鍋の中でと野菜が踴り、甘辛い砂糖と醤油が混じった匂いが漂ってきた。

涎が出てくる……、

「本當に高い買ってきたし……」

律はレシート見ながらため息をついた。

俺はおをれながら、小躍りをして次々鍋の中に材をれていった。

「ねぇ、聞かないの？」

「なにが？」

「その……駿のお父さんが來たこと」

俺は一瞬箸を止めたが、俺の答えは一つしかなかった。

「今は楽しい食事時間じゃん？あいつの話をしたらまずくなる」

この楽しい時間を無駄にしたくなかった。あいつの話、いや存在がしでも頭に浮かんだだけで嫌悪に襲われる。

自分の本當の親なのにこんなことを思ってしまうのか……とし寂しくはなるが。

「駿はなにがあっても俺のそばにいてくれるの？」

律は持っていたお箸をお皿の上に置いて、心配そうに聞いてきた。

「さっき言い合いになった時、俺、夏焼さんに恨まれてたんだよね？俺は本當に心當たりないんだけど駿はやっぱり俺がなにかしたって……」

「疑ってない」

俺は律の言いたかった言葉より先に言葉を発した。

「俺は信じてる。それ以上言わないで、決意が揺らぐから」

なにがあっても信じる、そばにいる。

言葉では簡単に決意できても、なにか言われたり聞かれたりしたら揺らいでしまう。

これは俺の弱いところでもある。だから、今この決意を揺るぎないものにしたい。

「さ、沢山食べよ！」

俺はトングにや野菜を挾み、どんどんと小皿に分けていった。

あれだけあったおや野菜がなくなってきたころ、俺達のお腹ははち切れんばかりに大きく膨れ上がってきた。

「俺が洗いするよ、律は休んでいて」

これは、高いおを買ってきたお詫びだ。

「ねぇ、見たよ」

俺の後ろで律は山岳部の新聞のコピーを広げていた。

そういえば俺が家を出た時、新聞のコピーを機に広げて行ったっけ？

「亡くなった人夏焼さんっていうんだね」

お皿を洗う水の音で、しかき消される律の聲。かき消されてるわけではなく俺が聞かないようにしているだけかもしれない。本當はこれ以上言わないでほしいそう思った。

「助けようとして手を差しべたんだよね」

「あー！律、ごめん！コピー渡したままで」

これ以上聞けなくて俺は急いで手をタオルで拭き、律の持っていたコピーを取ろうとした。

すると律は俺の手首を強く握った。

「気を使わなくていいよ。……この手を差しべた人が俺のお父さんだよね」

気まずい空気が流れた。本當は辛いはずなのに……。

自分の好きなお父さんがこの事故に深く関わっているなんて思いたくないはずなのに。

「俺、駿のお父さんが來た時はじめ何を言ってるかわからなかったけどこの記事を読んでしわかったような気がする」

俺の手首をゆっくり離し、新聞のコピーを俺に渡した。

そして何かを決心した目で俺を見た。

「駿、聞いてほしい。さっきは話そうか迷ったけどやっぱ言わないといけないような気がしたんだ。駿のお父さんがこの家に乗り込んだ時のこと……」