《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第510話 vs三大兇蟲アバドン
ゼロ距離ドアを通って麥畑に著いた。
「よし! まだここへは來てないみたいね」
と思ったらカイベルから通信。
『早速アバドンの進路が変わりました。どうやらアルトラ様が現れたのを察知して進路を変えたようですね』
周囲を見回してみるもののアバドンの姿は見えず。
ならばと魔力知範囲を十キロほどに広げてみるも、知には引っかからない。
「ど、どんだけ遠くで察知してるの!?」
これは中々捕まらないのも納得だ……これに食糧食い荒らす大群の部下がいるんだから、三大兇蟲って言われるだけあるわ。
カイベルが居なければ見つけるのにかなり苦労しそうだ……しかも強者に遭遇しないように遭遇しないように避けてかれるとなると……
と言うか、私の姿を目にしてすらいないのに進路を変えるほど危機をじたってことは、アイツは隠匿しているはずの私の中に大罪の存在をじているってことかしら?
気を取り直してカイベルにアバドンの位置を訊ねる。
「今どこら辺に居る?」
『現在アルトラ様が居る場所から十キロほど北東です。向きを変えて北西の別の畑へ向かいました』
十キロ? おかしいな。それらしい魔力はじられなかったけど……
あ! これが魔力を隠蔽するとかいう能力か。小蟲と大して変わらないからどれがアバドンか、私では判斷付けられないんだ!
私が麥畑に突然出現したから南方面に脅威をじて北へ戻って行ったってところか。
「よし、じゃあ十キロ北東へ【ゲート】で転移して……」
『早々に捕捉してしまおう』などと考え、額に指を當ててその付近に何があったか想像する。が――
「ダメだ、特別な畑と麥畑の間には目印になるものがまだ無いから場所の想像が付かない。転移するのは難しいな、ここから普通に飛んで追いかけるか……」
でも、私がここに出現したことによって進行方向を変えたというのなら、その危機察知能力を逆手に取って、ちょっと混させてやろう。
スキル【分】を発。
「分あなたは北西の畑へ【ゲート】で移後、そこから南東へ向かって飛んで。私はここから北東へ飛ぶ。私“たち”を最も危険視してるみたいだから二方向から追い詰めてカイベルのところへ導しましょう」
「分かった」
「そういうわけだからカイベル、私と分で二方向からあなたのところまで追い込むから、アバドンのきに合わせてあなたがそれを迎え撃って」
『了解しました』
「じゃあ、よろしくね分わたし」
「あ、ちょっと待って! 私の方には通信の魔道が無いけど……」
通信の魔道シールは私のの一部ではないため、分に付屬させることができなかったようだ。
「あ、そっか。じゃあ私たちの間は通信魔法で繋げてやり取りしましょう。そっちからカイベルに話しかけることはできないけど、カイベルからの聲はノイズが酷くなければ聞こえると思う」 (通信魔法の詳細については第297話參照)
「分かった」
通信魔法を繋げたまま分が北東の畑へ【ゲート】で移した。
「さて、じゃあ私も北東へ飛びますか」
カイベルの口振りからすれば、魔王の力を得た私ならアバドンの移速度に迫れるくらいのスピードは出せそうだ。
風魔法でブーストをかけ、北東の方角へ向けて超スピードで飛ぶ。
すると程なくして、再びカイベルから通信。
『またアバドンの進路が変わりました。北北東へ進路を変えたので私がかち合うと予想されるポイントへ向かいます。アルトラ様と分様はそのまま追い込みを続けてください』
「了解」
突然分脅威的な存在が北西の畑に出現したから、北西の畑に行くのを諦めて北北東に進路変更したってことだな。
じゃあ、私もし東へ進路を調整すれば良いわけか。
スポードを維持しつつ進行方向を修正。
◇
四分ほど経った後、左方向から分が飛んでくるのが見えた。
雙方同時に気付いて聲を上げる。
「「あっ!」」
思わぬところで合流してしまった。あっちから來たのも自分自のはずなのに、なぜかちょっと気恥ずかしくてニヤケてしまったが、程なくしてアバドンが逃走している姿が前方に確認できるくらいまで迫る。
更にその先にはカイベルが仁王立ちして、迎え撃とうとしている姿が見えた。
三方向から追い込まれたため、アバドンは急停止。
後ろから追いかけていた私と分の二人も停止して一旦膠著狀態に
「さあ年貢の納め時よ」
アバドンは私と分をそれぞれ一瞥《いちべつ》 ※し、カイベルの方に再び目を向けると、カイベルの方へ高速ジャンプしよう勢を整えた。
(※一瞥いちべつ:チラッと見ること)
どうやら、私たち二人の方をすり抜けるより、まだカイベル相手の方が逃げられると直で判斷したようだ。
そして再び『バシューーーーッ!!』という噴音を立てながらカイベルの橫をすり抜けようと跳躍。
が――
カイベルがきを予測して、自の橫を通り過ぎる瞬間にアバドンの橫っ腹を強したたかに蹴りつけた!
「ギャギイィィィ!!」
アバドン自の跳躍の勢いとカイベルの蹴りの勢いが合わさって、その先の地面に向かって斜めに蹴り飛ばされ、び聲か何かを上げながら激しくゴロゴロと転げ回る。
しかし、全土だらけになりながら、それでもなお起き上がって逃走しようとしたため、カイベルが追い打ちのかかと落としを頭部に炸裂させる。更にを捻って二発目のかかと落とし。そこから地面に這いつくばったアバドンを蹴り上げ、回し蹴りの連続攻撃を見舞った後、最後に足の甲に後頭部を引っ掛けて再び地面に顔面を叩きつけた。
「おぉ……カイベルの足技、初めて見たわ……」
華麗な足技に見惚れていると、アバドンからうめき聲のようなものが聞こえた。
「ギ……ギギ……」
……あんなにボコボコにされて……ちょっと気の毒になってくるな……
カイベルの流れるような足技により、もはや蟲の息だったが更に追い打ちをかける。
ぐったりしているアバドンを風魔法で空中へ巻き上げ、
「トドメです」
の一言と共に手に巨大な火球を作り出し、それを空中のアバドンへ向けて放った。
火球はアバドンにジャストミートし、『ドオオォォォォン!!』という発音を立てながら空中で散・焼失。
「「よ……容赦ねぇ~~……」」
同じ思考をしているからか、思わず分と二人で同時に呟いていた。
私だったらちょっと躊躇するような連続攻撃を無に淡々とこなしていく……
「あ、アルトラ様と分様、地面に影響が出ないように空中で散させましたが、の一部が降ってくるかもしれませんのでご注意ください」
その宣言通り、私たちの近くに跳躍するために使っていた後ろ腳らしきものがボテッと落ちて來た。
それを見て心の中でこう思ってしまった……
『きたねぇ花火だ』
と……
「カイベル、お疲れ様」
「はい。これでアルトレリアを襲っているイナゴの集団も數日で解散していくでしょう」
「無事蝗害こうがいの元兇も駆除できたし、じゃあ帰りましょうか」
分を還元フィードバックし、【ゲート】で特別な畑へ移。
◇
メイフィー他、農業従事者を集めて駆除報告。
「じゃあこれで農作も食べられなくて済むんですね!」
「うん、まあ蟲の集団の片づけが大変だと思うけど、それは頑張って掃除をお願いね」
「「「はい!」」」
ここから數日間、畑だけに留まらず、町中で蟲を掃除する景がみられるようになる。
◇
アバドン駆除後のアルトラ邸――
リディアが外から帰って來るなり、何かを見せに來た。
「アルトラ! 見てくれコレ!」
蟲カゴ?
「今日みんなで捕まえたんダ! 大量だったゾ!」
「うげ……」
蟲カゴいっぱいにイナゴやらバッタやらが詰め込まれていた。
ウゾウゾと蠢うごめいている……
「そ、それどうするの?」
「しばらく飼って観察しようかな、っテ」
「か、観察は良いけど、一匹だけにしない? そんなに大量なのは絶対面倒だよ?」
目測だが、蟲カゴの中に二、三十匹くらい詰め込まれているように見える。
リディアと私のやり取りを聞いていたネッココが參戦する。
『そうよそうよ! ソイツ私の葉っぱ食べちゃうんだから今すぐ捨てて來てよ!』
「蟲カゴ開けなければ良いだロ?」
「でもエサはどうするの? 蓋開けないとあげられないでしょ?」
「そんなの簡単だロ?」
と言いながら、テーブルの上に置いてあったキャベツの葉っぱを毟り、
「こうやっテ――」
ま、まさか開けた瞬間に放り込もうとしてる……?
それはパンパンの蟲カゴでやるには自殺行為だ!!
「――サッと放り込めバ……」
「リディア待っ……」
私の制止の聲も間に合わず、蟲カゴは開け放たれてしまった……
バサバサバサ!
部屋中にイナゴとバッタの大群が跳びれる!
『ギャアァァァ!! こっち來たっっ!! 早く誰か捕まえてっっ!! 退治してぇっっ!!』
ネッココパニック!
イナゴたちから逃げ回る!
「あわわわわ……」
私もどうすれば良いか狼狽うろたえていると、カイベルがリディアから蟲カゴを取り上げ、颯爽と激しく跳びれるイナゴとバッタを空中で手摑みし、次々と蟲カゴに放り込んでいく。
短時間で場を治めてくれた。
「ナ、ナイス、カイベル……」
「食べますか? 佃煮などにすれば味しいと思いますが」
「い、いや、要らないけど……」
「では逃がしておきましょう」
「ま、待ってくレ~、一匹だけでも殘しておいてェ……」
リディアの懇願は認められ、一匹だけ蟲カゴに殘され、殘りは全部アルトレリアに放たれた。多分今なら誰かが掃除してくれるだろうという思から。
余談だが、この『屋イナゴショック』は、リディアと一緒に遊びに行っていた他の四軒のお友達のお宅でも起こっていたらしい……
部屋中に散らばったイナゴやバッタを捕まえるのに大わらわだったとか……各家庭でイナゴ捕獲止令が出たとか何とか。
三大兇蟲ではありますが、他二つと違い、割とアッサリ終了です。
まあ、戦闘能力で兇蟲になったわけではないので(^^;
蛇足ですが、カマキリの卵が部屋の中で孵化したら、同じく地獄絵図ですよね (笑)
次回は10月3日の20時から21時頃の投稿を予定しています。
第511話【ジャイアントアント騒後処理】
次話は木曜日投稿予定です。
【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】
書籍化が決定しました。 レーベルはカドカワBOOKS様、10月8日発売です! 28歳のOL・哀川圭は通勤中にとある広告を目にする。若者を中心に人気を集めるVRMMOジェネシス・オメガ・オンラインと、子供の頃から大好きだったアニメ《バチモン》がコラボすることを知った。 「え、VRってことは、ゲームの世界でバチモンと觸れ合えるってことよね!? 買いだわ!」 大好きなバチモンと遊んで日々の疲れを癒すため、召喚師を選んでいざスタート! だが初心者のままコラボイベントを遊びつくした圭は原作愛が強すぎるが為に、最恐裝備の入手條件を満たしてしまう……。 「ステータスポイント? 振ったことないですけど?」「ギルド?なんですかそれ?」「え、私の姿が公式動畫に……やめて!?」 本人は初心者のままゲームをエンジョイしていたつもりが、いつの間にかトッププレイヤー達に一目置かれる存在に? これはゲーム経験ゼロのOLさんが【自分を初心者だと思い込んでいるラスボス】と呼ばれるプレイヤーになっていく物語。
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8 189初心者がVRMMOをやります(仮)
親の頭があまりにも固いため、ゲームはおろか攜帯すらもっていない美玖(みく)。このたびめでたく高校一年生になりましたので、今まで母方祖母に預かっていてもらったお金でVRMMORPGをやることに決めました。 ただ、周囲との兼ね合い上、メジャーなものはやりたくない。親の目を盜んですることになるから、ヘッドギアは小さなもの。そして月額料金は発生せず、必要に応じて課金するもの、と色々條件を絞ったら、「TabTapS!」というゲームにたどり著いた。 ただ、このゲーム初心者がやるにはかなり厳しいもので……
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