「これなんかどうかしら」

「しきにくいですね……」

説得を終えたことで防を見繕っているのだが、アリヤの注文に難儀している。

というのも、彼の戦闘スタイルというのは速攻で敵に接近して急所を一撃でというものなのだ。

私達兄妹の中でそういう戦い方をする人がいなかったし、武持つのは刀君くらいなのでその手の目利きはあまり得意ではない。

まぁ、宿ってる付喪神とかに聞けばわかるんだけどこっちの世界だと霊扱い、そして彼らは例外なく私に怯えるので話を聞いてもらえないのだ。

実に解せぬ、最初の一人に「大人しく話を聞いてくれたら食べないわよ」と脅しをれただけなのに。

「んー、オーダーメイドした方がいいかもしれないわね」

「でも時間がありませんよ」

「じゃあ改造かな。この鎧のこの辺もぎ取って、こっちのこれ付けたり」

その言葉にまた霊が怯える。

寶庫というだけあって沢山のが置いてあるだけにその悲鳴やらがひたすらうるさい。

一気に百萬単位の人間が悲鳴を上げる真っただ中にいると思ってもらえればわかりやすいだろうか。

「さすがに寶庫にあるものでそれは……一応結構な価値があるなので」

「みんなわがままねぇ。じゃあ一番楽で一番頼りたくない方法使うかしら」

「何か手段があるので？」

「えぇ、ちょっと待ってね」

アリヤに斷りをれてから特注のスマホを取り出す。

化けオン運営によって魔改造された逸品、地球の統合により電波など諸々が不安定になった狀態でも使用ができるという謎製品であり、その正は近場の電子機のみならず自然界の磁場やら、果ては龍脈なんかも使って通信を行えるというである。

なんだかんだで用しているのは地球と繋がりさえあれば異世界にいても祥子さんと連絡が取れるからなのだが、時差の問題もあるので軽々に電話をかけたりはできないのだ。

だが今回は別の相手なので問題なし。

「あー、もしもしナイ神父？　ちょっと防ちょうだい。あるいは速攻で防作れる神様紹介して」

「剎那かい？　申し訳ないけど今取り込み中なんだ」

「こっちの世界の神様が毆りこみに行ってるんでしょ？　私が指示しました」

「やはり君か……そんな相手に頼み事とは図太い神経しているね」

「照れますね。で、私としては鬼電してもいいんですがどうします？　端末ぶっ壊したりしたら他の神様から滅多打ちにされますよ。それ作るのにかなりの手間かけてますし、お値段もやばいので」

ミスリルとかオリハルコンとか使っているからね、一臺で新宿の一等地にビルを5つ建てておつりがくるレベル。

そして化けオン運営は獨自開発したが、現在國家プロジェクトとして一般市民でも手が出るお値段にしようと頑張っているのだ。

その試作機は各神様に與えられているのだが、現在は鍛冶の神様頼りだったりするので過労死寸前らしい。

神様が過労死とはこれ如何に……。

「君も知っての通りみんな忙しいんだよね」

「だから暇そうなナイ神父を頼りました。ぶっちゃけその程度の相手なら片手間でしょ？」

「それはそうなんだけど、やってくることがねちっこいから嫌いなんだよね彼」

「同族嫌悪も大概にしてくださいね？」

「酷い言い様だね。とりあえず防用意すれば電話切ってもいいんだよね、どんなのがお好み？」

「私じゃなくて旅の同行者のですね。呪われてなくてきやすくて頑丈でしなやかなの」

「了解了解、この前ヘパイストスからパクってきたのあげるよ」

「こっちに被害向かないようにしてくださいね。さもなくば腕食いちぎりますよ？」

「勘弁してほしいな。君に食いちぎられると他の同位とかも含めて全員腕が無くなるんだよ……流石に殺されたりはしないけど治すの面倒なんだから。その胃空間謎過ぎるでしょ」

「じゃあ対価に帰ったらあげますよ。引きずり出してその場で手渡しで」

「へぇ、それは面白い事できそう。いいね、契約立だ！　手持ちの中で最上級の品を出すよ」

「そりゃどうも」

一言お禮を言ってから電話を切る。

ふぅ、帰ったら切腹決定か……まぁいいか。

「あの、騒な話が聞こえましたが」

「気にしないで。ちょっと自分の臓引きずり出してプレゼントするってだけだから」

「いや、死にますよね」

「死なないけど？　ほら」

ずぶりと鳩尾に手を突っ込んで心臓を取り出す。

は無毒化しているので常人がれても問題はない。

「……きゅぅ」

「ありゃ？」

新しく心臓を修復しながらだったんだけど、取り出してなお脈打つ私のそれをみてアリヤは気を失ってしまった。

んー、どうするかなこれ。

……とりあえず黒い水晶の隣に紛れ込ませておこう。

寶庫だから一個くらい変なの増えてても大丈夫でしょ！

先日私の相方が天壽を全うしました。

長い間支えてくれ、苦楽を分かちあい、時に叱ったり機嫌を損ねたりした彼はもういません。

今までありがとう、この場を借りて謝の意をお伝えします。

君の事は忘れないよ、先代PC！

次のPC買ってハードオフでジャンク品として売りさばくまでは！

そして君達の事は忘れないよ！

外付け１THDDいっぱいにバックアップ保存したえっちなイラスト達！