《(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~》お姫様の家出・4

エピローグ。

というよりもただの後日談。

結局あのあとミルシア王陛下は食事を終えると、いつも通りお金を多めに置いていってそのまま帰っていった。表らかくなったことを見ると、どうやら悩んでいたことはある程度落ち著いたらしい。それはそれで良かったと思うけれど、それで良かったのかという疑念も生まれていた。

結果的に、ミルシア王陛下とアルシスさんは仲直りしたらしい。

なぜそんなことが分かったかというと、ある日の朝、グラフィリア王國首都店の軒先を掃除しているときにやってきた一通の手紙から判明した。

その手紙はメリューさん宛かと思っていたが、よく見ると俺宛だった。

何というか、この世界に俺の名前を知っている人間なんて數ないはずだったけれど、どうして――なんて思ったけれど、その疑問は直ぐに解消されることとなる。

「ミルシア王陛下、から……?」

薔薇をあしらった切手がってあった封筒の裏には、綺麗な字でミルシア王陛下の名前が書かれていた。

掃除を終えてボルケイノの中にって、カウンターに腰掛ける。

まだ朝早い時間なので、お客さんが來ることは無い。だから安心して手紙を見ることが出來る。そう思って俺は封筒の封を切った。

そこには一通の手紙がっていた。手紙を書いたのはミルシア王陛下で、封筒と同じく俺宛に書かれた手紙だった。

手紙の容は簡単に言ってしまえば、あのあとアルシスさんと仲直りしたこと、メリューさんが作ったじゃがを聞いてアルシスさんが躍起になったことが書かれていた。

そして、仲直りすることを決意したのはメリューさんの料理もあったけれど、俺が一聲かけたことがきっかけだということも――書かれていた。

俺が、仲直りしたらどうですか、と言わなかったら直ぐに仲直りしようとは思わなかったでしょう――ミルシア王陛下も案外人に流されるところがあるんだな、なんて思いながら手紙を読んでいた。

そして最後は、この文章で締めくくられていた。

――ケイタ、あなたボルケイノでの仕事は楽しいかしら? あなたの仕事が、楽しく続くことを祈っているわ。また、お店で會いましょう。親なるあなたへ。

手紙を読み終えた俺は、封筒に戻して、ポケットに仕舞った。

そうして俺は椅子から立ち上がると、仕事の準備へと取りかかった。

「……ええ、とても楽しいですよ。ミルシア王陛下」

その言葉は、誰にも聞こえないくらい小さく呟くのだった。

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