《【10萬PV!】磁界の王はキョンシーへ撲滅を告げる》③ 牽制
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「いやぁ、ここ數日ずっと言ってるけど、本當に壯観だね。普段なら會えもしない様なVIPが至る所に居るよ」
モーバ対策會議から數日、會議も中日とった午後二時。あおいはシカバネ町北區の文化大ホールにて周囲の各國重鎮達を眺めていた。
いずれも一般人ならば一生で見るか見ないかの人間とキョンシー達である。各國の軍のトップ、キョンシーコーポレーションの総帥、政府重鎮などが軒を連ねている。
「ハオハオ! あなたがあおいだね。バツちゃんだよー甘やかして良いよー」
「バツ、そっちではありませんよ。初めまして不知火あおい。私は李憂炎です」
その中の筆頭が何故かあおいに――明後日の方向だが――ニコニコと笑顔を振りまくバツと李憂炎だ。
「初めまして。京香から聞いたんですかね?」
世界で五、否、現狀は四しか居なくなったA級キョンシーの一があおい達の近くに寄ってキャキャと話しかけて來る。
「バツ! 昨日ぶりね! フレデリカは會えて嬉しいわ!」
「シー。ありがとう。バツちゃんもとっても嬉しいよー」
乗っている車椅子をシラユキに押されたフレデリカが首を上げてバツへと笑顔を振りまいた。
バツはおそらくだが、シラユキとフレデリカ、正確にはハカモリの第六課に近づいて來たのだろう。このキョンシーは今ハカモリ預かりだ。政治的にハカモリを味方に付けているのだと他國へアピールをしようとしているのだ。
キョンシーは計算高い。どの様な狂気に落ちていようと、その行には必ず論理が出てしまう。あおいが土屋から學んだことだ。
「京香らから聞いたよ、あおいは探偵さんなんだよね? バツちゃんは探偵さんを見たのは初めてだよ。ホムラとココミが前に見ていた名探偵ゴリンみたいにすごい音を出してバレーボールを毆り飛ばしたりするの?」
「しないしないしませんよ。尾行と潛の地味な仕事ですって探偵なんて」
「尾行と潛! とってもハオだね! バツちゃんには絶対にできないことだからどんな仕事か教えてしいよー」
――おっと?
あおいは眉を顰めた。リップサービスで自分に話しかけたわけではないようだ。
だが、あおいが話せることはない。探偵とはそういう職業だし、この場においてA級キョンシーに注目された人間であると周囲に思われたくも無い。
そんなあおいの困を悟ったのか、憂炎がバツの手を引いた。
「バツ、あおいさんが困っています。この質問は次の機會にしましょう」
「そうなの? バツちゃんは分かったよ。みんなのバツちゃんはみんなを困らせたくないからねー。それじゃあ他のお話をしよう! 京香達は今どうしているの?」
キャキャと笑うバツが大振りのきで頭を振った。紅布で眼を巻いて、中を役漬けにして覚を鈍らせたこのキョンシーには意味の無い作。だが、バツの一挙手一投足にあおい達の周囲が注目しているのが分かった。
「京香様、霊幻様、恭介様、そしてホムラとココミ様ならばあちらの奧部屋で絶賛會議中です。午後の議題はモーバの戦力についてでしたね」
「私の上司の土屋さんもそこに居るよ。私は戦闘については専門外だからここで休憩しているの」
シラユキが指差した答えにあおいも続いた。バツの興味はすぐにそちらに移ったようである。
先のゴルデッドシティで行われた第百回キョンシーサミットはモーバのテロ行為をけた。
結果、アメリカが保有していたA級キョンシー、フォーシーが破壊された。被害は甚大で、多數の死傷者が出て、各國の要人が多數行方不明のままだ。
「んな場所でハッキングをけてる聞いてるけど、中國はどんなじなの?」
「被害をけてます。何せ重要人達が奪われてしまいましたから。核弾だって撃ってしまったのです。できうる限り全てのシステムのセキュリティシステムを一新していますが、全然間に合っていないというのが実です」
ハハハとあおいの質問に憂炎が笑えないことを笑って答える。
その報はストレイン探偵事務所にもっていた。サミットの後、各國の報機関が大規模なハッキングをけている。出所は未だつかめず、てんやわんやの大騒ぎだ。
「敵は神応系PSIにご執心ですからね」
あおいは苦笑する。神応系の恐ろしい所がこれだった。この現代社會において報の価値はあまりに重く、全てのセキュリティの幹には結局人間の記憶が絡んでしまう。
それを奪えるとれば脅威は計り知れなかった。
「シー! だから、バツちゃん達はみーんなココミがしいんだよ」
息が止まる様な弾発言がバツの口から出た。
世界各國の要人が集うこの場において、発言は公式非公式問わず 記録されてしまう。今。キョンシーとはいえ、キョンシーだからこそココミがしいと表明した発言は、中國という國が明確にココミ獲得へ手を挙げていることを意味していた。
――牽制だね、これは。
あおいは理解した。何故、バツがこの時間にわざわざあおいとハカモリ達の近くに寄って來たのか。ココミを獲得する競爭に自分達は出るぞという牽制なのだ。
「バツ、その発言をフレデリカ達にしても意味が無いわ! だってフレデリカとシラユキはキョンシーだもの! そんなことを言われてもどんな権利も持ち合わせていないの!」
「ええ、そうですよバツ。そういう面倒なことはご主人様達に直接おっしゃってください」
フレデリカとシラユキの態度は崩れない。本當に興味が無いのかもしれない。
こういう時、キョンシーの畫一的な行は素晴らしいとあおいは思った。
「ま、そうだよ。私に言われてもね。私はハカモリじゃないんだから」
あおいは頬を掻き、フレデリカ達の言葉に乗っかった。バツと憂炎がどの様な意図を持っているとしてもこの件について話を広げる気は無い。
その態度はバツ達にも伝わったのだろう。グルグルと腕を回して、バツが頭を下げた。
「あ、ごめんね。確かに今話す話題じゃなかったね。バツちゃんは反省するよ。ちょっとココミが羨ましかったんだよー」
キャハハとバツが笑う。紅布の奧の瞳が笑っているのかは分からなかった。
感じるのは快楽だけ
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