《99回告白したけどダメでした》153話

誠実は、明日に迫った旅行の準備をしていた。

「えっと……持ちは……これでいいか」

ボストンバックに著替えやタオルをれ、誠実は明日の用意を済ませる。

時刻は夜の九時半、明日は早くに家を出て電車で海に向かう為、し早めに寢てしまおうと、誠実は寢る準備を始めた。

「明日は六時には起きなくちゃな……よし」

スマホのアラームをセットし、誠実は布団にる。

この旅行は、誠実の中ではただの旅行では無い。

今、誠実が抱えている問題、その問題の解決をする為の旅行でもあった。

々考えたけど……やっぱりこの方が良いだろうな……」

誠実はこの海の旅行を計畫した時から、誠実はかに考えていた事があった。

それは、沙耶香と沙の告白の返事についてだった。

誠実は心の中では、まだ綺凜を忘れられずにいた。

そんな気持ちのまま、彼たちへの告白の返事をうやむやにするのは、二人に失禮だと、前々から考えていた。

だから、誠実はこの旅行の最後で、うやむやになっていた事をすべて終わらせようと思っていた。

「いつまでもこのままだと……俺はただのクズだからな……」

真っ暗な部屋で、誠実はそんな事を考えながら、眠りに落ちていった。

そして翌朝、誠実は時計を見て目を丸くした。

「ね、寢坊したぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

現在の時刻は朝の七時。

家を出なければいけない時間は、七時十分。

著替えて、準備をして、家を出る事を考えるとかなりギリギリだった。

「ヤバイヤバイ!!」

一人で出かける訳では無い為、自分一人が遅れてはまずいと、誠実は急いで著替えをし、準備を始める。

「朝から何、バタバタしてるの…」

「母さん! 俺ちょっと旅行行ってくるから! 昨日の晩も言っただろ?」

「あぁ……おみあげよろしく」

「はいはい! じゃあ、時間無いから! 行ってきます!」

誠実は、未だに寢間著姿の母に別れを告げ、昨晩準備をした荷を持ち、自転車で駅まで向かう。

約束の時間は七時半、電車が出るのはその五分後、絶対に遅れる訳にはいかないと、誠実は自転車を必死でこぐ。

「あぁぁぁぁ! なんでこんな日に寢坊なんて!!」

夏休みにってからの、不規則な生活のせいだろうと思いながら、誠実は駅に急ぐ。 時間が近づくにつれ、ポケットにれたスマホが振するのをじる誠実。

恐らく健か武司辺りが、中々來ない自分に電話を掛けて來ているのだろうと思いながら、誠実は著信をスルーして自転車をこぐ。

「す、すまん……お、お待たせ……」

「ん、やっときたな」

「おせーぞ、何やってたんだよ?」

「お、おう……す、すまんな……」

駅には既に、誠実以外のメンバーが集合していた。

時間はギリギリ、約束の一分前、誠実は呼吸を整えながら話す。

「はぁ……し、死ぬかと……思った……」

「ほら、さっさと行くぞ」

誠実達八人は電車のホームに向かい始める。

朝早い事もあり、駅のホームにあまり人は居ない。

しかし、八人という大所帯で行している為、どうしても目立ってしまっていた。

「にしても、朝だってのに暑いなぁ……」

「早く海りたーい!」

電車を待ちながら、健がシャツの襟をパタパタさせながら言う。

そんな健に同調するかのように、隣の鈴が子供のように話す。

健はそんな鈴を警戒しつつ、スマホで時間を確認している。

「古賀、電車で何分くらいで著くんだっけ?」

「一時間くらいよ」

「うわ、マジかよ……一時間何してるかなぁ~」

「寢てれば良いでしょう、アンタはただでさえうるさいんだから、しくらい寢てた方が丁度良いわ」

「じゃあ、俺古賀の隣に座るわ」

「は、はぁ? な、なんでそうなるのよ!」

「寢るから起こしてくれ、お前の大聲なら起きそうな気がする」

「フン!」

「ぐぇっ!!」

武司は、志保の怒りにれ、旅行が始まったとたんに、負傷していた。

「いい沙耶香、海に著くまでは友達よ」

「著いたら、ライバルだね、わかってる」

何やら話しをしながら、沙と沙耶香は闘志を燃やして張り切っていた。

誠実は、なんとなくそんな二人を見て、複雑な気持ちになる。

「誠実君」

「あ、山瀬さん、どうしたの?」

「旅行の後のバイトなんだけど、さっき店長から連絡で、今日中にれる日を教えてしいって」

「え、今日? 急だなぁ…まぁでも、俺らと木崎さん以外にバイト居ないし、仕方ないか」

誠実はスマホを取り出し、予定を確認する。

……と言っても、確認するほど予定などっておらず、この前約束した栞との花火大會の件と恵理との買いの予定しか無かった。

「う~ん……俺と山瀬さんの休みが被らない方が良いよね?」

「そうね、でも私は大丈夫よ? 今のところ、夏休みの予定はほとんど無いから」

「そう? まぁ、俺もそんなに予定ぎっしりって訳じゃないけど……まぁいいや、木崎さんも居るし、店長に任せようか」

誠実と綺凜が、話していると電車が到著した。

四人掛けのボックス席に、誠実達は別れて座る。

右側に誠実、綺凜、健、鈴が座り。

左側に武司、志保、沙、沙耶香が座った。

八人は、荷を網棚の上に置き、電車はき出した。

「今から一時間か……意外と長いよな」

「一時間しかだ、エメラルドスターズの新曲を十四曲ほどしか聞けない…」

「はい、健く~ん。音楽プレイヤー取り上げるね~」

「おい、誰かこのと席を替わってくれ、そして返せ」

「もぉ~折角皆で居るんだから、楽しまなくちゃ~」

「楽しむのは良い……だがなんだ、そのトートバックから覗いている耳は!」

「何でもないよ~、ところで健君、ウサギって好き?」

「武司、席を替われ。そうしなければ、俺は電車の中でうさ耳を付けられる!」

珍しく聲を上げて武司に助けを求める健。

しかし、武司は早速窓に寄りかかって寢ていた。

「寢てるわよ?」

「ウフフ~、大丈夫だよ。これは旅館で……」

「旅館でもやめろ」

(仲良いなぁ~)

なんてことを考えながら、誠実は向かいの二人の様子を見ていた。

そして、さりげなく誠実はちらりと沙と沙耶香を見る。

(山瀬さんもこんな気持ちだったのかな……)

二人を見ながら、誠実はそんな事を考える。

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