《99回告白したけどダメでした》151話

「え~、誠実君は、お姉さんみたいな年上のは嫌いなの?」

「いや、今はそう言う事では……」

「散々可いだの、自分じゃつり合わないだの言った癖に~」

「な、なんで今その話しを持ち出すんですか!!」

恵理は小悪魔のような笑みを浮かべながら、誠実に尋ねる。

ちらっと沙耶香と沙の方を見ると、なにやら殺気立っていた。

そんな二人を見て、恵理は海で聞いた話を思い出す。

誠実が返事を保留中というの子二人であると。

「へ、へぇ~誠実君、その人にそんな事言ったんだぁ……」

「さ、沙耶香さん……笑顔なのに目が笑ってませんよ?」

「誠実君、痛いのと恥ずかしくて死にたくなるのとどっちが良い?」

「その二択は一何なんだ、沙!」

黒い笑みを浮かべながら、沙耶香と沙は誠実に言う。

が比例していない二人に、誠実は冷や汗をかきながら、なんとかこの場を収めようと考える。

しかし、そんな誠実の努力を裏切るように、恵理は言葉を続ける。

「昨日は家にも來たしね、そう考えると、お姉さんは誠実君に狙われてるのかな?」

「そう言う冗談は、今灑落になれないのでやめてください!!」

恵理の言葉に反応したのは、誠実だけでは無かった。

沙と沙耶香も、恵理の言葉に反応し、更に機嫌を悪くする。

恵理は満足したのか、笑みを浮かべる。

「じゃ、私はこの辺で、課題しなきゃだから」

「え、恵理さん! 弾落として逃げないでくださいよ!!」

他の席に向かい始める恵理に、誠実は文句を言う。

しかし、そんな誠実の聲は屆かず、代わりに沙耶香と沙が誠実の肩を摑んで離さなかった。

「誠実君」

「は、はい……」

「場所変えようか?」

「……殺さないで」

その後、誠実は二人に連れられカラオケボックスの個室に連れて行かれた。

一方の恵理はと言うと、誠実達が居なくなったのと同時に、ファミレスの席で、一人先ほどまで自分は一何をやっていたのかと、一人反省會の、真っ最中だった。

(あぁ~!! 一私は何をしてるんだあぁぁぁ!! 何人のをかきしてるのよ! あれはじゃあ、私が誠実君の事……)

「って! 違う!!」

思わずんでしまい、周りから注目してしまった。

「す、すみません……」

恵理は周囲の他のお客さんに頭を下げ、顔を赤くしながら席に座る。

そして、ペンを握りながら、再び考える。

(そ、そもそも誠実君があんなことを言うから……)

昨日の帰り道の事を思い出しながら、恵理は更に顔を赤く染める。

(だから違うでしょ! 誠実君なんて! 誠実君なんて……)

考えながら、浮かんできたのは、誠実の顔だった。

楽しげに話しをする表も、困ったような表も、最近知った彼の表だが、恵理の頭から離れなかった。

今まで、異に対してこんな抱いた事なんて無かった恵理。

(私は何がしたいのよぉ~……)

その日は全く、課題が進まなかった。

*

「あ、あさから……酷い目にあった……」

誠実はようやく沙耶香と沙の誤解を解き、家に帰る途中だった。

あの後、二人に質問攻めにされながら、誠実は小一時間、二人から文句を言われ続けた。

「そもそも、恵理さんがあんなことを言わなければ……」

そんなことを考えながら、自宅に帰る誠実だった。

家に著く頃には、丁度お晝になっており、誠実は帰宅と同時に晝飯の用意を始める。

夏休みにってから、晝に母親が居ないときは、晝飯を自分で作って食べるようにしている誠実。

奈穂も今日は居ないようなので、簡単なで済ませようと、素麺を取り出す。

「折角料理出來ても、材料が無いと結局意味無いよな……」

素麺をを茹でながら、誠実はそんな事を呟く。

そんな事をしていると、家のインターホンが鳴った。

「ん? 客か?」

丁度、素麺が茹で上がったところだったので、誠実は一旦調理をやめ、玄関に向かう。

「はーい、どちらさまで……って、蓬清先輩どうしたんですか?」

玄関のドアを開けると、そこには栞が私服姿で立っていた。

「お久しぶりです誠実君」

「あぁ、どうもお久しぶりです。今日はどうしたんですか?」

「先日、家族でハワイに行きましたので、そのおみあげを持って來たんです」

そう言って、栞は誠実に高級あふれる箱を手渡す。

誠実は、その箱の高級に、一何がっているのだろうかと驚き、視線を箱に集中させる。

「わ、わざわざすいません……ちなみにこれは?」

「ハワイらしく、マカデミアナッツにしました」

を聞いて、誠実はひとまず安心する。

あんまり高いだったら、簡単にけ取れなかったからだ。

「あ、そうなんですか、わざわざすいません。良かったら上がっていきませんか? 俺以外誰も居ないので、たいしたおもてなしは出來ませんが」

「それは願ってもな……いえ、それでは失禮します」

「?」

誠実はリビングに栞を案した。

麥茶を出し、ソファーに対面になように誠実と栞は座った。

「夏休みはどうですか?」

「まぁ、それなりに楽しくやってますよ。バイトも始めましたし」

「そうですか、私は生徒會の仕事で、度々學校に行かなくてはならなくて、大変で……」

「副會長は大変ですね、俺なんて、夏休みだから気が緩み切っちゃって、毎日お晝頃まで寢てます」

「それは行けませんね、ダメですよ、生活リズムを崩してしまっては」

軽く夏休みに何をしていたかなどを話す、誠実と栞。

栞のハワイでのお土産話を聞いたりしながら、誠実は栞との久しぶりの會話を楽しんでいた。

「へぇ~、先輩のお父さんが……」

「はい、前より接しやすくなりました、これも誠実君のお父様のおかげです。その節は本當にお世話になりました」

「いやいや、うちの親父はただ話し相手になってただけだから、そんな大した事はしてないですよ」

「でも、お父様は誠実君のお父様を大変気にっていますよ? ハワイのおみあげもチョコでなんかじゃ無くて、寶石類の方が良いんじゃないかと、最後まで悩まれて……」

本當に寶石じゃなくて良かったと、誠実は心の底から安心した。

そんなを貰ってしまったら、お返しに困ったところだ。

「でも、お母様がお父様を止めたんです。そんな高級品送られても迷だろうって」

「あはは、確かにそれは困りますね……」

栞のお母さんが、常識人で良かったと心の底から誠実は思った。

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