダンタリオンもまた、邪霊と同じことができるようだ。
彼は怒りの表を浮かべながら、ユリウスの元へ向かう。
「よくも、わたくしの大事な人たちを、侮辱しましたわね。天誅をくだしてやりますわ……!」
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