《ウイルター 英雄列伝 英雄の座と神代巫》307.す者、整える者
「ぼくの覚が間違ってたって言いたいの?」
「確かにおかしいかもなぁ。何で誰も來ないし、誰かが通った気配もないんだ?」
ラトゥーニは修二を強く睨むと、ルルに言い返した。
「ぼくは確実に、ダンジョンのサインに従って進んだ。もしそれが間違ってたっていうなら、ぼくじゃなくて、機元端のプログラムのミスじゃない?」
「それって、何も考えずにただ、サインに従ったってことでしょ?前方の気配も確かめずに進むのはどうかと思うけど?」
ミスが既事実になってから指摘してくるルルに、ラトゥーニは腹を立てた。
「それ、今言うこと?!君、本気でぼくたちと連攜する気あるの?」
「お二人とも、喧嘩してる場合じゃないヨン!」
メリルの聲にハッとして、二人は互いに目を逸らす。
最後尾から來たティムが、マスタープロテタスを取り出した。マップ機能を投影したが、反応はない。どうやら、検索の権限がないエリアにってしまったらしい。
「まずいですね。すでに管制エリアにってしまっているようです」
ティムの言葉に、ラーマがすぐに反応した。
「皆さん、落ち著いてください!私たちは道を間違ってしまったようです」
全員が、最後尾の三人を振り返った。
「道を間違ったというのは、どういうことでしょうか?」
ずっとラトゥーニのすぐ後ろを走っていたのぞみは、彼の判斷に間違いなどなかったと知っている。
「今、私たちは管制エリアにいるようです。その証拠に、マスタープロテタスのマップが反応していません。本來、テストであっても學園の立ちり止區域にることはありません」
皆がラトゥーニを見た。突き刺さる視線に曬されている彼を見て、のぞみは矢面に立つ。ここまで共に戦ってくれた仲間、その絆を潰すことだけはしたくなかった。
「私たちは確実にサインに従って進みました。それなのに何故、道を間違うことがあるんでしょう?」
「サイン自がトラップなんてことあるんスか?」
「でも、昨日の『能力フィットネステスト』ではそんな話聞きませんでしたよね」
悠之助と藍の聲にも揺が浮かんでいる。
「フェラーさん、マスタープロテタスの誤作ということはありませんか?」
のぞみが自分の水晶札を出そうとすると、ティムが首を振った。
「さらに確実な報があります。ツィキーさんの話では、ダンジョンエリアを抜けるゲートは、地下水路から繋がっているとのことです」
「ツィキーさんなら、正しいルートも知ってるはずだヨン」
クラークは骨折り損だったと言うように溜め息をつく。
「んだよ、だったら最初から、ツィキーさんが先頭を走れば良かったんじゃねぇの?」
「ほら、私が正しかったでしょ?ミスするより恥ずかしいのは、それを認められないことだよね~」
「くっ……」
糾弾するようなルルの言葉にも言い返せず、ラトゥーニは俯いた。のぞみを誤った場所へ導いたことが悔しくてたまらず、素直に頭を下げられるような心理狀態ではなかった。
「先頭を彼に任せたのは私の判斷ですから、責任の半分は私にありますね」
ティムはそう言ったが、実際この陣形の配置を考えたのはティフニーだった。彼が正しい道を知っているはずのジェニファーではなく、ラトゥーニを先頭に配置したことには何か意味があるはずだと思い、ティムはその通りの配置を提案したのだ。
ティムの発言を聞いて、ルルはそれ以上、ラトゥーニを責めることを止めた。
「皆さん、良いでしょうか。私たちは、カンザキさんとクラスメイトの命を守るため、今日ここへ集まってきていますね?それは、たった一つの油斷が、死傷を招く恐れがあるということです」
ラーマはルルやラトゥーニ、皆の顔を見ながら続けた。
「私たちには、仲間でめている余裕などないはずです」
その言葉が目を覚まさせたように、れた場の空気を一変させた。
「さぁ、戻りましょう。同じ道を行けば、戻れるはずです」
一同が回れ右をした時、「おい!上だ!」とヌティオスがんだ。
話し合いに集中していた彼らは気付かなかった。石柱の上に立つ一の石像、その手に抱えられた大きな弩(いしゆみ)に源(グラム)が集まり、そして、放たれた。
「!?」
のぞみたちは反的に跳び避ける。弾はバリスタのように撃ち込まれ、床に接すると発した。
「お~い!聞いてくれ!すぐにここを離れる!だから見逃してくれ?」
「バカじゃないの。石像が聞いてくれるわけないでしょ!」
ルルの言うとおり、クラークが許しを乞うたところで石像は止まらず、二発目が充填されている。周囲の石像もき始め、一斉に源の弩が放たれた。
ドーン、ドーン、ドーン。
連続攻撃による発があちこちで起こり、のぞみたちの陣形が崩れた。
それでも全員が攻撃を見事に回避し、ルルが『牙吼拳(がほうけん)』で反撃した。
橋は思いのほか丈夫なようで、全くダメージをけていない。
「聞いてくれないなら、倒すしかないぜ~!」
修二が剣を手に、戦闘態勢を取った。
メリル、クラークたちも、次々と武を持つ。
しかし藍は、不安げな顔で武を持つことを渋った。
「この石像、壊して大丈夫なんでしょうか?」
もしここが本當に柱の間なら、石像を壊すことは、心苗(コディセミット)のルールを違反することになる。
「殺されるよりマシだろ!」
クラークは石像の斬撃をけ止め、反撃に転じ打ち飛ばしたあとで、藍にんだ。
のぞみたちが源気(グラムグラカ)を放ったせいか、他の石像も翼を広げ、飛び降りてきた。刀剣やメイスなど、白兵系の武を持つ石像も目立つ。それらのる武を持つ石像は、橋の前方、そして左右からも攻めてくる。その數ざっと、20。
のぞみの左右から、二の石像が襲ってきた。のぞみは『雙暈(ふたかさ)』で一を斬り払い、ただちに『日刺(にっせき)』を繰り出す。銀の刀で石像の刀と鍔迫り合いをしながら、もう一方の金の刀で相手のを貫いた。そして最後に『日月回天(ひつきかいてん)』の剣気波で、二同時に吹き飛ばす。
のぞみは殘心の構えを取った。
石像は床に倒れながらも蠢いている。壊れたの、衝撃で打ち砕かれた腕などに、周囲に散らばった破片が近付いていき、奇のように修繕されていく。
石像の回復現象を目撃したのはのぞみだけではない。
七星翠羽(しちせいすいは)を翳しながら、藍(ラン)が聲をらした。
「噓……石像が元に戻っていく……」
「それなら、回復できないくらい木っ端微塵にしてみよう!」
ラトゥーニがメイスを右に左に振り払った。吹き飛んだ石像に跳び寄り、腰掛けるように落下する力を使って、に向かってメイスを叩き落とす。
石像はドカンと床に叩きつけられ、その衝撃でズタズタになる。
ラトゥーニは石像を離れると、しばし様子を見た。微塵となった破片は磁石のようにくっつきあい、パーツを組み立て直していく。あれよあれよという間に無傷の石像に戻り、その場に立ち直った。
メリルが別の石像に必殺技を繰り出し、同じ地獄を見ている。
「キリがないヨン……」
のぞみたちは撤退すら許されず、消耗戦を強いられた。
それまで戦況コントロール部隊として靜観していた最後尾の三人も、とうとう戦闘に加わる。ティムは特別な裝飾を持つブロンズの石突きのブロードソードを鋭く払い、ラーマは両手でジャマダハルを突き刺し、楓は金屬製の竹刀を振るう。
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